貞操逆転×→性欲逆転世界で配信者してなりきりチャットして女装する 作:坂水木
優理のモーニングコール(録音)で目覚め、ご飯を食べ、ネットサーフィンをし、ご飯を食べ、優理と喋り、寝て、ご飯を食べ、ネットサーフィンし、ご飯を食べ、寝て。
健康的堕落生活を送りながら、アヤメは絶賛お悩み継続中だった。
優理には外に出られる(かもしれない)ことを秘密にしており、相談相手はAIのエイラしかいない。そのエイラはアヤメの心の問題だと言い、背中を押しても引き戻してもくれない。自分で答えを出すしかなかった。
ちなみにアヤメはいくら食べても身体が健康を保つので太ることはない。
世の女性が聞けば憤慨ものの事実である。
「……アライーン」
ベッドに転がりながら名前を呼ぶ。しょんぼりと寂しげに、子犬のような悲しげな声だ。
外の世界は既に夕方。アヤメの見たことのない空と、雲と、夕日と。ネットでしか知らない景色が流れる外界に対して、彼女の部屋は変わらず人工灯で照らされていた。
華奢な肢体を丸め、布団を抱きしめて顔を埋める。
今日は一時間くらいお喋りをした。もっとお話したかったが、用事があるとかで電話は切られてしまった。悲しかった。でも我儘を言うのも、迷惑をかけるのも悪いと思ったから、だから素直に頷いた。でも。でもやっぱり、寂しいものは寂しい。
「お会いしたいです……」
人の身体は温かいらしい。温もり、というものがあるとネットで見た。人とそう変わらない自分にも温もりはあるのだろう。けれど、一人じゃそれもわからない。
ずっと一人でいるので一人の環境に慣れてはいるが、アライン――優理と話すようになってから寂しさを感じるようになってしまった。奇しくもそれは、優理が推測した心理状態そのものであった。
ぼんやりと、ぐるぐる思考を回す。
外に出るのは怖い。けど優理と話したい。会いたい、一緒にいたい。温もりを分けてほしい。いろんなことをしたい。
何も知らない自分に、初めて愛を教えようとしてくれた男の人。
電子書籍で読んだ。これはきっと運命。
だって最初にパソコンの画面に表示されていたのが優理へと通じる道だったのだ。このパソコンを使っていた誰かが……もしかすれば、アヤメにとって母と言える存在が優理に愛を求めていたのかもしれない。それなら、アヤメが優理に愛を求めるのもおかしくない。
愛を。人を模した人形の自分ではなく、人として生きる自分を愛してくれる誰かを。人としての自分が愛したいと思える誰かを。
優理はアヤメに愛を教えてくれた。まだ中途半端でしかないけれど、少なくともそれは人形に対する愛ではなかった。ちゃんと人として、人間に与える愛の形だった。
愛がどんなものなのかわからないアヤメには、ネットで得た曖昧な知識でしか愛を語れない。
愛を知るために、たくさんの愛を受け止め、精一杯の愛を受け渡すために、アヤメは優理に会いたかった。
もしかしたら、会ってみて違うと思うかもしれない。
それならそれで、新しい愛を探せばいいと思う。けど……なんとなく、アヤメの遺伝子に刻まれた本能が言っていた。
"あの声の人間は、私と高い適合値を持っている"
これほど明確な言葉の羅列ではないが、優理への純粋な好意も無意識の理解から湧いて出てきていた。
「……うー、アライーン」
寂しいです、の一言は言葉にならず胸に残る。
色々考えたが、結局何も変わらない。外に出る手段はあり(たぶん)、優理の居場所は知っていて、向かうこともできる。ただし、外出への恐怖心を乗り越える必要がある。
溜め息を吐こうと、強く布団を抱きしめ――。
――ふんふーんらららー
「ぴゃっ!?」
びくりと身体が跳ねる。急な着信だった。着信音は優理の鼻歌だ。無論勝手な録音ボイスである。
【報告。アヤメ様、アライン様より着信です】
