呪隷操術~呪霊を支配してハーレムを~   作:大枝豆もやし

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邂逅

 

 五条悟は不機嫌だった。

 原因は最近噂になっている子供のせい。

 九才でありながら呪詛師になった少年、武玄司。

 彼の存在によって悟は最近苛立つようになった。

 

 武玄司。

 呪詛師集団Qの特別幹部(・・・・)

 十歳にも持たない年齢でありながら呪術の腕前は並の術師を超えており、何人も呪術師が返り討ちに遭ってきた。

 術式は呪霊操術。おそらく何体か一級或いは特級クラスの呪霊を所有しており、本人の戦闘力も高い。

 既に何十人も呪詛師を殺害しており、呪詛師組織を十何社も破壊してきた。

 年齢からいえば、主導でこれらの犯行をしているとは考え辛く、おそらく組織の頭領が彼を利用していると思われる。

 幼くして分不相応の力を持ち、その力が故に悪い大人に利用される哀れな子供。ソレが呪術界における司の印象であった。

 まあ、実際は違うのだが。

 

 ここまではいい。

 五条悟も別に不機嫌になることはない。

 上記の内容を並べられただけでは、ただの可哀そうなガキという感想で済む。

 問題は、司の強さを出す表現として「まるで五条悟のようだ」と言われる点である。

 

「(ったく、なんで俺がそんな辛気臭ぇガキと比べられなくちゃいけないんだよ)」

 

 五条悟。

 生まれついての最強。

 無下限術式による障壁によって誰も彼に傷を付けられず、六眼によってあらゆる術式を看破する。

 正しく最強の術師。そんな俺が5つも年下のガキと比べられる?………ふざけんな。五条悟の心境はそんな感じだった。

 そんな時であった、彼に呪霊の討伐任務が下ったのは。

 別になんてことはない。いつもの仕事。そのはずだったのだが、予想外のことが起きた。

 任務先に、一人の子供がいた。

 とても綺麗な子が。

 

 黒く艶やかな髪。

 良質なストレートヘアーは光を反射して天使の輪が浮かび上がっている。

 

 健康的できめ細やかな肌。

 シミも傷も一つないモチモチの白い肌はまるで新雪のようである。

 

 宝石のような瞳。

 呪力で赤く光るソレは引き込まれるような魅力を醸し出している。

 

 色気のある雰囲気。

 年不相応の妖艶なオーラはまるで妖精か何かのようだ。

 

 かなり整っている外見。

 かっこいいというより、可愛らしい。

 生得領域(こんなとこ)じゃなくてステージの上で踊ってる方がよっぽど似合ってる。

 だが、彼の六眼はそんな外見に決して騙されなかった。

 

「お前、武玄司?」

 

 口では疑問形だが、悟の中では既に答えは出ていた。

 間違いない、この子供こそ武玄司だと。

 今まで見てきた呪術師の中で最も強大な呪力。おそらく、量だけなら五条悟(オレ)に勝っている。

 それにコイツの術式、なんか妙だ。

 

 情報では呪霊操術とあったが、六眼にはそう映ってない。

 というか、黒い靄みたいなものが掛かってよく見えない。

 術式を隠している。ばれている以上する必要ないのに。

 

 何かある。

 呪力にも術式にも、おそらく他にも。

 突いてみたら面白いものが見れるかもしれない。

 なら、やらない理由はない!

 

 

「術式順転『蒼』」

 

「呪力開放『破』」

 

 

 悟の攻撃に合わせて、司が呪力の砲撃を繰り出した。

 片や特大質量の呪力砲、片やブラックホールの如き一撃。

 両者はぶつかり合い、互いに相殺し、大爆発。

 ただでさえ消えかけだった生得領域はこの影響で完全に崩壊し始めた。

 崩れる領域の中、二人は次の手に出る。

 

【術式 無下限呪術】

 

【術式 投射呪法】

 

 

 両者は高速で動き出した。

 悟は司に接近する為に、司は悟から逃れる為に。

 片や御三家の相伝術式。片や禪院家現当主の術式。

 相反する二つ。勝利したのは司の方であった。

 

「………え?」

 

 五条悟の口から、困惑の声が漏れた。

 一瞬止まる悟。その隙に司は悟から距離を取った。

 

「(ウソだろコイツ!? 何で禪院のおっさんの術式使ってんだ!?呪霊操術じゃねえのかよ!?……いや、呪力がアイツのじゃねえ!)」

 

 目を見開かせて司を凝視する。

 間違いない、投射呪法だ。呪霊操術ではなく、全く別の術式を使っている。

 術式は通常一つしか使えない。なのに二つも、しかも禪院の術式。

 しかし、感じられる呪力は司本人の物ではない。一体何が起きている。

 その一瞬だけ、悟は思考するために止まってしまった。

 

