小人族転生!不遇な扱いを受けるけど諦めないのは間違ってない   作:小人の英雄

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12 夢幻の魔法

 

 たった一人の小人族から溢れる空間を歪ますほどの魔力に、味方と敵、人や怪物など種族関係なく全員が注目する。

 

 魔法種族と謳われるほど魔力と親和性があるエルフ、発展アビリティ【魔導】を持つほどの魔導士としての才を持つ者、器を幾度となく昇華させた強者、精霊と混じりながらその力を行使する怪人と人。

 

 僅かな人間が、その異常性を肌で感じ取る。

 

 (サハラ・ジーニ──)

 

 (貴様は───)

 

 (((何者なんだ!?)))

 

 「お、おいサハ───ラ?」

 

 疑問を口に出すよりも、魔法を行使するほうが速かった。

 

 「───【怪物召喚、訓練開始】」

 

 全員が卒倒するレベルの光景を、まるで“日常のように”造り出した。恐ろしいのは顔色一つ変えないところだ。······精神力枯渇って知ってるかい?

 

 余談だが口に出した名称は特になく、今考えた。

 

 ミノタウロス×100

 

 後は言うまでもないだろう。【食料庫】にミノタウロスが現れ、まるで意思を持つように怪人・怪物(敵)にだけ殺到する。

 

 ちなみにだがこの階層ではミノタウロスは産まれない。

 

 「──“アイズ”!!」

 

 ちっぽけで。

 

 弱くて。

 

 小さくて。

 

 それでも負けん気が強い小人が割り込んで。

 

 ミノタウロス×100

 

 「「小人族、貴様ぁあああ!!」」

 

 怪人と【剣姫】を分断させた。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 時を少しだけ戻す。

 

 (やったああああ! 上手くいったぁ───!!)

 

 【イマジン・バースト】という魔法を行使した後、内心で一人喜んだ。

 ミノタウロスを召喚したら精神力を気絶するほどゴッソリ奪われたが、高速で回復させ持ち直す。

 全部夢の中でやってること。つまり日常である。だから驚きはなぁぁぁい!

 突撃するミノタウロスはあくまで模造。オリジナルほどの威圧感はない。いや何もないところから100体現れたらそれは恐怖でしかないのだが······。まあしかし、痛みを感じないからダメージ受けてもお構い無く突撃する利点がある。

 

 波のように押し寄せるミノタウロスの隙間を通り、アイズさんの元へと辿り着く。

 

 この魔法の欠点はズバリ“制限時間”。

 

 【恩恵】に刻まれた時間はたったの一分だけだった。一分経過すれば全て無に帰る。そのまえにやらなきゃいけないことがある。

 

 「──“アイズ”!!」

 

 体勢の建て直しである。一対二という不利を変えてやる!

 

 ミノタウロス×100

 

 「「小人族、貴様ぁああああ!!」」

 

 怪人二人は押し寄せるミノタウロスに圧され、後退する。

 呼び捨てにしたけど······まあいいよね♪成功したから多めに見てほしい。

 

 やることやって俺は逃げた。

 

 「! ミノタウロスが······!」

 

 【ヘルメス・ファミリア】のもとまで撤退したと同時に、産み出したミノタウロスは全部灰になって消えた。敵は突然消えたミノタウロスに驚いたが、一瞬で狙いを定める。狙いは再び【剣姫】に、その次があの小人族に。あれは絶対殺す!と意気込んでいるのが分かる。

 

 が、

 

 「くたばりやがれぇええええ!!」

 

 「っ、【凶狼】──!!」

 

 味方陣営に余裕が生まれ、道が開かれた今、荒れる狼が我慢する理由はどこにもない。

 

 「──【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ】」

 

 さらにここにいるのは、地獄と化すダンジョンで身を寄せ闘う冒険者達。だから判断が速い。

 高い魔力に、新種が集まる。

 

 「総員、彼女を守りなさい!サハラ・ジーニが作ったこの好機、絶対に繋げなさい!」

 

 「「「「「おう!!」」」」」

 

 【ヘルメス・ファミリア】がレフィーヤを囲うように密集する。それでも陣形を抜けるモンスターには、

 

 「──【ディオ・グレイル】!!」

  

 魔法剣士のフィルヴィスが補う。

 

 

 「【雨のごとく降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え】」

 

 完成する。

 

 「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」

 

 レフィーヤは、【九魔姫】リヴェリア・リヨス・アールヴを凌ぐ魔力量を誇り、未熟なれど彼女の後進として育てられている魔道士。主神から付けられたあだ名は魔力バカ。

 詠唱通り雨のごとく降りそそぎ、全ての新種を焼き払った。

 

 「! これなら──」

 

 (水晶を回収できる!!)

 

 モンスターに寄生して進化させ、間違いなく騒動の鍵となる水晶が、石英の栄養を得て育っている。邪魔していた新種はもういない。

 アスフィが回収しようとしたとき、

 

 「サセルカ」

 

 「っ!」

 

 新手─三人目の怪人がそれを阻止する。

 

 「それは充分に育った!“エニュオ”に持っていけ!」

 

 「言ワレナクトモ」

 

 「させません!」

 

 「邪魔ダ!──【───】!!」

 

 追撃の最中に放たれる魔法。足止めのつもりだったのか、その程度で充分だと判断したのか。魔力があまり籠められてなかったが、

 

 「ぐうっ!?」

 

 Lv.4を麻痺させる威力。直撃した黒い雷にその身を焦がされた。

 敵のポテンシャルは想像以上に高い。黒衣の怪人はそのまま闇に消えた。

 

 「──らあ!!」

 

 「ぐうぅぅ!!」

 

 「──ふっ!!」

 

 「ぐっっ!!」

 

 ベートの蹴技、アイズの剣技が怪人を圧倒する。誰が見ても、【ロキ・ファミリア】二人の勝利は揺るぎない。

 

 「······【凶狼】、貴様を殺せないのは口惜しいが、ここまでだ。それと小人の餓鬼もだ。あの餓鬼は必ずこの手で殺す···!!」

 

 「アリア、今の私では貴様には勝てない。······59階層へ向かえ。知りたいことはそこにあるだろう。それと小人族に伝えろ。必ず殺すとな」

 

 「「···? ······!!」」

 

 理解に遅れた。

 

 「「待っ──」」

 

 「ではな」

 

 ───この後の事は語らなくてもいいだろう。【食料庫】が崩れた。撤退した。以上。

 




はい、ガバい。
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