「わ、わかっています!」
画面に浮かぶ文字に慌てて口で返事をして、応答ボタンをタップする。
『こんばんは、アヤメ。まだ起きてる?』
息が止まったような感覚がした。口角が上がり、目元が熱くなる。
「お、起きています。アラインは……アラインは、どうしてお電話をしてくれたのですか?」
『あー……』
くしくしと目を擦って、寂しさを上塗りした嬉し涙が気づかれないようにと隠す。
まさか向こうから電話をしてくれるとは思っていなかった。……けれど、だからこそ、より嬉しかった。
『えっと……アヤメ、電話切る時しょんぼりした声してたからさ』
「――」
気づかれたことへの恥ずかしさと、察してくれたことへの嬉しさと。あと、わざわざそれを思って電話を掛けてくれたことへのおかしな胸の高鳴りと。
三つの気持ちが混ざって言葉が出なくなってしまう。
『アヤメ?』
「――は、はいっ。聞いています。……ごめんなさい、アライン。私、寂しくなってしまいました」
『……そっか。ううん。いいよ。そうだね。僕もやることは終わったし、寝るまでお話していようか』
「はいっ!え、でもアライン。寝るにはまだお時間早くありませんか?――え」
パソコンの時計を見て驚いた。
もう二十時だった。さっきまで十七時とかだったはずなのに、気づいたら三時間も経っていた。考え事に没頭しすぎていたようだ。そりゃ考え疲れもする。
『アヤメ。もしかして時間忘れて遊んでた?』
「そんなことありませんっ。その……いっぱい考えて寂しくなってしまいました」
『そ、っか。うん。……じゃあ、どう?寝るまで僕と話してる?』
「……私、お話してるとずっと起きていてアラインが寝られないかもしれませんよ」
『ふふ、僕は寝ちゃうから僕の寝息でも聞いていてよ』
「それなら大丈夫です。わかりました。……えへへ、たくさんお話したいです」
『うん、いいよ。じゃあそうだな。さっき話してたことの続きから――』
足をぱたぱたさせながらニコニコお喋りしていたのも一時間と少し。
アヤメの返事は徐々に間が空き、呂律の回らないぽやんとしたものになっていった。最終的に早々と寝落ちしてしまったのは、アヤメもまだまだお子様なので仕方のないことである。
――寝落ち通話より数日。
通話後に優理から前触れなく電話がかかってくるようになり、日々の寂しさもかなり減ったアヤメだ。
今日は朝から勇気を蓄え、強い決意を漲らせていた。具体的には録音した優理の声をリピートしていた。
"頑張れー"に「頑張ります」と答え
"元気出して"に「元気出します」と答え
"寂しくない?"に「アラインのおかげで寂しくないです」と答え
"今日も可愛いね"に「えへ、ありがとうございます」ととろけた笑みで答え
"僕が一緒だよ"に「心は常に一緒です!」と答え
"大好きだよ"に「私も大好きです」と答え
もう一度、"頑張れー"に「頑張ります……!」と答えた。
深く呼吸し、キっと天井を睨みつける。
ご飯はいっぱい食べた。鞄はないので、エイラに聞いて布団に色々詰め込んで背中に結び付けた。結構背負うのに苦労したので、たぶんもう一回は厳しい。また時間がかかる。その途中で気力が尽きるので出発は明日になってしまう。
「アライン……私はお外に行きます」
腕にはぐるぐると携帯を巻き付けており、いつでもエイラと話せるようになっている。ちょっと前に気づいたが、エイラは文章にしなくても音声入力ができた。どうして教えてくれなかったのかと聞くと、聞かれなかったのでと答えられた。アヤメはむくれた。
どしどしと歩き、気合を入れて……気合を入れ……。
「うぅぅぅ……」
やっぱり怖いかもしれない。だって知らないところって怖いし。
