五条悟が周りが花に見えるっていう発言、私は『ああ、花でよかった』と思いました。
だって、あれだけの力を持っていたら、鬱陶しい虫けらとみなされたっておかしくないですからね。まだ花に見えるだけ踏み潰さないよう注意してくれますし、潰してしまったら罪悪感を持ってくれるだけマシに思えました。
あと、花と表現するあたりBLEACHっぽくてオシャレですね。
〇月〇日
遂に呪霊の被害、しかも人死にが出た。
俺が駆け付けた時には既に呪霊が人をバラバラに解体しており、助けられる状況ではなかった。
けど、俺は何も感じなかった。
強いて言うなら『え、人間ってあんなにしぶといの!?』と驚いた事と、それぐらいにしか感じなかった自分に驚いた。
こういった時って漫画だと一般人を殺されて怒ったり、間に合わなくてごめんって思うんだけど、そういったものは俺にはないらしい。
いや、多少の罪悪感と後味の悪さはあったかな? けどソレだけだ。こうして日記に書いてる今ではもうその感覚も無くなっている。
こんなに薄情な人間だったか?
確かに前世の俺は善人とは程遠かったが、ここまで冷酷な人じゃなかった筈だ。
俺に何が起きている? 生まれ変わって人格や価値観が変化したのか?
いや、変わらないのが不自然か。
転生。それは別の存在に生まれ変わること。
今の俺は武玄司。前世の〇〇〇 〇〇じゃないんだ。
臆病で、怠け者で、その癖して何もしなかった○○じゃない。
自分でいうのもなんだが、俺は結構勇敢だと思う。じゃなきゃ呪霊と殺し合いなんて出来るわけがない。
自分でいうのもなんだが、俺は結構勤勉だと思う。じゃなきゃ
自分でいうのもなんだが、俺は結構活発的だと思う。じゃなきゃこんなに呪術訓練と呪霊狩りに没頭して、母親のホストを演じて、積極的に動くわけない。
違う。
今世の俺は前世と違う。
顔も、性格も、価値観も、家庭環境も。
そもそも脳みそや遺伝子自体が前世とは違うんだ。
ここまで違っていたらもう同一人物とは言えない。別人だ。
偽夏油も言っていたじゃないか。肉体は魂であり魂は肉体だと。
ああ、そうだ。俺は生まれかわったんだ。別人へと………武玄司へと。
とはいってもやる事は変わりない。
自己鍛錬と呪霊狩りだ。
より鍛えて強くなる。呪力を上げ、呪力操作の練度を上げ、呪霊との戦闘経験を重ねる。
より多く呪霊を祓う。呪力を取り込み、術式を奪い、ソレらを使いこなすことでより強い術師になる。
目標は定まった。強くなる、ただそれだけ。
手段も定まった。自己鍛錬と呪霊を祓う事。
俄然やる気が出る。
前世の何をすれば分からない世界とは違って実にシンプルな世界。
手段も目的も分かりやすい。そして今の俺には達成する力がある。
やってやる。
俺はこの力を極め、頂点に立ってやる。
〇月☆日
町の様子がおかしい。
呪霊による殺しのせいだ。
事件はまだ未解決。犠牲になったのは子供。犯人も分かってない。……そりゃ町も恐怖で混乱する。
学校は学級閉鎖。子供は外出禁止になり、自治会の大人がパトロールしている。むろん、俺の母親はしてない。
まあ、俺は大人しく自宅待機するつもりなんてないけどな!
町中に恐怖が蔓延してるということは、その分呪霊が強くなっているという事。
こんなおいしい状況でじっとしてられるわけがないし、恐怖で強くなった呪霊を放っておくわけにはいかない。
俺のためにも、町のためにも。俺は今日も呪霊を狩る。
△月□日
家にまた教師が来やがった。
学校が閉鎖して余裕が出たから俺の様子を見に来たんだと。
余計なお世話だ。本当にウザい。
俺は教師という人種が前世から嫌いだ。
自分たちは立派で素晴らしい大人だと、子供を管理して導いてやれると勘違いしてやがる。
気に入らない。偉そうにしていながら肝心な時には逃げやがる癖に。
先生は皆の味方? 自分と評価の間違いだろ。
教壇から見下ろしてる癖に何も見えちゃいない。たとえ見えたとしても蓋して見なかったことにする。
看守。
奴らの仕事は子供を導くんじゃなく、社会に出荷する家畜を見張るための監視だ。
俺は違う。
家畜なんかにならない。
檻を破る為の力を俺は持っている。
△月〇日
母が浮気していた。
相手は地元の金持ち。父親程じゃないがそれなりにイケメン。
男の影がある母親に手を出すあたりヤバいが、父親と比べたらマシだ。
成程、これが原因で俺に興味がなくなったのか。
癪だが母親は美人で若く、スタイルもいい。そりゃモテるわ。
なかなか会いに来ない親父より、女好きとはいえ近くで愛しているそっちに移った方がいい。
まあ、俺には関係ないけどな。というか都合がいい。
どうせすぐ家を出ることになるんだ。何せ俺は既に特級並みの戦闘力があるんだから。
多分、呪術高専に入ったら即戦力になるだろう。そうなったら少し早めの自立だ。
その時に備えて今日も俺は鍛え戦う。
□月□日
町で噂されるようになった。
あの金持ちは既婚者らしく、母親の他にも浮気相手がいたらしい。
派手にやりすぎだ。速攻でバレてるじゃねえか。
まあ、俺のやることは変わらないけどね。
今日も日課をこなす。
□月▼日
クソガキ共が俺をバカにしてきた。
相手は上級生でしかも複数。遠くから俺の悪口を喚いてやがる。
内容は毎度の如く俺の不登校と、母親の浮気について。引きこもりニートだの社会の落ちこぼれだの売女の子供だの好きかって言いやがる。
学級閉鎖はもう解除されているのに何で平日にいやがんだよ。テメエらもサボってるじゃねえか。
まあ、別にガキから何言われても気にしねえけど。
どうせ俺への悪口も大半は親が言ってたことだろ。
ホントにうざい。こいつらに合わないように時間調整してるのに何でいるんだよ。そんなに俺のこと好きなの?
