貞操逆転×→性欲逆転世界で配信者してなりきりチャットして女装する   作:坂水木

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【挿話】【健全配信】日本のエロゲ―歴史についての考察(ガチマジ本気)

  
ライブ配信

 

 

 

 

 

 

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  Yutchura_live
 ♥   ♪  ☆サブスクライブ 

YC  日本のエロゲ―歴史についての考察(ガチマジ本気)

ライブ配信 ユツィラ   高身長  低音ボイス  ASMR

 

 

 

 

 

 ▼チャット▼

ユツィラのエロ(ゲー)配信

神配信定期

いつも似たような配信タイトルなんだよね

今日もどうせエッチゲームしてエッチするだけだよ♡

一緒にエッチ(ゲーム)しようね♡

 

 

「あー、どうもどうも。あなたのお耳にコンバンハ。ユツィラです」

 

 

 ▼チャット▼

あっ♡

びっくりした。お耳妊娠した

これ、男の子です

しゅき♡

お耳食べて?♡

 

 

「耳が妊娠するわけないんだよね……」

 

 冷静に返しながら、前世より聞いていた言葉を否定する。

 妊娠は女性の子宮で受精卵が成長することで起こる事象であって、断じて聴覚器官である耳及び鼓膜で起こるものではない。……ないよね?耳=子宮とかいう隠語が存在していたら困る。平安時代とかにそんなのあったとか言わないよね。……よね?

 

 嫌な不安は捨て置き、今日の配信について解説を始める。

 

「えー。みんなー。今日はASMR配信です。なぜならエッチなゲームをするからです。ちなみに案件ではありませんけど、心良い許諾――というか、ぜひやってくださいって言われたので気合入れてやります」

 

 耳の形のマイクはASMR専用マイクの中でも上から三番目くらいに品質が良いものだ。頭部型、通称ダミーヘッドマイクは置き場に困るから買っていない。

 エイラによるソフトウェアの魔改造で音質が劇的に改善したので、それのお試し配信でもある。

 

「どうかな?音質改善してるでしょ」

 

 

 ▼チャット▼

そういえば音クリアで草

イヤホン貫通してます、これ

胎内に直接話しかけてる♡

あたしのチップ代がこれになったと思うとうれしい

 

「君らのおかげで色々買えてるからね。ありがとうね」

 

 チップはChurichで一人一万円まで出せる投げ銭システムだ。優理は百円までと制限しているので気持ち的意味合いが大きい。が、塵も積もれば山となる。チリツモである。

 メンバー登録に関してはラブポエムの投稿と”ユツィラへの愛を1000文字以上で語れ”、が必須事項なだけで金銭は発生していない。たまに配信で読み上げているのでリスナーも喜んでいることだろう。

 

「音質は良い感じっぽいし、今日の趣旨ね。えっと……エロゲーについて知らない人もいるだろうから、そこから話そうか」

 

 つらつらと、無駄に吐息を混ぜながら話していく。アホみたいで自分でも笑ってしまうが、耳に触れる息にゾクゾクするのは人間生体的にしょうがないものだ。あと性欲ある人間にはよく効く。ソースは自分。

 

 そも、性欲逆転世界のエロゲーとは。

 

 優理の前世――普遍世界のエロゲーは美少女ゲームとも呼ばれ、主な販売ターゲットは性欲旺盛な成人男性だった。当然成人向けなのでエッチシーン(性交描写)があり、だからこそ日本文化的にもアンダーグラウンドに近しい位置付けだったと優理は記憶している。

 

 とはいえ、ただエッチするだけがエロゲーではない。

 笑いあり、涙あり、人生あり。

 

 エロゲー畑出身の有名なシナリオライターもいれば逆も然り。大衆向け映画の脚本家やミリオンセラー作家がエロゲーのシナリオを書いていたなんてこともあった。

 

 エロゲーには人生が詰まっていた。

 自分では得られない青春、激動、争い、情動、その果てにあるごく当たり前な幸福。優理はハピエン厨(ハッピーエンド至上主義)だったので、悲しい結末の物語は好んでいなかった。