外の世界はネットで見たから知っているけれど、本当がどうなのかは知らないし怖い。一人で行くのは怖い。ここにアラインがいてくれれば簡単に外に出られたのに……いやでも、ここにアラインがいたらいたらでずっと引き籠っていたかもしれない、とも思ってしまう。微妙だ。
「……はぁぁ」
深く息を吐き、もう一度吸う。
「エイラ。アラインの応援ボイスを再生してください」
【受諾。アライン様の応援ボイスを再生します】
"アヤメ。頑張れ。僕が傍にいるよ、安心して。大丈夫。アヤメ、頑張れ。大丈夫。行ける。アヤメ、大丈夫。一緒だよ。ずっと一緒だ。いつだって傍にいる。僕と頑張ろう"
色々編集(録音編集担当:エイラ)しても素材が足りないのでボイスは切り貼りになってしまった。が、今のアヤメにはそんなことどうでもよかった。
優理の応援が心に勇気の火を灯す。轟々と炎が燃える。くべられた燃料が尽きぬ焔となってアヤメの全身を奮い立たせる。
「行きます……!!」
一息にジャンプし、取っ手を掴んで開いた通路に入り込む。
先に準備しておいたエイラの明かりが通路を照らし、先へ先へと進みを促す。
アヤメは勢いよく梯子を上り、類稀な身体能力を遺憾なく発揮して素早く通路を抜けた。以前一度だけ見た天板も軽々と押し退け、怯える心を勇気の炎で散らして上に出る。
ふわりと梯子を蹴って外に出ると、そこは。
「……お部屋ですか?」
そこは、普通の部屋だった。
見慣れて――はいないが、ネットで見たことのある一軒家の風景だ。
広いリビングに大きな机と椅子、ソファーもあればテレビもある。絨毯の敷かれた床に整理整頓された本が並ぶ棚、カウンターキッチンの奥には食器棚が見える。
「すごいです……!」
普通の部屋だが、アヤメにとっては普通じゃなかった。
画面越しにしか見たことのないものばかり。タイル状じゃない壁も、ふわふわの絨毯も、木材でできた家具も。全部全部真新しく、ぶんぶんと首を回して目を輝かせる。
くるくる回りすぎて酔いそうになった。
「うぅー、これが乗り物酔いですか……」
色々と違うが、彼女の言葉にツッコミを入れる人はいなかった。
十秒ほどで元気になり、一つ一つと屋内を散策していく。
絨毯を触って寝転がって、布団とは違うふわふわにだらしなく頬を緩め、ハッとなってソファーに座ってふかふかな椅子に沈み込んでぼんやりして。机の木目や椅子の硬さに驚きながら、本棚の本を一冊一冊開いてみて読めたり読めなかったりと一喜一憂する。
アヤメにとってこの部屋、リビングルーム一つだけでありとあらゆるものが新鮮だった。
他の部屋に行くまでもなく、時間は刻々と過ぎていく。
彼女の心がもう少し育ち、大人で、自分を律することができるようになっていれば、あるいは話は変わったかもしれない。しかしそうはならなかった。アヤメという少女はまだまだ幼く、知らない世界に興味惹かれ心躍らせてしまう子供でしかなかった。
『――アヤメ様』
「はうっ……だ、誰ですか?」
急な声に驚き、周囲を見回し警戒する。
一切人影は見えず、本は背の布団に押し込んでそっと壁際に寄った。
『謝罪。アヤメ様。エイラです』
「ひゃっ……エ、エイラですか?」
びくりと肩を跳ねさせ、おそるおそる腕を見る。外れないよう巻き付けられた携帯に文字が浮かんでいた。
『緊急。今すぐこの場を離れることを推奨します。アヤメ様、敵が来ます』
「て、敵ですか?」
『肯定。アヤメ様の身を狙う輩が接近中です。退避を』
「わ、わかりましたっ。逃げますっ」
よくわかっていないが、抑揚のない声がやけに危機感を煽ってくる。携帯の方も本当に緊急らしく赤色に光り点滅していた。
逃げるとは言ったものの、どこに逃げればいいのか……。
ぱたぱたとその場で足踏みし、どうすればいいのかわからず困る。リビングの内装に夢中で忘れていたが、そういえばこの部屋には窓があった。ガラス窓。向こうに青い空が――空が見える!