 種は簡単、呪隷の術式を使っているだけである。

 呪隷操術は呪霊操術と違って術式の抽出を行わずとも、呪隷を介して術式を自身に掛けられる。

 

 見え過ぎるがゆえに生んだ隙。

 ソレによって司は先手を取れた。

 

「まさか呪霊操術の拡張術………!?」

 

 

【術式 呪爆】

 

【術式 無下限呪術】

 

 

 計十発の呪力弾を瞬時に生み出して術式を付与。すぐさま悟目掛けて射出した。

 呪力弾は全て命中。しかし全て無下限によって阻まれた。

 

「(ッチ、呪爆でも無下限を爆弾に変えれないか)」

 

 呪爆で爆弾に変えられるのは呪力が触れた物のみ。

 無下限はあくまで概念であり、そこにあるものではない。触れられない以上、爆弾に変えられない。

 しかし問題はない。通じるに越したことはないが、最初から期待はしていなかった。

 呪爆の役目はあくまで足止め。五条悟を牽制し次の手を打つための布石である。

 

 

【術式 呪隷操術】

 

 

 司は数体の呪隷を召喚した。

 全方向から、悟を囲むかのようにして姿を現す呪隷達。

 呪霊としての姿で現れ、一斉に術式を行使、或いは呪力を撃ち出す。

 

 

【術式 無下限呪術】

 

 

 だが、五条悟には届かない。

 たとえどれだけ群れて来ようが、彼には無下限がある。

 コレを攻略しない限り、五条悟を倒すなど夢物語もいいころ………という程ではない。

 

「(ッチ、思った以上に使役呪霊の数が多いな。しかも特級も混じってやがる)」

 

 五条悟もまた、司の術式に手を焼いていた。

 今の彼は十四五歳程。無下限と攻撃を同時に使える程の熟練度は無い。

 無論、切り替えはほんの一瞬。無下限の張り直しには一秒も掛からない。

 しかし、その一瞬の隙もこの大群の間では命取りになる。

 何十体もの呪霊の術式と呪力の嵐。しかも中には特級がちらほらといる。

 

「(複数の術式にここまでの呪霊、しかも特級付き。……たぶん、知能もある。厄介だな)」

 

 隙は無いが時間はある。その間、悟は術式と呪力の弾幕の中で冷静に戦力を分析していた。

 呪霊を介して複数の術式を行使、質も高く量も多い呪霊の軍。……成程、確かに厄介だ。

 しかしソレだけ。全て五条悟には届かない。

 

 複数の術式―――おそらく一度で使えるのは一つ。なら六眼でどんな術式かすぐに看過出来る

 呪霊の群団―――たとえ特級でも無下限は破れない。なら気にせず攻め込めばいい。

 

 やる事はいつもと変りない。

 こいつも五条悟(オレ)には近づけない。

 

「(結局、コイツも一緒か………)」

 

 悟の何かが一気に冷めた。

 期待。複数の術式を使えるコイツなら、もしかしたら俺に届き得るんじゃないか。

 五条悟をも上回る呪力量、特級クラスの呪霊を数体も操れる術式。

 コイツなら他の奴ら(虫や花)じゃ出来なかったことをしてくれんじゃないか。

 自分勝手で一方的な願望。勝手に期待されて勝手に失望される。司にとっては迷惑もいいとこだ。

 しかし、それでも、この失望という感情は抑えられなかった。

 

「もういい、ここで倒れろ」

 

 呪力を集中させ、呪霊を一掃する準備をする。

 殺す気はない。まだ十代にもなってないガキを躊躇なく殺せる程、今の五条悟は非情になりきれてない。

 

「術式順転『蒼』最大出りょ…!!?」

 

 突然、身体に痛みが走った。

 未経験の感覚。そのことに五条悟は混乱し、一時術の制御を失う。

 

「(な、なんだ!?一体、何が……!?)」

「毒だ」

「ど…毒?」

 

 一瞬、何を言ってるのか五条悟には理解できなかった。

 馬鹿な、術式で毒になるようなものは使って無かった筈。一体どんな手をつかったんだ!?

 

「コレは呪術で出来たモンだが、毒そのものはただの毒だ。無味無臭のな。だから気づかなかったんだろう」

 

「六眼でそういった能力がないから安心したか? それとも術式が多すぎて見過ごしたか? まあどちらにしろ油断したのには変わりないな」

 

「その油断が命取りになるんだよ、最強」

 

 

 

「(クソ……が!)」

 

 可愛らしい顔を邪悪に歪める司。

 ソレが最後に見たものだった。

 





司が上手い具合に仕組んでた+呪力や呪隷が多すぎて情報過多になってた+失望して気を抜いた+呪力の無いものは無視してた。
結果こうなりました。
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