 創作なればこそ、物語の結末は幸福であるべきだ。そうでないと、現実を生きる自分が辛すぎる。

 

 話を戻して、エロゲーである。

 色々と面倒なことを書き連ねてきたが、つまるところ、エロゲーとは物語だ。小説でも映画でもドラマでも漫画でもいい、どんな創作物にもある物語と同じ。ただそこにエッチシーンがあるだけの、誰かが創り上げた物語なのだ。

 

 普遍世界では男性向けだったエロゲーだが、それは需要と供給によるものが大きい。

 転じて、性欲逆転世界でのエロゲーは女性向けになった。当然である。何せ性欲を持っているのは男性ではなく女性なのだから。

 

 女性向けのエロゲー。前世で優理が名前だけ聞いていた”乙女ゲーム”というものを頭に挙げる者も多いかもしれない。しかしそれとは少し違った。

 

 この世界のエロゲーは、男と女がそれぞれカップリングされ登場する。

 男は外見から性格まで丁寧に描かれ、それこそ前世で優理が遊んでいたエロゲーの美少女キャラを男に置き換えたようなものだ。

 

 対して女キャラは、名前と性格だけが簡易的に決められている。

 外見はプレイヤーがクリエイトする必要があり、デフォルトに添わせても良いし自分に似させても良い。変わり種のエロゲーには、細かな性格や口調の設定があるものもある。

 

 女キャラの設定後にゲームは始まるわけだが、ここでカップリングという設定が使われる。

 

 作った女キャラ1と、攻略対象の男その1。

 作った女キャラ2と、攻略対象の男その2。

 作った女キャラ3と、攻略対象の男その3。

 

 上記のように、ゲーム設定上女性キャラ一人に付き男性キャラは一人しか攻略できない。

 そのため、攻略対象を変えるにはさらにキャラクリエイトを必要とする。

 

 設定は流用できるのでそのまま使い回しても良いが、大抵のプレイヤーは”同じキャラとか浮気じゃん無理……”となるので、律儀に新しくキャラを作る。というより、最初に攻略対象分のキャラクリエイトを済ませるのが常道だ。

 

 キャラクリエイトのコツは自分の一部を入れ込んで没入感を高められるようにすることである。

 

 また、ゲーム自体は女性視点の乙女ゲームと変わらない。視点が女なだけで、物語は優理の知る前世のエロゲーと同じだ。笑いあり、涙あり、人生あり。

 

 もう一つ、性欲逆転世界におけるエロゲーの大きな特徴として、男キャラ攻略後に男視点で物語を追体験できることが挙げられる。物語の大筋は同じだが、”実はこんな気持ちだったんです”とか”裏ではこんなことありました”とか、プレイヤーの意表を突く展開も多い。

 

 単純にテキスト量やボイスの量は二倍になるようなものなので、お値段も相応に高い。ざっくり一本二万円。でも買う人は多い。普通に優理の前世よりもエロゲー業界は盛んになっている。

 

 そんな、数あるエロゲーの中でも、今日優理がプレイするゲームはストーリー重視の制作会社として知られる有名企業の最新作だった。

 

 ストーリー重視。読んで見て聞いて、のめり込めばのめり込むほど涙する。俗に言う”泣きゲー”と呼ばれる類のものだ。あとエッチシーンはかなりエッチだと評判がいい。

 

 

 ▼チャット▼

今日のキャラクリエイトはどうするの?

あたしちゃん、ポニーテールよ

わたし髪切ってきたから肩口までだよ

身長175の体重66でお願いね

感度は高めだよ♡

 

 

「好き勝手言うのはいいけど僕が決めるからねー」

 

 小声は忘れず、起動したゲームをキャプチャーしてPCのデスクトップ画面から切り替える。

 流れる音楽はピアノをメインに据えて抑えめなヴァイオリンがメロディーを作っていた。もう泣ける。

 

「くっ……うぅ、泣ける」

 

 

 ▼チャット▼

相変わらず涙腺ガバガバで草

お姉さんが涙舐め取ってあげようか?

