陰陽廻戦   作:おがとん

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ストックなんてありはしない。

どうもこんばんは。おがとんです。
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それではVS覚醒五条編です。

どうぞ


第8話 壊玉・捌

 

■五条悟side■

 

 五条が最初に感じたのは腕を無くした痛みよりも"自身に攻撃を届かせる"ことが出来るという事実への驚きだった。

 

「ッマジかよ!!」

 

 普通なら無敵にも思える"不可侵"を破られれば最初に感じるのは"恐怖"の筈なのだが、覚醒した五条の頭には欠片も存在しなかった。

 代わりにあるのは只々純粋な        "歓喜"のみ。

 

 五条にとって自分以外の存在は愛でるための"花"や"蝶"に過ぎなかった。

 生まれ持った天性の才能が原因ではあるし、自身を鍛えれば鍛える程にその考えは強くなっていった。

 それでも構わないとは思っていた。けれど心のどこかではずっと感じていたのだ。

 

       "対等"な存在

 

 自分が全力で呪術(チカラ)を振るっても壊れない。むしろコッチが壊されそうになるくらいになるくらいの戦力差を感じさせてくれる程の相手を待ち望んでいた。

 そんな奴は未来永劫現れるわけがないと、決めつけてさえいた。

 

       だが、出会ってしまった。

 

 死に際から舞い戻った事で掴んだ呪力の核心。それにより手に入れた"術式反転()"という新たな「無限」を以てしても勝てるかも分からない!恋焦がれてさえいた好敵手ッ!!!

 

 あぁ、オマエだったのか。

 

 俺の孤独()を癒してくれるのは       ッ!!!

 

「さあ悟、全力で     遊び尽くそう(呪い合おう)か!!

「ッ!!!」

 

 あぁ!!どこまでもオマエはッ!!!俺をッ!!!!!

 

 楽しませてくれるんだッ       

 

       晴明ぇええええええええええええええ!!!!!」

 

 俺はもう、考えるのを辞めた。

 

 

 今はただ、この世界がッ心地良いッ!!!

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 やっべ、選択ミスったか?

 

 悟の如何にもなハイの感覚を感じ取った俺はソレを発散させるべく戦いの相手をすることにしたわけだが・・・

 マジでどうしてこうなった?

 

 なんか想像以上にテンションゲージをブチ抜いてハイテンションになってらっしゃる!?

 

 しかも驚くポイントはそれだけじゃない。

 俺が『貴爀人機』で悟の右腕の肘から先を切断したのは、昂ぶってる状態を少しでも落ち着かせて無理矢理テンションを下げさせるために実行したんだけど、それでも信じられん。

 

 アイツ、俺が『貴爀人機』で切断した腕を速攻で拾って切断部分に押し当てて()()()()()()()()()

 

 "反転術式"を習得したばかりなのにそれが出来るのは、文字通りに呪力の核心を掴んでからそれほど()()()()()()()()()()だと考えられる。

 

         "黒閃"と呼ばれる現象がある。

 

 呪力を用いた戦闘において、ごく稀に発生する現象のことだ。『打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み』を指す。衝突の際はその名の通り、黒く光った呪力が稲妻の如く迸り、平均で通常時の2.5乗の威力という驚異的な攻撃を叩き込むことが可能となる。

 黒閃を経験した者とそうでない者とでは、呪力の核心との距離に天と地ほどの差があるとされる。

 

 黒閃を経験すると術師はアスリートで言う"ゾーン"に入った状態になる。一時的にではあるが、普段意識的に行っている呪力の操作が呼吸するかのように自然と行われ、圧倒的な全能感を味わう。

 

 恐らく悟は死の淵から戻って来たことで掴み取った呪力の核心による副作用でハイになっているのと同時に、黒閃を経験した術師のように一種の"極限状態(ゾーン)"に入っている。

 そのために感覚を掴んだばかりの反転術式でも切断直後の腕ならば繋ぎ合わせられるくらいに呪力出力が上がっているんだ。

 

      面倒くさいな。

 

 『貴爀人機』で部位切断を続けて戦闘を終わらせるのも一つの手段ではあるが、それでは()()納得できない。

 今まで振るう事の出来なかった自身の最大出力。思うがままに全力を振るう事の出来る快感は筆舌に尽くしがたい。それを只管に切り刻んで一方的なものにするのは、なんかこう、違うだろう?

 

 だから、やめだ。

 

 ここからは全力で殴り合って、どこぞの少年漫画のように夕陽をバックに河原で友情を深める"対等の友人"イベントをやろうじゃないか!!

 

「余所見すんなよォ!!晴明ぇえええ!!!」

 

 って思った傍から殴り合い拒否ですか!?ちょっと想定してないんですけど!?