ウザイので軽く睨んでやった。そしたらビビって逃げ帰っていきやがった。チョロいぜ。
☆月△日
俺が睨んだガキが事故に遭った。
そのことで教師と警察が家に来たのだが、俺にしたらなんのこっちゃっていう感じだ。
何でも事故に遭ったガキ曰く、俺に呪われたらしい。
勿論、警察はそんな与太話を信じちゃいないのだが、教師の方は違った。本気で俺に怯えていた。
ガキを睨んだ際、俺の目は赤く光っており、ソレによって呪われたという。
確かに、俺は感情が高ぶると目が赤く光る。
呪力が集中してしまうせいだ。
けど、だからといって邪眼的なものが出来るわけじゃない。せいぜい視力が上がるのと、呪力の流れがよく見えるぐらいだ。決して相手に害をなせるようなものではない。現に、呪霊狩りでそんな効果は出たことが無かった。
では非術師相手にはどうか。……断言は出来ないが何かしらの影響はあるだろう。
呪力とは負の感情から生み出されるエネルギー。向けられていい影響なんて普通はない。
もしかしたら、視線に宿った呪力を浴びて何かしらの呪いに掛かることも考えられる。
対象が呪術師だったり呪霊だったら何のダメージもないだろう。けど、呪力に対して抵抗力が非術師ならどうなるか。
俺は術なんて知らない。
帳の張り方も、式神の使い方も、何なら基本的な呪術だって知らない。
そんな俺に誰かを呪えるのかは正直疑問だが、呪力を送るだけでいいのなら簡単だ。
ただ敵意を向けるだけでいい。微量の呪力ならソレだけでぶつけられる。
もし、本当にこれだけでいいなら、俺は無意識に人を呪えるということになる。
けど、だから何だと言うんだ?
そもそもコレは仮説だ。本当に呪えたかどうかは怪しい。
いくら現代ファンタジーの世界とはいえ、何でもかんでも超常現象のせいにしてはいけない。
というかどうでもいい。あんなガキに関心を向ける程俺は暇ではないのだ。そんな時間があるなら勉強してる。
☆月〇日
俺の力について今日また少しわかった。
呪力も術式も、ソレを扱うセンスも。神様転生で得た特典なんかじゃない。
天与呪縛だ。
俺が呪霊から逃げられないのも、俺の周りに呪霊がよく出るのも。全部そういう縛りなんだ。
代わりに俺は膨大な呪力とセンス、そしてソレに匹敵するであろう術式を得たんだ。
気が付いたのは今日。
ふと、複数も術式があるのだから何かデメリットがあるのではないかと考えていると、この二つの条件が頭に浮かび上がったのだ。
かなり特殊な天与呪縛だ。
本来ならば、呪力が無かったり、感覚や体の一部など、当人が具体的に持っている何かを失うものだ。
しかし、俺の場合は行動の制限と不都合な因果という不幸を押し付ける形になっている。
もしかしてこれってかなりのレアケースじゃないだろうか。
天与呪縛自体かなり希少だが、俺はソレに輪をかけて……いや、史上初かもしれない。
本当かどうかはまだ断言出来ない。
思い浮かんだだけで俺の妄想という可能性だってあるし、実証しようにも手段がないのだから。
けど、もし本当なら。もし本当にこの縛りが実在するなら……。
俺がこの町に呪霊を引き寄せていることになる。
二つ目の縛りの具体的な内容は、呪霊を引き寄せる体質を得る事。
つまり、俺の存在が呪霊を呼び寄せていることになり、俺の周りの人達はその被害を受ける危険性があることになる。
うん、まあいっか。
別に俺が何かしたわけじゃないんだ。
俺の天与呪縛は引き寄せているだけであって、活性化したり狂暴化したりしているわけではない。
呪霊は何処にいても呪いを振り撒く。ただそれが俺の周囲になっただけだ。呪いそのものには変わりない。
ソレに、呪霊が引き寄せられても、被害が出る前に俺が片づければいいだけ。
むしろ、俺の近くに来る方が被害を未然に防げる。
いいことずくめだ。何も問題はない。
×月Ω日
父親が母親を殺した