ユツィラ!おまえは仲間だッ!!

未プレイだけどちょっと泣きそう

既プレイだけどすごい泣いた

 

 

「涙は冗談だけど、ちょっとこのゲームのストーリー説明しようか」

 

 さらりさらりと、公式サイトより引っ張ってきたメモを読み上げる。

 

 

 ――もう一度、夢を見てみませんか?

 

 誰だって一度は夢を見る。

 もしかして、私にも出会いがあるんじゃないか。もしかして、私にも運命の人がいるんじゃないか。もしかして……私にも、夢みたいな恋があるんじゃないか。

 

 夢は夢のまま、青春は終わり、ただただ当たり前の現実だけが続く今を生きる私たち。

 

 そんな現実を生きる私たちに、一枚の手紙が届く。代わり映えのない日常を変える、一通の招待状。

 

 ――夢ノ都(ユメノト)学園。

 

 それは、夢の中に作られた一つの学園。

 

 知らない場所、真新しい服、新鮮な生活。

 私たちは、夢の中だと言われても現実だと錯覚してしまうような、摩訶不思議な夢の世界に足を踏み入れる。

 

 夢は叶う。なぜならそこは、本当の意味で夢の世界だから。

 けれど、その学園は夢であって夢でなかった。

 

 現実じゃないのに現実で、夢なのに夢じゃなくて。

 どうしようもなく変わらない現実と、どうしようもなく変わっていく夢と。

 

 二つの現実(ユメ)を生きる私たちが、選ぶ先に待ち受けるものはまだ誰にも……運命にさえもわからない。

 

 

「――と、いうことでね」

 

 噛まずに読めたーと一安心。コメントを見てみると。

 

 

 ▼チャット▼

夢と現実……???

結局SFとファンタジーどっちなのよ

わたしわかっちゃった!夢は別の世界につながっているのね!

あたちごさい。むつかちいことわかんない

このゲームねー。諦めた女ほどよくクるのよ

 

 

「低年齢化してる人多くない?お子様なら性欲ないよねー。はい吐息ふー

 

 

 ▼チャット▼

は♡♡

謝罪。私三十三歳で御座いました。性欲もあるのであと百回吐息ください

しゅき

急にお耳いぢめないで♡

吐息……ね。吐息の何が良いって耳の奥にオトコの臓腑を巡った空気が送られてくることだよね。それもう実質接吻だしエロキッスしてるようなもんじゃん。そりゃ気持ちいいにきま

 

 

「まともなコメントないから話進めますね」

 

 誰のせいだろうね。

 

 文句を言ってくるコメント欄は無視してキャラクリエイト画面に進む。

 今作は女キャラ三人、男キャラ三人とオーソドックスな人数なので手間暇もそこまでじゃない。早速一人目に取りかかる。

 

「ええっと?……名前は夢枕(ゆめまくら)ソラ。いいじゃんソラちゃん。名字はまあ……うん。ゲームらしい。性格は明るめ、子供っぽいか……」

 

 単純でわかりやすいが、どう作っていこう。

 明るめと言われるとやはり普段演じている由梨が最初に出てくる。それを組み込むなら……。

 

 時折コメントを読みながら、外見と性格の細かい設定を作り込んでいく。

 優理はそこまで自己投影してエロゲーをプレイする人間ではない。それなりに感情移入はしても、ある程度男側にも立ってプレイするスタイルだ。何せ男なので。

 

 前世ではもっと主人公=自分と考えてプレイしていたような記憶もあるが、それこそ遠い昔の話。年を取り老成した結果、女にも男にも共感し涙するエロゲープレイヤーにしては稀有な変態になった。

 

「――はいできたー。甘め水色ふわふわヘアーの元気っ娘完成。身長は低めね。運動神経は抜群。勉強はそこそこ。キャラの背景は後々わかるだろうし、特に口調とか弄らないからデフォルトのままね。変えたのは見た目と素の能力値かな。あと筋力」

