呪隷操術~呪霊を支配してハーレムを~   作:大枝豆もやし

4 / 31

通常攻撃が黒閃という設定でしたが、流石に無茶があるので訂正します。
申し訳ございませんでした。


黒閃

 

 〇月◆日

 親父が帰ってこないのは別にいい。

 俺だってあんなDV野郎なんざ家にいなくたっていいからな。

 性格はゲロカスだが金はあるし、十分仕送りしてくれる。ならそれ以上に用はない。

 問題は母親の方だ。鬱陶しくて堪らん。

 

 あの女、遂に父親よりも俺を愛してるとかほざきやがった。

 嘘を吐くな。お前は父親が恋しくて俺を抱きしめているだけだ。

 けど、ソレを口に出すことはない。悔しいが今の俺はこいつに飼われているんだから。

 犬猫と一緒だ。俺はこいつの愛玩動物。愛想を振りまくしかない。

 一人で生きられるようになるまでの辛抱だ。

 そう遠くないうちに呪術高専からスカウトされ、給料たんまり貰うまでの。

 ソレまでは厄介な女の扱い方を勉強していると思っていればいい。

 

 せいぜい俺に貢げ。この奴隷が。

 

 

 ◆月●日

 呪力の訓練だ。

 何とか母親から逃げ出して呪力の訓練の時間を取れた。

 あの女、父親が帰ってこなくなってから鬱陶しいぐらいに引っ付いてきやがるからな。テメエは家事だけしてりゃいいんだよ。……まあ、今はどうでもいいか。

 

 今回の課題は応用。ハンターハンターの四大行の応用技をモデルにやってみた。

 けどこれは基本的な呪力の扱いを覚えたおかげか、思った以上に早く会得できた。けど、上手くできないのもあった。

 周や凝とかは近いことを原作でも出て来たからか、割と短時間で憶えられたが、円や隠みたいな使い方はされてないせいか、時間がけっこう掛かった。

 しかしこうして俺はどれも習得してみせたんだ。この年で。

 もしかして俺、天才なのかな?

 

 けど、なら何で術式が未だに使えないんだ?

 

 

 ×月〇日

 今日もまたあの女への接待だ。

 あの女が求めているような子供を演じて、その上であの女が求めているような言葉を吐く。

 話は基本的に同調して、泣いていれば慰め、悩み事は黙って聞く。

 ホストにでもなったかのような気分だ。

 いや、今日という言葉はおかしいな。なにせ今世になって言葉を覚えてからずっとそうなんだから。

 で、今日もあの女のホストとして俺は働く。

 

 朝食の後の自家製コーヒー。―――父親の好物だ。

 ガキが引き立ての熱々ブラックコーヒーなんて好きなわけねえだろ。

 

 一緒に遊ぼうと言ってお馬さんごっこ。―――父親の好きなプレイだ。

 女を支配したがるアイツと男に依存したがるこの女。ホントにお似合いのお遊びだ。

 

 今日買ってきた玩具のマイク。―――父親の得意分野だ。

 アイドルやってるあいつはテレビの前でよく歌って踊っている。この間俺に聞かせやらそうとしていた曲はアイツのだった。

 

 晩飯の辛めの肉料理。―――父親の好物だ。

 ガキで辛い食い物なんて好きな奴そうそういねえぞ。

 

 一緒に風呂入ってソーププレイ。―――親父の好きなプレイだ。

 デカい胸で全身を洗う。前世の俺も巨乳好きだが相手が実の母親だと萎える。

 

 新しく買ってもらった玩具―――父親の出演している特撮のキャラのだ。

 物語での役は敵役。しかも女好きで地位を悪用するクソ幹部だ。マジで適役だな。

 

 けどこんな生活もすぐ終わる。

 俺の等級は少なく見積もっても準二級。術式は分からないが、これだけ才能があるんだ。きっとすげえチートに決まっている。

 ソレに、術式無しでもこれだけ色々出来て戦えるんだ。結界術や式神術だって学べばすぐに使える。

 

 大丈夫、俺は転生者なんだ。

 前世の記憶がある。前世の経験がある。

 俺はもう失敗しない。前世みたいな人生にはならない。

 

 そうだ、俺はチート転生者なんだから。

 

 

 ×月◆日

 最近、呪霊の数が増えてきている。

 せいぜい週に一回準二級か二級程の呪霊に遭遇する程度だったんだが、最近ではよく見かけるようになった。

 俺の家族への憎しみのせいじゃない。もっと大きな事件のせいだ。

 

 実をいうと、最近交通事故がこの町であった。

 けっこう大きな事件で新聞やテレビにも取り上げられており、今でもそのことが放送されていた。

 たぶんこのせいだろう。

 

 出て来た呪霊は車のものばかり。

 しかも結構強めでそれなりに俺と戦える奴ばかりだ。

 まあ、俺にとっては嬉しい誤算だけどな。なにせ、おかげで強くなれるんだから。

 

 早速、覚えたての技をぶつけ、俺は呪霊共を祓いまくった。

 

 

 △月●日

 全然呪霊が減らない。

 

 呪霊のシーズンである夏が過ぎて落ちつくと思ったのだが、むしろ量も質も増している。

 その上こっちに寄って来るのだからさあ大変。祓っても祓っても湧いて出てくる。

 まあ、大変なのは一般人にとってだけどな。

 