『提案。アヤメ様、退避は建物二階より屋根伝いに行くとよいかと思われます』
「は、はいっ!」
たたたーっと走って部屋を抜けていく。とりあえずリビングを出て、本物の階段や手摺、小窓に感動しつつ駆け上がる。案内はすべてエイラが行ってくれるため、アヤメには別のことを考える余裕があった。
「なんだか映画みたいですっ!」
『肯定。アヤメ様は映画の主人公です。現在は敵の魔の手より華麗に逃げ去る場面です。静かに大胆に逃げましょう』
「ふふっ、はい!逃げちゃいます!」
階段から廊下を抜けて二階の広い部屋を無視し窓を開けてベランダに出る。サンダルを拝借し、するりと柱伝いに屋根に上がった。音は少なめに、スパイ映画さながらな身の熟しだった。
「ふふふー、私も映画に出れちゃうかもしれません」
『称賛。お見事です。しかし油断は禁物です。お気をつけを』
「もちろんです。任せてくださ――」
ぽろり、と無理やり布団に押し込んでおいた本が落ちる。屋根に当たり、からんと跳ねて地面に向けて一直線。場所はどこか。玄関が近く、車が一台停まっている。
「あ」
見ているうちに本は地面とぶつかり、重い音を立てて開かれる。
同時、外に待機していたスーツの女二人が気づく。片方が即座に見上げ、銀の少女に気づいた。アヤメと女の視線が合う。
「――対象の逃亡を確認!屋根上注意!!!」
叫ぶ女にアヤメは身を翻した。挨拶しようとしたのに、急に変なことを言い出してきて怖くなってしまった。どう考えてもアレはエイラの言う敵だ。逃げないと。
「エイラ!私はどこに逃げればいいですか!?」
『提案。端末に提示するルートを選択ください』
フィンと明るい光で道が示される。目的地はわからないが、エイラに従えばこの場から逃げられそうだ。けど、問題が一つある。
「私、地図読めませんよ!」
『理解。エイラがアヤメ様を誘導します』
「ありがとうございます!」
ということで、エイラに指示されるがまま全力で屋根上を駆ける。さすがに背後を追ってくる者はおらず、道路を並走する車が何台も見えた。前方にもアヤメを捕らえようと動く車がいる。しかしアヤメの動きは彼女らの思う数倍は速かった。
風のように。まさしく風の如く、アヤメは空を駆ける。
あまり考えずにただ走るだけでいい。サンダルは走りにくいが、そんなの気にならないくらい気分は良かった。
「ふふっ!あはははっ!!エイラ!お空です!!すごい!青い!綺麗です!!!!あははっ!」
銀の髪を踊らせて、藍の瞳を目一杯開いて空を見る。青色の空。本物の空。浮かぶ白いふわふわはきっと雲だ。本当にふわふわしていて、掴めそうで手を伸ばしても全然届きやしない。すごい。本物だ。すごい、本当にすごい。
歓喜と感動が胸の内に渦巻き、あふれる想いのままに足を動かす。
身体を押し退けるような、ぶわりと全身に触れる感触はきっと風だ。ひんやりしていて、でも空に浮かぶまん丸の眩しい黄色――太陽があったかくて、風のひんやりが気持ちよく感じる。すごい、これが外。アヤメの知らない、知らなかった世界!