 

 

 ▼チャット▼

ユツィラのキャラクリいっつも運動神経抜群よね

いっつも見た目華奢でマッチョなの現実にいないよ

鍛えたらちゃんとマッチョになるのが現実

女のマッチョは見ても嬉しくないけど男のマッチョは見たら嬉しい不思議

最近のエロゲーは主人公の能力値で選択肢増えるから上げとかないとね

 

 

「能力値で選択肢増えるね。はい神コメント。エロゲー未プレイの人は知らないと思うけど、主人公のステータス上げておくとできること増えるんだよね。悪い女を撃退するとか、人助けするとか。直接男キャラ攻略には関係ないけど、単純にゲーム難易度下がるからゲーム苦手な人はステータス上げておこうね」

 

 ゲームによってはキャラクリエイトのステータスによって小ネタ入れてきたりしているので、フレーバーだと思って侮ってはいけない。

 メーカーも最初のプレイはステータス上げて遊ぶのを推奨しているくらいだ。

 

「一人目終わったけど、二人目三人目も作っていくよ。手は抜きません。これで僕の物語没入度が変わるからね」

 

 がやがやと優理のキャラメイクを批評するリスナーはスルーし、ぽちぽちと初期設定を進めていく。

 

 一人目の”夢枕ソラ”は性格:明るめ、子供っぽいだったが、

 二人目、”由希崎(ゆきさき)ノゾミ”は性格:おとなしい、引っ込み思案で

 三人目、”志士羽(ししば)コガレ”は性格:冷静沈着、恋愛脳、とあった。

 

 どう考えても三人目のルートが絶対面白くなるだろうが、そこは何も言わずキャラを作るのに集中する。

 

 一人目は水色髪のゆるふわ系だったので、二人目は黒髪ボブカットの地味系にした。三人目は少し悩んだが、紺髪ロングにアホ毛を付け足しておく。完璧だ。

 

 

 ▼チャット▼

これじゃ頭ポンコツコガレちゃんだよ……

恋愛脳=私たち=ポンコツ

私が似ているのはソラちゃんっしょ!

ユツィラきゅん、あたしノゾミちゃん好きかも

さすがキャラクリ手慣れてるねー。よっ!ド変態!!

 

 

「はい僕をド変態呼ばわりした人、一分タイムアウトで反省してな!このド変態め!!」

 

 

 ▼チャット▼

ご褒美じゃん

お名前呼んでくれたらもっと嬉しい

変態でいいからえっちしよ♡

ド変態なわたしに吐息をください

エッチボイスちょーだいな♡

 

 

「変態が急増した……!」

 

 戦慄を含ませた声を漏らしながら、そっとコメント欄より目を逸らす。こういう時は現実逃避に限る。

 幸い目の前にはエロゲーがあったので、ささっと一人目の夢枕ソラ――ではなく、二人目の由希崎ノゾミを選択してゲームを始めた。

 

 

 ※ゲーム画面はユツィラとリスナーのコメントのみでお送りします※

 

 

「これが男だらけの夢の世界ね……」

 

 ▼チャット▼

男女比1:1で草

非現実的過ぎませんか?

た、食べ放題……!?

攻略対象は決まっているという事実

こんな男ばっかりとか緊張してしんじゃう

 

「これ現実だったとしても君ら話しかけられないで三年間終わるよね」

 

 ▼チャット▼

ひどい

事実は時に嘘よりも人を傷つけるんだよ

あやまってよ!!

あやまってー!!

かなしいよぉ

 

「わかったよごめんね。ふぅぅー……お嬢さん、これで許してくれるかい?」

 

 ▼チャット▼

許しちゃう!!!

弄ばれてるのに好きっ

うへへへ、あたしがお嬢さんよ

ふぅ……ユツィラ、もう一度お願い

耳ふーしゅき♡

 

「ゲームより僕の方が女を弄んでいるという異常事態よ」

 

 

 

「――へー。ノゾミンの相手は正統派ポジティブお化けかー。ありがちっちゃありがちかな。相性悪くなさそうだし」

 

 ▼チャット▼

やっぱ引っ張ってくれる男っていいよねー

ノゾミン?

