小人族転生!不遇な扱いを受けるけど諦めないのは間違ってない 作:小人の英雄
「同士よ!愚かな冒険者に刃を抜き放て!!」
「「「死を!死を!死をッ!!」」」
「死に絶えろ、冒険者!」
「ナターシャ、今からそっちへ逝くぞ!!」
死装束を思わせる白ローブを着こなす狂人達・闇派閥、そして祭りや18階層に現れた新種・食人花が、リーダーらしき男の号令で一斉に牙を向いた。援軍の【剣姫】は分断されて不在。ここにいるのは【ヘルメス・ファミリア】ともう一人の援軍だけ。
敵の数はこちらの倍以上、質だって高い。されど、劣勢にはならなかった。ならない理由があった。
「ああ、アリス!今から───な、ぎゃあああああ!?」
「え、あああああ!?」
「なにしてる、貴様ら!たかだか数人程度だぞ!?」
石を投げられた。
当たりどころが悪かったのか、彼らに近づく前に爆発し、それが近くにいた味方に引火して爆発を起こした。誘爆である。対象である【ヘルメス・ファミリア】ではなく、味方と高い耐久を持つ食人花を巻き込んでこの世を去った。
「っし、的中!」
「矢でも石でも、武器以外ならなんでも構いません!距離を取ってぶつけなさい!」
アスフィの号令で、安全圏から狙撃を行う。指揮も的確、「近付いて自爆しろ!」というあやふやな命令でないから少数精鋭の部隊として機能する。半数近くの人間が無駄死にした。
「ひえ~···。本当に爆弾抱えてやがったよ······。知らずに近付いていたら······」
「肉片になってただろうな。ホント、サハラ様々だよ」
「すごい······」
冗談っぽく言うが、彼らは心の底から感謝していた。いつものように前衛が出ていたら、確実に負傷者が出ていたから。
アスフィは、積極的に自爆する闇派閥と違い、ただ腕を組んで戦況を眺める仮面の人物を睨んだ。
(状況、情報から読み取って彼は、【剣姫】とルルネ、サハラ・ジーニが言っていた赤髪の女と同格の存在と思っていいでしょう。Lv.5の彼女をあしらった実力者、推定Lv.6だとすれば······)
「──援軍は必ず来ます。だから」
「ええ。今攻めるのは、得策じゃないですね······」
控えるサハラの言葉に、アスフィは同意した。奴は白ローブの闇派閥と違って動かない。それなら今はただ、できるだけ多くの敵戦力を削ることに集中すべきだと思った。
やっべ~、本当にやっべ~よ!
「下がっとけよ、サハラ!爆風に煽られるだけで死ぬぞ!」
「ですね!下がってます!」
各地でドッカン、ドッカン。人がワー、ギャー悲鳴を上げて死んでいく。冒険者だからダンジョンで人が死ぬのは、よくある話。しかし悪意を持って人が人を殺す。対人戦はこの先起こる展開なのだが、これは······。
原作の裏、外伝ではこんなにも過酷なものなのか。原作が天国に思えてきた(錯乱)
まあ、人が死んでるこの状況で落ち着いてられるのは、自分でもどうかと思うが。
視点変更!
・【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインと、怪人レヴィスが激突している。
・器を昇華させたアイズが優勢。
・【凶狼】ベート・ローガ、【千の妖精】レフィーヤ・ウィリディス、【白巫女】フィルヴィス・シャリア、怪人フィルヴィス・シャリアの以上四名の距離が徐々に近づく。
······なるほど───三名か!(目そらし)
「アスフィさん、もうすぐ援軍が来ます!」
「! 総員、陣形を変更!耐久戦に切り替えます!!」
「「「おおおおおおお!!」」」
防御力に定評があるドワーフやファルガーさん筆頭に、密集陣形が組まれた。指示を出してわずか数秒。目を見開くほど迅速だった。
「っ、小癪な······!」
「くっ、近づけ──ぎゃああああああ!?」
ただ防御するだけじゃない。魔法や魔道具を用いて敵を攻撃し、寄せ付けさせない。まあ、敵は文字通り爆弾抱えてるからね。こっちに突っ込んで来るよりそれを投げた方がいいんじゃないか、ってくらい足枷になってる。てか本当に投げたほうがいいよね、絶対に。素人目でも分かる。
そうこうしているうちに、闇派閥も食人花もだいぶ減った。特に厄介な食人花は、敵の自爆攻撃による爆撃爆風を当てるという単純な作戦(?)がかなり有効だったようで、多くが灰に変わった。
使えるものはなんでも使う。
彼女らはこれが非常に上手い。冒険者としての年季に加えて、アスフィさん達がこれまで積み重ねてきたものを合わせているのだろう。参考にさせていただきまぁーす!