「アラインはずるいです!こんなすごくすごいだなんて知りませんでした!すごいすごい!お外すごいです!!!」
言葉が単調になってしまうくらい、アヤメは胸がいっぱいだった。
外に出てよかった。これならもっと早く出ればよかったと思うくらい、外の世界はすごかった。
『報告。アヤメ様、新しい追手があります』
「え!追手って、ずっと付いてきている人たちですか?」
『肯定。前方上空をご覧ください』
「……お空を?」
言われて、まだまだ喜びいっぱいのまま前を見る。空には……。
「……ヘリコプター?」
インターネットで見たことのあるヘリコプターが、アヤメの行く手を遮るようにぶんぶんとうるさく羽ばたいていた。
『提案。これ以上の屋根移動は推奨できません。地面、及び建物内部の通過を推奨します』
「そ、そうですね!ヘリコプターは機関銃を持っているものです……!今の私の装備じゃ勝てませんっ」
『肯定。その通りです。アヤメ様。戦略的撤退をしましょう』
「はいっ!」
色々とアヤメの知識には問題も多いが、現状打破を優先するエイラに間違いを訂正する理由はなかった。何よりも大事なのはアヤメの生命であり、アヤメの自由である。
地面は車、空はヘリとハリウッド映画さながらな状況になってきた。
道路は広く、交通量も多くないためそう簡単に振り切ることはできない。
屋根を飛び降りたアヤメはそのままの勢いで素早く走り出し、エイラの指示通りその辺のオートロックの家に忍び込む。ロック自体はエイラのハッキングで解除したので、アヤメにとってはただの開いているドアでしかなかった。加えて、家々に不法侵入しているという自覚もなく、純粋に公共施設気分で家を抜けていく。
「いろんなお家があるんですね」
『肯定。日本の国一つ取っても多種多様な建築様式があります。アヤメ様の住まわれていた地下もまた、家の形の一つです』
「そうだったんですかー」
ふむふむと頷きながら、さーっと数軒の家を不規則に通り過ぎる。
周囲を走る車は多いが、アヤメの異常な速度と迷いのない動きに翻弄される。ヘリはヘリで、電子機器の類が一切使えず困っていた。目視で探そうにも、家の影や通路を抜けられると見つけられない。
エイラの圧倒的な対電子機器力が存分に発揮されていた。
「むむむ、さすがに走りにくくなってきました」
『提案。アヤメ様、この場より北東に大きな総合服飾店があります。現在のアヤメ様の服装では目立つため、衣服の変更、及び靴の入手を提案します』
「……むぅ、でも私、お金は持っていません」
撹乱のためしばらく待機、となったので三階建ての家の屋根の段差に隠れる。屋根裏部屋があるのか、深い段差となって影ができているため外からは見えない。上からでも地面は見えないので、そう簡単に見つかることはないと思われる。
体育座りでしょんぼりするアヤメは、確かにお金を持っていなかった。
今のアヤメの服装は、白シャツにかぼちゃパンツと薄手のキャミソール、靴はサンダルとかなりラフな格好だった。
長いシャツだからアヤメの太ももまで隠れているが、それにしたって薄着が過ぎる。背中の包み(布団)も合わせれば不審者感が増す。家出少女に見えなくもないか。
とにかく部屋着も部屋着な格好をどうにかする必要があった。特に追手から逃れることを考えると靴は急務だ。とはいえ、彼女の所持品にお金は含まれていなかった。生まれてこの方、金銭とは無縁の生活を送ってきた少女である。
『理解。ですがアヤメ様。エイラには電子マネーが入っているため問題ありません。端末を翳すだけで商品の購入が可能です』
「電子マネー……!知っています!そうだったんですねっ。それなら買いに行きましょう!」
くるりと表情を入れ替え、目をキラキラさせて携帯を見る。
アヤメの表情を外部カメラで察したエイラが今しばらくの待機を伝える。まだ近くを車が通っていた。バレるにしても服を買う程度の猶予は欲しい。それに……。
「エイラ、お買い物……楽しみですね!」
『肯定。アヤメ様の好きな衣服をご購入ください』
「はい!」
わくわくを瞳いっぱいに詰め込んだアヤメが、そんな短時間で買い物を終わらせられるとは思えなかった。
エイラの役目はアヤメの生命と"自由"を守ることだ。最難関は既に越えた今、アヤメの喜びを奪う理由はどこにもない。時間が許す限り、彼女には外の世界を堪能してもらおう。それが……エイラに託された、願いの一つなのだから。
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