ノゾミ……ン?

あたしもポジティブオトコに夜の大運動会付き合ってほしい

ノゾミン急に?

 

「めっちゃノゾミン気にするじゃん。え、なに。そんなだめ?」

 

 ▼チャット▼

だめじゃないよ♡

ユツィラかーわいい

私もあだ名で呼ばれたい。ユカリって言うんだけどどう?

その親しさはあたしにだけ向けて?

リスナーとももっと距離詰めようよ!

 

「ユカリンね。はいはいユカリンユカリン」

 

 ▼チャット▼

は?

嫉妬で狂いそう。あたしナミエなんだけど?

ルリカ

ユウナ

私コイリだよ!

 

「うわ面倒くさ……君たちさぁ、本当すぐ名前開示するのやめない?キリないから呼ばないよ。面倒だし。どうしても呼ばれたい人はお名前呼び配信を待ってください。それまでにあだ名決めておいてね。……ふふ、僕と君だけのあだ名になるかもね」

 

 

 

「"エロゲやってるけどアイリスたんどうしてるの?"。あーね。アイリスは良い子だから寝てます。もう二十二時だからね」

 

 ▼チャット▼

寝る子良い子じゃん

よく育つのよ。ママは見守っているわ

アイリスたん呼びはスルーなの笑う

ユツィラの配信は不健全だからね

 

「いや僕の配信不健全じゃないから。……さすがにこの配信はちょっとアレだけど」

 

 ▼チャット▼

ユツィラいつ寝るの?

あたしと添い寝する♡

おねえちゃんがいっぱい愛してあげる

ママのお胸でねんねする?

お兄ちゃんお兄ちゃん、私と寝よ?

 

「自称家族が多すぎる……変なコメントしてないで、さっさとノゾミンの行動決めるよー」

 

 

 

 

 ▼チャット▼

ノゾミン現実世界でも引っ込み思案じゃん

わたしと!同じだ!!

お仲間、親近感ぐんぐん上がる

現実世界ってこれ、ほんとの現実ベースなのかな

男女比1:10でわら……笑えないよぉ

 

「僕らの現実ベースっぽいね。こっちがゲーム中でも現実で、夢は夢、と。ていうかノゾミン社会人だったのか……」

 

 ▼チャット▼

見た目高校生、中身大人。つまり合法

あたしもこんな童顔だったらなー

社会の荒波に揉まれて引っ込み思案になった説

この子も働いていると思うと……よよよ

社会はつれえよ

 

「学生より社会のきつさ知っている子の方が感情移入できるのわかる?わかるよね?わかっちゃうよね」

 

 ▼チャット▼

わかるから繰り返さないで><

圧強くて草

よしよし、お姉ちゃんが甘やかしてあげるからねぇ

社会に疲れた心を癒すところはどこ?ユツィラの配信!

疲れたユツィラは私の胸でぱふぱふしてあげる。吸ってもいいよ♡

 

「ノゾミンは……うわ、仕事終わりで死んだ顔してる。よしよーしご飯食べよう――ご飯の選択肢まであるのか……」

 

 ▼チャット▼

冷凍

外食

頑張って作る

レトルト

カップ麵

やたら選択肢多くない?

 

 

 そうして、ノゾミンの恋模様が進展するまでわちゃわちゃしながらゲームを進めた。

 気づけば日は跨ぎ、配信終えるかーと考え始めたところで配信画面を見て気づく。

 

「――ん、あれ。え、僕、日本のエロゲー歴史について一切話してなくない?」

 

 

 ▼チャット▼

ついに気づいたわね

ようやく気づいたのね

最初から待っていたわよ

ずっと待っていてあげたの

気づいて、くれたのね

お股を濡らして待っていたわ

 

 

「唐突な下ネタは三十秒タイムアウト、っと。どう考えても君らも忘れてたでしょ。いえーい。仲間ー」

 

 

 ▼チャット▼

やったー!手のひら接触券ゲット!