「······口だけか、情けない。食人花まで動いているのに、何をやってる?なぜ、冒険者がまだ生きてる?」
「っ、黙れ!文句があるのならLv.1の我々よりも、力がある貴様が適任だろ───う?」
傍観していた仮面の男が悪態を吐き、それを聞いた闇派閥が叫ぶ。が、
「囀ずるな」
「あがっ!?」
頭を握り潰した。それを見ていた俺達に、顔を青ざめるより先に緊張感が走る。奴が傍観を辞め、殲滅のために動くと確信したのだ。
「冒険者諸君、貴様らの健闘をまずは讃えよう。雑兵相手に死者はおろか負傷者すら出さなかったとは······。が、ここまでだ」
仮面の男が歩いてくる。一挙一動から目を離せない。離した瞬間がおそらく死ぬとき。
「し、質問!質問いい!?」
「「「「!?」」」」
「サ、サハラ・ジーニ!?な、なにを」
「サ、サハラさん······?」
場の空気を乱すのが俺クオリティ。
なにをって時間稼ぎ?あと少し、あと少しなんすわ。援軍がもうすぐ来る。だから質問をする。アイツが外伝通りのアイツなら、絶対に食い付いてくる質問を!
「ふむ、なんだ?」
「っ······お、お前は人間、じゃないな?」
ピィィィ、こここ声が、声が裏返るぅぅぅ!?恥ずかしいぃぃぃぃ、嫌な汗がががが!
「ほう······なぜそう思う」
よっしゃああああ!!コイツ見どころあるなって顔した!今コイツ見どころあるなって顔したよ絶対!いや仮面で顔見れないんだけどね!
「し、新種と似たような気配がした···から?まるで、人を辞めたみたいな気配···だ?」
っべ、やっべ疑問符が···。『?』が付いちまう!どうしよう!? ···シャンクス!!『?』がッッ!!
「ふっ」
「!」
「フフッ、フハハハハハハハ!!」
そんな憂いを他所に、男は高々に笑った。俺の(時間稼ぎ)作戦が成功したのか失敗したのか、判断に迷うな。大笑いしたあと間髪入れずに真顔で攻撃。悪役の常套句だ。
「······わ、笑ってる?」
「笑ってるよあの人」
「ツボる要素あった?いやあったは。コイツの上擦った声」
「それは忘れて?」
「あー···失礼。あまりにも嬉しくてな。よもやこの私を人やモンスターすらを超えた存在だと見抜くとは······。中々どうして、見所があるじゃないか」
そこまで言ってねーよカス。
「そこまで言ってねーよカス」
「サ、サハラさん!声に出てますよ······」
「あ」
だ、大丈夫、だいじょ~~ぶ。割りと小さな声だったから聞こえてない。第一級相当とはいえ、聴覚までそうとは決まってない。だからモーマンタイ。聞かれてないからマジで大丈夫。
だがしかし。
「カス、だと······?今カスだと言ったのか、彼女の祝福を賜りしこの私を·····?」
聞こえとるんかい。
「貴ぃ様ああああああ!!」
「ごっめえええええん!!」
激昂し襲い掛かってくる男。謝る俺。構える【ヘルメス・ファミリア】。
そして······
「───ッッ!!」
「なっ!? 何をやってるレヴィス!」
ドッカーン!!と、豪快に壁をぶち破って現れるアイズさんに、怪人レヴィス。
「とりま作戦終了だな───来るよ」
「──【アルクス・レイ!!】」
「マジでいやがるのか、あのチビは」
俺達がやってきた道からやってきた援軍、【ロキ・ファミリア】のベート・ローガ、レフィーヤ・ウィリディス。彼らとは他派閥である【ディオニュソス・ファミリア】のフィルヴィス・シャリア。
24階層・食料庫に関する外伝主要キャラクターが、全員一堂に揃った。
援軍が速かった理由。オリ主がファミリアに宛てた手紙に『入口が塞がってる食料庫に異常がある』と書いた。ヘスティア→ロキへと伝わった。一悶着あった。
原作との相違。
①アスフィ、キークス待機、結果誰もまだ死んでない。
②アイズがレヴィスごと壁ぶち破るのと、ベート他援軍の到着が同時。結果レヴィス強化せずオリヴァス健在。アイズVSレヴィス、ベートVSオリヴァス。
③オリ主がいる!結果······