Q、遊戯王世界のテンプレ事件を解決するには?(連載版)   作:黒霧春也

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3話・風天の竜

 金髪のショップ店員こと金田さんは5枚ある手札から1枚を選びディスクの上に置いた。

 

「まずはモンスターをセットしてターンエンドだよ」

「おおっ(汗)」

(展開してこないのか)

 

 前世ではひたすらソリティアをされて先行制圧をされた事も多いのでモンスター伏せターンエンドに驚く。

 だが観客席にいるウィンは俺が固まっていることを気にしているのか声を飛ばしてきた。

 

「マスター頑張って!」

「ああ、俺のターン!」

(って引いたカードはウィンか!)

 

 初手で引いたカードは風霊使いウィン。

 今の状況ではあまり活かせないので手札に残しつつ俺は違うモンスターカードをプレートの上に置く。

 

「俺はラピッドウォリアを召喚してバトルフェイズ! このカードは自身の効果でダイレクトアタックがてきる!」

「!? ぐうぅ!」

 

 ラビットウォリアATK1200

 金田LP4000→2800

 

 ラピッドウォリアが足のスラスターを吹かしながら相手に攻撃。

 その迫力はなかなかで攻撃を受けた金田さんは歯を食いしばっていた。

 

「いきなり搦手で攻めてくるなんてね」

「こっちの方が効率的なので」

「確かにそうだね」

 

 ニコニコと笑顔を浮かべる金田さんだが目は笑ってない。

 なので俺は冷や汗を流しながら手札のカードを1枚伏せてターンを返した。

 

「僕のターン、ドロー! 手札から速攻魔法・手札断殺を発動するよ!」

「手札交換ですか(汗)」

「うん。まあ、これで少し手札が良くなればいいけど!」

 

 俺達は手札断殺の効果で互いに2枚捨てデッキから2枚ドロー。

 その結果、向こうは笑顔を浮かべたのでおそらくいい引きをしたみたいだ。

 

「来たよ! 僕はブレイドナイトを召喚して最強の盾を装備させるよ!」

「攻撃力2600!?」

(これは少しやばいな)

 

 ブレイドナイトATK1600→2600(装備・最強の盾)

 

 相手のフィールドには攻撃力2600のブレイドナイトが新しい盾を構えている。

 現実的に見れば上級モンスターレベルの攻撃力があるので少しやばい。というかこのデッキで勝てるのか心配になってくるんだけど?

 てか周りにいる人達も軽く驚いているので少しやばい気が……。

 

「どうだい僕のモンスターは!」

「確かに攻撃力は高いですね」

「だろ! でも僕の強さはこんなものじゃないよ!」

「え?」

 

 相手は先ほどよりも威圧のある笑みを浮かべており、なんか嫌な予感がしているとその予想が当たった。

 

「僕は裏守備にしていた翻弄するエルフの剣士を反転召喚! そして二重召喚を発動してチューナーモンスターのトラパートを召喚するよ!」

「!? チューナーモンスターだって!」

「マジかよ!」

(ん? なんでそんなに驚いているんだ?)

 

 周りにいる人達がチューナーと聞いて驚いているので疑問符が浮かぶ。

 だがその疑問符が吹き飛ぶように不気味な笑みを浮かべる金田さんが空を見上げた。

 

「いくよ……僕はレベル4の翻弄するエルフの剣士にレベル2のトラパートをチューニング!」

「!? マスター!」

「ん?」

 

 チューナーであるトラパートが空に浮き上がり緑色のリングになったタイミングで、金田さんのデュエルディスクから黒い煙が湧き上がら始めた。

 

(嫌な予感が的中したんだが!?)

 

 流石にこの状況は普通じゃない。

 俺はデュエルを辞めたくなったがハイライトが消えた目を浮かべた金田さんは展開を進め続ける。

 そして緑色のリングに入った翻弄するエルフの剣士は星に変わり、合わさった事で新たなモンスターが現れた。

 

「シンクロ召喚! レベル6、天狼王ブルー・セイリオス!」

『オオオ!』

「マスター! ソイツから邪鬼の力を感じます!」

「見るからにそうだよな!?」

「ですです!」

 

 天狼王ブルー・セイリオスATK2400

 

 いつの間にかウィンが実体化から半透明な姿で隣に移動してきたので俺は違う意味で焦ったがそれはさておき。

 紫色のオーラを纏った天狼王ブルー・セイリオスがコチラを強く睨みつけ、爪を地面に食い込ませていた。

 

(他人も気になるがコイツもやばい)

 

 他の人達は元の世界で安全にいてほしいと思っていると、闇のオーラっぽい力を纏った金田さんが気持ち悪い笑みを浮かべながら口を開く。

 

「この力があればプロデュエリストにも負けない!」

「ええ……。てか明らかにやばいだろ」

「はっ! この力の凄さがわからないなんてね」

「会話をしろ!」

 

 コチラの言葉が届いてないのか金田さんは虚な目のままデュエルを進めてきた。

 

「フフッ、バトル! 僕は攻撃力が上がったブレイドナイトでラピッドウォリアを攻撃」

「マスター!」

「ちいぃ!」

(ここしかない!)