男とハイタッチとかいう夢

これが……青春……

不覚にも涙がほろり

うぅ、ノゾミンありがとう……

 

 

「変なところで泣きゲーの真骨頂が……」

 

 いやそんなわけあるか。

 気を取り直して、ゲームはセーブしてタイトル画面に戻っておく。またそのうちプレイしよう。配信でやるかどうかは不明だ。それよりも、今はエロゲ歴史の方が大事だ。

 

「ええっと、エロゲの歴史か。どこから話そう。僕が普段遊んでるブラウザゲームかPCインストール型のゲームか。どっちにする?」

 

 

 ▼チャット▼

どっちでもいいよ

官能小説から始めてもいいよ。AMSRらしく読み上げて♡

PC版でしょ。だってそこから始まったんだし

リアル志向で私を呼んで実演でもいいよ!

お姉ちゃんが歴史の講義してあげようか?

 

 

「絶対エッチな講義だろうけど、たまに本物の教師混じってるから否定しきれない……。とりあえずPC版からね」

 

 ということで、つらつらとお耳さわさわもみもみしながらこしょこしょお喋りをしていく。

 

 

 性欲逆転世界におけるエロゲーの始まりは、リスナーの一人が述べていた官能小説にある。

 

 性の熾り、アダルトの熾り、転じて性的なゲームの熾り。

 官能小説を読んでいた女性が、これに絵が付いたら面白いだろうなぁとの発想を元に作り始めた。この辺りの流れは漫画やアニメと同じであり、一定の需要が見込まれるため徐々に業界も発展していく。すべては女性の性欲ありきのお話である。

 

 ノベル形式のエロゲーはデジタル技術の発展に伴い形を変え、立ち絵に表情や動きの差分を作ることで現代に通じるエロゲーの原型を得た。

 ストーリー自体はこの時既に女性の欲に限りなく、妄想は無限の果てまで続いていたため湯水のごとく溢れていたと言う。

 

 技術の発展に追随する形で、エロゲーそのものもノベル形式に様々な要素を付け足していくことになる。

 それが他ゲームジャンルであったアクション、シミュレーション、RPG等である。成人向けであることから、全年齢向けでできない代物もゲームに落とし込むことができ、ギャンブルや麻雀といった当時大人の嗜みと言われたものもエロゲーには取り入れられた。

 

 特に黎明期に生まれた概念、"脱衣"、"育成"、"男女比1:1"などは現在に至るまで多くの欲を満たすのに貢献してきた。

 

 当初はただひたすらに作り手の願望をメインに据えた"純愛"をテーマにした作品のみであったが、より深い愛を追い求めた制作会社"アイサチ"がリリースした"愛の果ての友の果て"は未だエロゲーが広く認知されていない時代にして破格の10万本を越える売り上げを叩き出した。

 

 この出来事によってエロゲーの認識が"ただの恋愛ノベルゲーム"から"スケベできる人生追体験"へと変わっていった。

 

 時代の進みと共にパソコンハードの性能が上がっていくと、"ノベル"の量も増えていく。

 単純に、ストーリーを一本筋としなくてよくなったのだ。マルチエンディング方式の登場である。

 

 男女一人ずつが定番であったエロゲー業界に一石を投じたのが"ナゲチュソフトウェア"の"兄弟姉妹"であった。

 それぞれ異なる家庭の兄妹、姉弟を描いた作品で、創作だからこそ真実血の繋がりはあるとされた(当時、近親相姦は生物学的に問題とされていた)。

 

 エロゲー=マルチエンディングが親しまれ、多様なジャンルを取り込み続け数多くの作品が生まれていく。中には一般版として別ゲーム機ハードに移植され、アニメ化されたものも存在する。

 その試行錯誤の過程で、ハーレムもの(性欲逆転世界ではハーレム=女一人男多数)や寝取られもの、敢えてセックス描写を無くしたプラトニック+等と生まれたが、そのほとんどは夢見る乙女たちによって"夢を壊すな!"と叩き潰され会社すら残らず四散した。

