死刑にならないよう羂索が手を回したって設定にしてます。
乙骨は…関係ないからいいや。てか悟以外で里香ちゃん止められないし、夏油(本物)のと頃に駆け込んで生き延びたって事にしよう。
「ほう、昔馴染みの顔を見に行ってやろうと思えば。まさかこのようなことになるとは」
渋谷の町中。
無人になったスクランブル交差点。
呪いと術師が立ち会っていた。
虎杖の身体を一時的に乗っ取った宿儺と、敵を倒し終えた司。
司は無表情を保ち、宿儺はニヤニヤと面白いおもちゃを見つけた子供のような笑みを浮かべる。
「貴様の噂は聞いている。なんでも呪いの王子を名乗っているようではないか」
「何だソレ?初耳だしそんなことを言った覚えはないんだけど」
「ククク、つまり周りが勝手にはやし立てているだけか。人のやる事はいつの時代も変わらんな」
宿儺は軽く笑った後、訝しむような目を司に向ける。
「貴様から俺の呪力が僅かにする。まさか、俺の指を喰らったのか?」
「ああ。マズくてとても食えたものじゃなかった」
「だろうな。俺の指の毒性と呪力に耐えられる者はそうそういない。消化するなど以ての外だ。………一体どんな手品を使った?」
司が吸収した宿儺の指。
完全に消化しきったのではなく、呪力がほんのわずかに残っている。
もし司が死ねば、死体から回収できるかもしれない。
「何だ?指を取り返したいのか?なら俺の腹を掻っ捌くしかないぞ」
「そうか、なら遠慮なく」
途端、急に斬撃が飛んできた。
虚空から現れ、ソレを防ぐ呪隷。
一人は刀を、もう一人は槍を以て。
各々の武器で宿儺の斬撃を防いだ。
二人ともかつては司を狙っていた呪詛師だったが、司の呪隷に殺されたことで呪隷となった。
人間時は二級程度だったが、呪隷となった今では術式を強化され、特級を名乗れる程度には強くなっている。
「ほう、女子供に守ってもらうとは。呪いの王子様の護衛は人手不足と見える。それとも人望がないのか?」
「「ッ!!?」」
怒りを見せる二人。
しかし手は出さない。
彼女たちの役目は司の護衛。
自身の怒りを優先して勝手に動くなど呪隷としてあってはならない。
なので他の呪隷に任せることにした。
宿儺の死角から赤黒い光が走る。
悪魔の呪隷、リアス・グレモリーによる攻撃である。
防御不可能の呪い。受ければ問答無用で消滅する魔の光。
宿儺は避けることなくソレを片手で弾いた。
「フン、全てを消す光か。ありふれた術式だな」
消滅の光を難なく己が呪力で中和。
同質量なら無下限をも突破できる術式。
しかしそれは、質量に差があるのなら無意味という事。
如何に格式高い術式でも、無敵に近い術式でも。
自力に差があれば覆されてしまう。
呪術とはそういう世界である。
「ならこういうのはどうだ?」
【拡張術式:呪霊強化】
呪隷を追加した上、司の呪力で強化する。
連携を取り、指示を出して、作戦を練って、呪隷は一つの軍となって宿儺を追い詰めんとする。
適当に出しても率先して戦い、自分でどう動く考える。呪隷の一番の強みだ。
「よくもまあ、ここまで特級を揃えたものだ」
クカカと笑う宿儺。
縦横無尽に渋谷を駆け抜ける。
地下を貫いて潜り、ビル群を飛び交い、大通りを爆走する
呪隷の包囲網を突破し、術式で呪隷を切り裂き、力ずくで彼女たちの作戦を潰していった。
「(作戦行動がとれる呪霊とはこれまた面白いな。呪霊操術の術師と戦ったことはあるが、ここまで統率された動きは無かった)」
「(しかし妙な術式だ。本当に呪霊操術か?使役されている呪霊とはもっと機械的な動きをしていた。なのにコイツのは術師以上に連携が取れている。まるで軍隊だ)」
「(大方遠視や伝心の術式を持つ呪霊が指令を出しているのだろうがそれにしても出来すぎている。そもそもそんな簡単に都合のいい術式を持つ呪霊を確保出来るものか?)」
「まあいい。なかなか無い機会だ。存分に楽しませてもらおう」
術式と呪いがクラスター弾や暴風雨の如く降る。
宿儺はソレを凄まじい速度で避け、斬撃で捌く。
悠然と散歩するかのように町を練り歩きながら。
呪隷が弾丸或いは疾風迅雷の如き速度で接近する。
宿儺はソレよりも早く動き、細切れにしていった。
偶然見つけた林檎ジュースとポテチを食べながら。
建物の瓦礫が津波のように押し寄せる。
宿儺は巨大な斬撃でソレを二つに切断。
モーゼの海割のように道を切り開いた。
「お前で最後だ、赤毛乳牛」
「貴様―――」
呪隷の顔に触れる。
トンと、軽く触る程度。
だが発動させる呪いの威力は絶大。
彼女が言葉を続ける前に、その呪隷は細切れとなった。
「お前の妾たちは全て殺した。今度はどんな演目だ?待ってやる―――ッ!!?」
ソレを見た途端、宿儺に緊張が走る。
月の隣に映るは一人の男と巨大な塊。
圧縮された呪霊を攻撃に転じる奥義。
「信仰 暗影 獣と咆哮 隷属の先」