 

 切断された腕を回収した悟は無下限呪術によってこちらを見下ろすように空中に佇み、繋ぎ合わせたばかりの右腕で掌印を組み「蒼」を発動する。

 

位相 黄昏 知慧の瞳 術式順転『蒼』

「呪詞有りか?本気も本気かよ」

 

     呪術を極めるという事は引き算を極めるという事

 術式の構成、或いは発動させるまでの手順を如何に省略させるかが出来るかで術師の腕が決まると言われている。呪術には呪詞(詠唱)、舞、楽と呼ばれるものが存在している。掌印についても領域の展開時以外にも用途がある。

 

 俺が開発した"陰陽呪法"はこの呪詞の部分を最大限に活用したものになる。省くことが出来る手間を敢えて省かない事で一定以上の威力を保証する"縛り"だから、陰陽呪法の理解が深ければ呪詞が無くても陰陽呪法を行使することは可能だ。現に開発者の俺は陰陽呪法を自身の中で0から術式として組み立てる事ことで呪詞を唱えなくても使えるからな。

 あ、流石に「十二天将」の呪装は無理だな。あれは「十二天将」という式神が存在していることが前提だから、俺個人のみで「十二天将」を再現するのは出来なかった。

 

 けどまさか呪詞有りの呪術を躊躇無しで俺に使ってくるとは、遂に遠慮の欠片も無くなってきたな。

 

 自身の右隣で発生する強化された「蒼」を瞬時に知覚したはいいが、このままでは他の面々が無傷では済まない。唯でさえ戦闘の流れが速く傑や理子ちゃん達の避難が完全に終わってないのに、悟の野郎、ハイになったせいで周りを気にすることも無くなってやがるな?

 ・・・・・・やむを得ん。使わないと言ったが前言撤回。この状況では使わないと人的被害が出てしまう。

 

 流石にここで悟を両断するのもつまらないし、俺は今の状況からでも「蒼」を躱せるが他が回避不可能となれば、まぁ致し方ないよな?

 

     "領域展延"」

 

 ()()()()の派生技。相手を閉じ込める結界術(例えるなら「箱」や「檻」)である領域展開とは異なり、自身の体表を包む「水」のように領域を展開する。

 領域の持つ「術式の中和効果」のみを利用するもので、悟のように自身を術式で防御している者に対し自身の攻撃を届かせたり術式に基いた攻撃を防いだりといった事が可能だ。また領域の必中効果を中和する事もできる。

 術式を付与できる程の大きな容量を持つ領域にあえて術式を付与しない事で空きを作り、そこに触れた相手の術式を流し込ませて中和する。この「空きを作る為にあえて術式を付与しない」という仕様故に展延中は術式を使用できないというデメリットがある。

 

 呪詞により通常よりも威力を遥かに増した「蒼」による吸い込み反応に逆らうことなく、むしろ自分から踏み込むことで想定よりも早く近づいて"領域展延"を施した右手で「蒼」を殴りつける。

 "領域展延"による「術式の中和効果」を最大限に利用することで呪力で強化しただけでは千切れ跳ぶであろう右腕で傷を負うことなく「蒼」を殴ることで「蒼」の()()()()()()を発生地点から遠ざける。

 

 それを一瞬で理解した悟は、理解できたからこそ驚愕を隠せなかった。

 

「ッマジかよ!?分かっててもデキる奴いねぇよ!!」

「うっせぇよ!!じゃなきゃもっと面倒になるだろうが!!このクソボケ!!」

「ハハッ!!いいねぇ!!楽しくなってきた!!!」

 

 この野郎、いい顔で笑いやがって。絶対にその整った顔をへこませてやる!

 領域展延を瞬間的に解いて左手で刀印を組み、普段の生活では不要な"肉体の隠蔽"を「魂魄呪術」による"術式反転"で解除する。

 

「術式反転『回帰』」

 

 髪は黒から銀に色を変え、耳と尻尾を生やす。

 だが以前悟達に見せた時と決定的に違う点がある。

 

 俺の尻尾の数が一本ではなく()()であることだ。

 

 俺の母である葛の葉は宇迦之御魂神の第一の神使という立ち位置である故に、当然ながら相応の実力を持っていた。

 そんな母が"九尾の狐"でないわけがない。

 そしてそれは血を継いでいる俺も例外ではなかったという訳だ。

 

 さてここで1つ疑問が浮かぶ。

 

 "領域展延"は自身の体表を包む「水」のように領域を展開するわけだが、この()()と言うのはどこまでを意味するのだろうか?