 

 時は過ぎ、細々としながらも徐々に盛り上がりを見せるエロゲー業界はとある技術革新に出会う。そう、インターネットの登場である。

 

 インターネットの登場と普及により、エロゲー業界には通信販売・ダウンロード販売と言う新しい商法が広まった。今までエロゲーはアンダーグラウンドな場所で店頭販売しかされておらず、特に田舎では取扱い店舗すらないという女性の欲に厳しい世界であった。

 

 しかしそれも今は昔。

 インターネットはどこの地域の人間にもエロゲーをお届けする性欲の救世主と成った。

 

 エロゲー制作にも熱が入り、インターネット一般普及より二十年以上が経過した今でもエロゲー業界は隆盛を極めている。衰退の兆しなく、日夜新しいエロゲーが生み出されている。

 

 また一方で、新しいエロゲーの形も親しまれ始めた。

 インターネット上でプレイするエロゲー。通常プレイ無料の課金制ゲーム、通称ブラウザゲームの登場であった。

 当初は課金なんて流行らないと思われていたが、運営より打ち出される新規イベントやキャラクターの新衣装、新キャラクターに惹かれたユーザーが湯水の如く金銭を使い始めたためブラウザゲームは盛んになった。

 

 そして現在――。

 

「――生成AIの開発進歩によって、ブラウザゲームのキャラクターを自身のPCデスクトップに載せ、対話コミュニケーションを取れるようになった。会話文の生成に加え、キャラごと別売りのボイスセットを購入するとボイスも生成されるため、2028年以降大きなブームに成り得る予測がされている。また、ボイスの購入料金は声優当人に五割入ることが多いため、声優の多くは好んでボイス販売を行っている、と」

 

 ▼チャット▼

おみみさわさわしゅきー♡

とんとんされてたせいでなんにも聞こえなかった

さわさわもみもみ気持ちよすぎるでしょ……

お姉さんの大事なトコロも触って♡

ごめんだけどちょっと漏れちゃった

 

 

「はぁぁ……ふぅぅぅ……これで終わりねー」

 

 

 ▼チャット▼

あっ(昇天

はぁぁん(桃色吐息

だめ♡

すーき♡

焦らしプレイは卑怯だぞっ♡

 

 

「まーまー。リスナーみんながecstasyに浸ってたのは置いておいてね」

 

 はぁと軽く息を吐き、いろんな意味で疲れた身体を解す。

 ASMRマイクはそのまま、今日の配信タイトル回収は終えたのでそろそろ締めよう。時間を見て……。

 

「……うわー、もう二十五時過ぎてる」

 

 ▼チャット▼

エッチは時間かかるもんね

ecstasy(巻き舌

今日は安眠できそう

お耳お触りでよく眠れるって、こういうことだったのね

 

 

「みんな、急に冷静になってるじゃん……」

 

 

 ▼チャット▼

言わせないでよ恥ずかしいっ

自慰よ!

ナニしてたのよ!文句あるの!?

乙女の聖女タイムに何を言うのかしら?

いくらユツィラでもお姉ちゃん怒っちゃうぞー

 

 

「はいはいごめんごめん。今日は配信終わりでーす。ありがとねー。……あ、そうだ。"ユツィラとお喋り"のサイトプレオープンしてるから、登録&参加したい人色々たくさん答えておいてねー。ばいばーい」

 

 

 ▼チャット▼

なに!?

ふふん、もう見て全部答えてきたわよ!

たぶん半分くらいはもう見て答えてるよね

知ってた

今日も……良き配信だった(聖女の一説

 




これで年末年始更新は終わりです。
お気に入り評価感想誤字報告と、ありがとうございます。

また週末の更新に戻ります。改めて、2024年もよろしくお願いいたします。

例えばこんなifストーリー

  • 女性の性欲が薄かったら
  • 優理に幼馴染(女)がいたら
  • 優理に姉妹がいたら
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