祝詞によって更に強化。
宿儺目掛けて解き放つ。
「極ノ番 うずまき」
術式を抽出することなく威力に変換。
渋谷の街を破壊しながら宿儺を呑み込んだ。
作戦通り。
敢えてそれなりの呪隷たちをぶつけて宿儺を油断させる。
宿儺が暴れている間に呪力を隠しつつ、うずまきを確実に決められるよう準備。
ポイントは宿儺にぶつける呪隷は彼を楽しませる程度には強い事。余興に熱が入っている時がねらい目だ。
作戦は成功した。
うずまきが直撃している。
宿儺とてタダでは済まない…。
「領域展開・伏魔御廚子」
瞬間、渋谷に地獄が出現した。
宿儺の領域、伏魔御廚子。
彼の領域は独特で、一般的な領域と違う。
結界で空間を分断しない、閉じない領域。
結界を閉じずに生得領域を具現化することは、キャンバスを用いず空に絵を描くに等しい神業。
相手に逃げ道を与える縛りにより底上げされた必中効果範囲は、最大半径約200mを超える。
領域内でこの必中効果から逃れられる者は存在しない。
武玄司に回避不可の斬撃が降り注ぐ…。
「コレが次の出し物だ!」
「ッ!?」
宿儺の眼前に現れる司。
司は領域の必中効果を受けることなく、無傷のままで。
飲み込んだ宿儺の指。
司は消化しきってない呪力を利用して宿儺を欺いたのだ。
領域を展開した術者に必中効果が降り注ぐことは先ずない。
ソレを利用して必中効果を回避し奇襲する。
特級術師とて、ここで終わるであろう。
「―――ッ!!?!」
司の拳が直撃。
瞬間、宿儺の領域が崩壊する。
他ならぬ領域の主、宿儺の致命傷によって。
「クッ、俺の指を利用したかッ! 武玄司ァ!!!」
「出し抜かれてムカついたか!? 宿儺ァ!」
宿儺は潰された心臓を反転術式で回復させる。
既にボロボロの肉体。拳を喰らった際は今にも崩そうだった。
不意打ちに食らったうずまき。このダメージはかなり大きい。
司に撃とうとしていた
その上、威力が高すぎて原型を留める程度にしかうずまきの威力を軽減出来なかった。
今でも治し切れていない。何かしらの術式のせいで反転術式がうまく働かないのだ。
おそらく、うずまきに何か盛られたのだろう。
時間はたっぷりあったのだ。可能性は高い。
宿儺は認識を改めた。
司は面白い出し物をする道化などではない。
自身に並ぶ術師であり、殺し得る存在であると。
「反転術式の時間を稼ぐ気か?させるか!」
宿儺に接近する司。
肉弾戦は得意ではないが、呪隷を体に降ろす事でソレを克服している。
反転術式:呪隷纏い。
体術が得意な呪隷を吸収する事でその知識と技術と経験を会得。
これこそ呪隷纏いの真の能力である。
「更にダメ押しだ!」
格闘戦を繰り広げながら、司は呪隷を召喚。
雷の呪隷たち。カルイ、サムイそしてマブイ。
彼女達は雷となって融合し、一つの呪隷となる。
【虚式:呪隷融合】
【呪隷 鳴子】
融合。
全く別の呪隷へと変貌した。
虚式:呪隷融合。
足し算ではなく掛け算或いは相乗の術式。
拡張術式の合体とは異なり、呪隷や術式を融合させる事で次の段階へと進化させる。
文字通り雷の速度で接近するナルコ。
司と共に接近戦を宿儺に仕掛ける。
「ッッ!!!」
いくつかの攻防の末、司とナルコの連携が直撃。
同時。宿儺に痺れを与え身体を麻痺させ、動きと思考を鈍らせる。
このままでは押し切られる。
攻撃が届かず、一方的に殴られている現状。
明確な敗北のイメージ。
自分は今、苦渋の選択を迫られている。
ソレを理解した瞬間、宿儺は即決した。
「―――ッ!?」
咄嗟に距離を取る司。
何故そうしたか彼自身にも分からない。
呪隷纏いで手にした術式で守られている今、回避の必要など無い筈なのに。
その答えを司はすぐ知ることになった。
宿儺は決断した。
勝利の為に完全復活を捨てると。
武玄司に勝利する為、捧げると誓った。
「俺を追い詰めた褒美であり、騙した罰だ。指をくれてやる代わりに、お前を殺す」
「領域展開」
・虚式:呪隷融合
呪隷操術と術式反転の合わせ技によって開発された三つ目の虚式。
複数の呪隷を融合することで強力な呪隷に進化させる。
似た拡張術式の呪隷合体はAとBを足してA⁺或いはABに変化させるものだが、この術はCという全く別の呪隷に進化させ、元となった呪隷より数段強い呪力と術式を持つ。
時間や空間を操ったり、概念に干渉したり、現実や歴史の改変など、融合によって進化する呪隷とその術式は自然には発生しえない強力なものばかり。
しかし進化の法則性はよく分かっておらず、融合させるまでは強力である事以外不明。
融合は生得領域内では出来ず、時間もかなり掛かる為隙が大きい。
また制限時間があり、ソレを過ぎると自動的に解除される。
リクエストで時間操作や因果律操作などの強すぎる術式の呪隷があったので、ソレを登場されるためのつじつま合わせとして考えました。