小人族転生!不遇な扱いを受けるけど諦めないのは間違ってない 作:小人の英雄
書き方とかコロコロ変わるけど許してね。
オリ主
灰髪碧目。意外と冷静で、意外と思慮深い。原作知ってる。その他設定は順次公開。
ヘスティアの恩恵を授かり、冒険者活動を始めた日の夜。今日の出来事を思い出す。
ギルドでの冒険者登録のこと。俺の担当はミイシャ・フロットになった。彼女はベルの担当であるエイナの同僚で友人であり、冒険者登録に来た俺に親切に対応してくれた。ただ、目に入った周りの同僚や、用があってギルドに来た冒険者は嗤っていた。大方、小人族だからすぐ死ぬか荷物持ちに落ちぶれるとでも思っているのだろう。確かベルが登録した日、ギルド嬢達はいつ死ぬか賭け事をしていた。不謹慎だけどまあ、いいか。
簡単な説明を終えて、剣、槍、短剣、ナイフ。この四つの中から武器を選んだ。斧とかあったけど持てないのでスルー。
まずは剣。自分の背丈と一緒なことから、明らかに小人族用ではないのが分かる。でも、持ってみると悪くない。リーチも長いことから大剣のように扱うのもいいかもしれない。
次に槍。剣同様にリーチが長い。しかし、『突く』以外の攻撃を、この小さな体型で実行できるか不安が残る。実戦ならば尚更だ。原作キャラである【勇者】フィン・ディムナは満足に使っていたが、あれは長年の研鑽と経験からくるもの。俺には無理かなぁ。
そして、短剣とナイフ。主人公ベル・クラネルは二刀流で扱い主武装として用いている。構えてみると、これが中々しっくりくる。長さが丁度よく、イメージは刀を持った感じ。敵に近付きすぎるナイフは無理だと思っていたが、いいかもしれない。微妙に長さが違う短剣と合わせ、敵を翻弄できるようになれば尚グッド。
武器は短剣とナイフに決定した。本当は一つにするつもりだったが、ローンという形で買えたので両方貰った。
「どうする?この後、講習受けてみる?」
これは登録時に聞いた説明とは違い、ダンジョンに関する講習だろう。ベルもエイナと一緒にやっている描写が多々あり、蓄えた知識に支えられている面がある。
「もちろん。よろしくお願いします」
俺は即答した。俺が知っているのは原作だけで、モンスターの種類や階層ごとのギミックなど、細かいものはよく知らない。受けない選択肢は無かった。
「えっ!?······あっ、うん!なら移動しようか!こっち来て!」
俺の返事にミイシャは驚いた。なんでも、冒険者の多くが座学が苦手というのもあるが、情報を軽視する傾向があるようだ。中でも俺みたいな登録したての新人冒険者は早くダンジョンに潜りたい一心で、それが顕著に現れ敬遠するのだとか。
命に関わることなんだから受けないとダメだろ、と俺は呆れながら言ったら、
「そうなんだよねぇ。経験豊富な大手の派閥ならいいんだけど······。今まで行けたんだから行ける!って感じでやらかすんだよ。エイナ···あ、同僚ね。エイナも呼びかけてるんだけど、これが効果が薄いんだよね。君の勤勉な姿はきっと喜ぶよ」
溜め息混じりに言っていた。楽観的なイメージがあったこの人もこの人で、たくさん苦労しているようだ。
講習内容は、新人であることを考慮して一階層から三階層まで。現れるモンスターや地形を順に教えてもらい、休む時は小部屋の壁を砕けばいいとも教えてもらった。
「ダンジョンは生きてるらしくてね、修復を優先するから産まれないんだって」
「なるほど。休んでる間は通路から来るモンスターだけに気を付ければいいのか」
四期のアニメでもやっていたなと思い出す。下層遠征でベルも実践し、何で壊すか疑問に思っていた千草が説明を聞いて納得していた。意外と知られてなかったことに驚いた記憶がある。
こういう役立つ知識があるから無視できない。今後も活用しようと思った。
講習が終了し時刻は昼間。これからどうするのかという質問に対し、少し潜ってみると俺は答えた。
前世よりの価値観を持つ俺が、命を奪い奪われるが常のダンジョンに臆することなく潜れるか知りたいし、生活のためのお金を稼がないといけない。一旦冷静になる必要があるが俺も男の子。好奇心が勝っていた。
頂上が見えないほど高いバベルの下にある、ダンジョンへ入る階段を下る。地上とは違い空気がピリピリしている。一気に緊張感が押し寄せた。
呑まれそうになるが、視点が変わった。
・薄暗い迷宮で立ち竦むサハラ・ジーニ。
・そんなサハラに近づく一つの影。
・ゴブリンだ。
「──はっ!?」
視点が変わる。それと同時に襲い掛かったゴブリンを躱した。混乱したが、すぐに落ち着いた。
これはスキル【転生者】の効果だろう。一人称から三人称視点に。またその逆を。三人称は幽体離脱みたいな感じで眺めていた。その間酷く冷静で、それが普通に怖かった。
短剣とナイフを抜剣し、構える。相手は本能で動くモンスターだけあって、ただの獲物だと思って突貫してくる。または体格がほとんど一緒だから余裕だと思っているのだろうか。
「──やあっ!」
「ギャ!?」
ナイフで首を切る。切る時躊躇いが生じてちょっとつっかえた。肉を断つ嫌な感触。生臭い血の臭い。思わず顔を顰める。
「······」
初めての殺し。村の大人が鹿とか猪とかを狩ってくるが、アレは生きるためだった。毛皮は売れるし冬には暖として着る。肉は食用として村人の糧となる。
でもこれは──···あっ、別に変わらんわ。これも生きるためだし。はい、ナイーブになるのしゅーりょー!
「「「ギャギャギャ!!」」」
「オラァ!何体だってやってやんよーーッ!!」
うん。俺はダンジョンではこんな風に戦ってたな。一階層にいるゴブリンを腕が痺れるくらい倒してた。途中攻撃を喰らって怪我をしたが掠り傷程度で問題ない。でも回復薬を買ってないことに気付き、反省した。
集めた魔石を換金し、帰路に着く。ゴブリンだけあって額は少ないが、そもそも潜った時間が短いから仕方ない。一足先に帰っていたヘスティアにそのことを報告したら、なんか喜ばれた。
「お金とかどうでもいいよ。君が無事に帰ってくれたのが、僕は嬉しいのさ」
······心に沁みた。
この神を悲しませたくない、と心の底から思ってしまった。
夕飯はじゃが丸くん。これを(都市外で)初めて食べたときは感動したものだ。だって、原作でちょくちょく出てくる食べ物を食べたから。それにこれはアイズ・ヴァレンシュタインの好物だったりする。それを心内で噛み締めながらヘスティアと食べるじゃが丸くんは一層美味しく感じた。
そして寝る。
スキル【夢幻世界】を発動させながら。