 俺としては大歓迎だ。

 戦えば戦う程、呪力の扱い方が上手くなる。

 倒せば倒す程、呪力が鍛えられて強くなっていく。

 

 そして遂に、俺は黒閃を習得した。

 

 あれは呪霊と戦っていた時の事。

 ほぼ反射的に敵の攻撃を捌いて反撃すると、突然鈍い衝撃音と黒い火花が発生した。

 その時までは有効打を与えられなかったはずなのに、瞬間そいつを一撃で倒せた。

 

 最高の気分だった。

 この瞬間、俺は自分の呪力を確固たるものとして感じることが出来た。

 その時までは曖昧なものとして捉えていたが、全身の細胞一つ一つから呪力を出しているような、そんな感覚がした。

 原作では東堂が『呪力の味を理解する』と、ななみんが『トップアスリートで言うゾーンに入った感覚』とか言ってたが、正しくその感覚だ。

 

 自分が映画や漫画の主人公にでもなったかのような全能感。

 今まで出来なかったことが出来るようになった達成感。

 呪力が何処までも自在に疾走するかのような爽快感。

 

 最高の気分だった。

 呪力が染み渡るあの感覚。

 肉体と呪力が溶け合いそうな、一体化したかのような気分だった

 

 その後は黒閃のバーゲンセールだ。

 鉄は熱いうちに打てとよく言うからな。

 この感覚を忘れないうちに何度も肉体と呪力、そして呪霊共に叩き込んだ。

 

 黒閃の影響はかなり大きかった。

 呪力とその巡りが圧倒的に上がっていたのだ。

 身体強化は勿論、念能力で言う円や隠も明らかに以前とは別物クラスで上手くなっている。

 転生者である俺が言うのも何だが、まるで生まれ変わったかのような気分だ。

 

 確かな成長……いや進化を感じた。

 

 いける。俺ならいける。

 これからもっと強くなって、もっと色んな技を覚え、術式や反転術式……いや、領域展開にも目覚めてやる。

 

 

 〇月×日

 入学して一週間で不登校になった。

 

 

 

 夜中の浜辺。

 最近そこで水難事故が発生し、一時はニュースにも取り上げられてた。

 しかし、次から次へと新しいニュースは湧き、古い情報は埋もれていく。

 やがて忘れ去られ、観光客も例年通りに戻ってきた。

 ここが既に呪われているとは知らずに。

 

 負の念あるところに呪霊あり。

 今宵も呪いは人間に牙を剥く。

 

「うらあ!」

 

 そして、その牙を折るのもまた人間である。

 

 司の拳が呪霊を捉えた。

 小学生になりたての子供の拳。

 繰り出されたカエル跳びアッパーは黒い光を放ちながら呪霊を打ち砕いた。

 

「せい!」

 

 空中で回転して、背後から襲い掛かろうとした呪霊を蹴り飛ばす。

 体幹の筋力のみでの方向転換。呪力で強化しているとはいえ無茶な技。

 しかし司は難なくこなし、呪霊の身体を破壊した。

 

「らあ!」

 

 蹴りの反動を利用して方向転換。

 別の呪霊に全体重が乗った踵落としを食らわせ、塵へと還した。

 同時に蹴りの勢いで高く跳び、また別の呪霊へと攻撃を食らわせる。

 

「黒…閃!」

 

 自身より数倍大きな巨体。

 しかし、司の全体重が乗った拳を食らった途端、その呪霊は一瞬で消し飛んだ。

 破壊力の正体は黒い光を放つ稲妻の如き呪力。

 黒閃。

 呪力が文字通り黒く光り、通常時の2.5乗という驚異的な威力を生み出す現象。

 この現象を起こすには打撃との誤差0.000001秒以内に呪力を衝突させるというシビアな条件が必要だが、この少年は難なくそれを達成した。

 

「黒閃……」

 

 また別の呪霊を殴る。

 背後から奇襲を仕掛けた呪霊。

 動いたのは相手が先であり、司は出遅れた。

 しかし、先に当たったのは、リーチにも劣る司の黒く光る拳だった。

 

「黒閃」

 

 司の蹴りが黒い光と共に命中した。

 圧倒的に短いリーチ。

 子供の足なら当たり前だが、とても届きそうにない。

 だが、当たったのは呪霊の突進ではなく蹴りが先だった。

 

「黒閃!」

 

 次々と打撃を当て、呪霊を屠る。

 拳が、蹴りが、司の攻撃が全て黒く光る。

 ソレが当たる度に、呪霊は本来ある形へと還っていった。

 

「(ああ、何だこの気持ちは……?)」

 

 楽しい。

 呪力を使うのが。

 映画の主人公にでもなった気分だ。

 

「(とても…いい気分だ)」

 

 疾走る。

 拳が、蹴りが、呪力が。

 踏み込んで放った瞬間、飛ぶように攻撃が伸びていく。

 

 軽い。

 全身が、呪力が、羽のように軽い。

 あらゆる制約から解放されて、自由になった気分だ。

 

 熱い。

 身体が、呪力が、沸騰しているかのように熱い。

 滾る力を乗せて、一気に解放させた。

 

「最高に…ハイって奴だ!!」

 

 高揚感に身を任せ、彼は呪霊を狩り続けた。

 

 

 




主人公は黒閃を覚えた!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。