 

「ぐぅおっ!?ハハッ!!領域展延が()()()()()()()()()とか反則だろッ!!」

「言ってろ!!こっちは待ってなんかやらねぇからな!!」

「嘗めんなッ!!」

 

 「回帰」で肉体を解放した俺は九本の尾を巧みに使い熟すことで上下左右の全方向から悟の「無下限」を()()()()()()()()()薙ぎ払っていく。

 

 領域展延で肉弾戦に持ち込もうとしていた俺の狙いを瞬時に把握し面倒と感じたのか悟は「蒼」の吸い込みを()()()()()に使った。

 なるほど、長距離移動にはまだ使えないが視界内での移動なら問題なく使えるわけか。いや、これも極限状態(ゾーン)に入っていることによる一時的なものか。いずれにせよ、面倒な事に変わりはないか。

 

位相 波羅蜜 光の柱 術式反転『赫』

 

 尻尾による薙ぎ払いで距離が空いた一瞬の隙とも呼べない時間を使って瞬間移動した悟は術式反転「赫」をこれまた呪詞で強化して衝撃波をぶつけてくる。

 だが領域展延による中和効果のおかげでそれ程ダメージを負わずに済んだ。しかし尻尾を伸縮させての近~中距離戦をしていたために先程までも少しばかり距離が空いていたが、それに比べても明確に分かるくらいに俺と悟の間には距離が広がっている。

 

 先程の「蒼」を殴ることが出来たのは「蒼」の特性が吸い込みだったからだ。無限の「発散」である「赫」は弾く力であるため、殴ることが出来る位置まで近づくのが「蒼」に比べて難しくなる。

 

 ったくやりづらいったらありゃしない。

 けど一度やると決めたからには最後までやり通さなきゃ筋が通らないからな。

 

 しかし俺の術式である「魂魄呪術」は汎用性と利便性こそ高いが直接戦闘に使うにはちょっと不向きなんだよな。

 将来的に生まれてくるであろう()()()()()()()()()と違って俺はこの術式を他者を害することに使おうとは全く思わない。この術式を戦闘に用いるという事はそれだけ俺が追い詰められたことを意味しているからだ。

 そうであるが故に"陰陽呪法"を開発して戦闘で使ってきたし、それ以外は式神で大体の片が付いたから良かったんだが。悟を相手にするとなるとなぁ。

 

「さっきの剣は使わないのかよ?」

 

 この先の展開について思い悩んでいれば、その悩みの張本人から問い掛けをされた。

 

「『貴爀人機』は流石に少し強すぎるからね。不満だったかな?」

「大いに不満だね。要はオレに対しては使うまでもないってことだろ?」

「身も蓋もないことも言ってしまえば、そうなるね」

     上っ等!!後悔すんじゃねぇぞ!!」

 

 悟が右手を前に持ってきて構える。それはまるで梃子の原理で中指を強く弾くような構えで・・・ッ!!

 

位相 黄昏 知慧の瞳 術式順転『蒼』

「・・・お前がそこまでやるってんならしょうがない」

 

 悟の狙いを理解した俺は続くように体内の呪力を回し始める。

 さながら今から悟がやろうとしている順転と反転を融合させる技の如く、負のエネルギーと正のエネルギーを生成し更にその二つを掛け合わせていく。

 

位相 波羅蜜 光の柱 術式反転『赫』

「来い。本気でぶつけてやるよ」

 

 これは「双星の陰陽師」の原作においても「神子」の両親に相当する「双星」と呼ばれる存在にしか出来ないとされた技だ。

 だがこの世界では「双星の陰陽師」における正と負の呪力を個人の力で生み出すことができる。

 加えてこれは()()()()である俺だからこそ許された秘術の極致。

 

     共振(レゾナンス)

 

 正と負の呪力(エネルギー)が極限まで高められ掛け合わせられることで呪力出力は数倍から数十倍にまで引き上げられる。

 その副作用により俺の周囲で掛け合わされた呪力が淡いながらも力強く、繊細でありながらも優美な桃色の輝きを放ち始め周囲に拡散されていく。

 

九綱 偏光 烏と声明 表裏の間

 

 「共振」により強化された呪力出力を手元に戻した『貴爀人機』に流し込む。

 『貴爀人機』は剣の表面に桃色の呪力を幾つもの複雑な樹形図にも似た幾何学的なラインを走らせながら唸り声を響かせるように音を発して剣自体が変形していく。

 今までのサイズを一回り大きくしたような見た目で落ち着いたが、それでも感じ取れる強大さは先程の比ではないのは誰の目にも明らかだ。

 

 全ての「無限」を呪詞を唱えて強化したことで、その出力は通常よりも遥かに増し強力無比となった「無下限呪術」の渾身の一撃。

 

 その出力、実に200%         

 

             虚式(きょしき)(むらさき)』ッ!!!

 

 対してこちらは「共振」した呪力で強化した『貴爀人機』を出力媒体にした純粋な呪力放出。

 それは強化された悟の虚式『茈』にも決して勝るとも劣らない砲撃と化す         

 

             ぶっ飛べッ!!!

 

 互いに()()()()()()()全力を一瞬も躊躇うことなく相手に解き放つ。

 

 視界が、白く染まっていく         

 

 




戦闘描写って難しい・・・

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