 

 最強の盾を全面に構えて突撃を仕掛けてくるブレイドナイト。

 この攻撃をまともに受ければ壁となるモンスターがいなくなるので俺は歯を食いしばりながら伏せカードを発動する。

 

「トラップ発動、ハーフ・アンブレイク」

「! 防御罠か!」

「ええ! この効果でラピッドウォリアはこのターン戦闘では破壊されず俺が受けるダメージは半分になる!」

「それでもダメージは受けてもらうよ!」

「!? ぐうぅ!」

 

 風宮LP4000→3100

 

 ラビットウォリアはハーフ・アンブレイクの効果で破壊されなかったが、ブレイドナイトが放った斬撃の余波を受けて俺は地面を転がる。

 

「ううっ! わたしが何かできれば!」

「いや、気にするな」

「でも! このままだとマスターが!」

「いいから黙って見てろ!」

「! わかりました!」

 

 ぶっちゃけめっちゃ痛いが痩せ我慢をしながら立ち上がる。

 すると虚な目のままの金田さんがカラカラと笑いながらコチラを指差す。

 

「痩せ我慢をして……次の攻撃はどうかな?」

「さあな?」

「チッ、ブルーセイリオスでラピッドウォリアを攻撃!」

「!? があぁ!」

 

 風宮LP3100→2500

 

 ライフ的に受けたダメージはブレイドナイトの方が大きいが発生した衝撃はブルーセイリオスの方が格段に上か……。

 

(半減してこれはかなりきついな)

 

 アニメでボロボロになりながらデュエルしている奴らって特殊な訓練でも受けているのか?

 俺はそう思いながらなんとか立ち上がり息を吐く。

 

「闇のデュエルとか求めてないんだが?」

「ハハッ、求めてなくても実際に存在するなら仕方ないよね」

「んなわけあるか!」

 

 もはや壊れたブリキの人形みたいな金田さんはターンエンドを宣言。

 俺は冷や汗を流しながらデッキからドローして手札のカードと組み合わせて展開を進めていく。

 

「ぶっちゃけやれる事は限れているんだよな)

 

 今の手札で相手モンスターの攻撃力を超える事は難しいな……。

 

「なら、俺はモンスターをセットしてバトル! ラビットウォリアでダイレクトアタック!」

「ぐっ! またそれか!」

「ああ、これしか出来ないからな」

 

 金田LP2800→1600

 

 むっちゃ地味で嫌がらせをしている気がするが今はこの手しか無い。

 俺はもどかしい気持ちになりながら残った手札を見て苦笑いを浮かべた。

 

「メイン2で補給部隊を発動! そしてカードを2枚伏せてターンエンド!」

(ここが踏ん張り所だな)

 

 残った手札は1枚だけで伏せたカードは引き延ばしする為の防御札。

 

「そんなので僕の攻撃が耐え切れるかな?」

「マスターなら奇跡を起こせるので黙っていてください!」

「チッ、うるさい小娘だな!」

(それはそう)

 

 思わず敵に同感していると向こうは勢いよくデッキからカードを引き、そしてニッコリと笑いながらそのカードを発動した。

 

「おお、僕は運がいい! 魔法カード・シールドクラッシュを発動して君の裏守備モンスターを破壊するよ!」

「ああ、わたしが破壊された!?」

「? まあいい! 僕はバトルに入りブレイドナイトでラピッドウォリアを攻撃!」

「トラップ発動・ガードブロック!」

「!? ここでガードブロックを使うのですか!?」

「なるほど、読まれているね」

 

 ブレイドナイトの剣がラピッドウォリアに深々と刺さり爆散。

 その衝撃がコチラに飛んできたが虹色のバリアのお陰でダメージは0になった。

 

「ガードブロックの追加効果と補給部隊で合わせて2枚ドロー!」

「だけど君の場に壁となるモンスターはいない! 僕はブルーセイリオスでダイレクトアタック!」

「!? ぐあぁ!?」

「マスター! くうぅ!」

 

 風宮LP2500→100

 

 ブルーセイリオスが引き起こす衝撃波を受けた俺とウィンは先程とは比べ物にならない衝撃を受けて吹き飛んだ。

 

(か、身体中が痛い)

「ま、マスター!」

「ハァ……ここでガードブロックを使ってくれたら良かったんだけどね」

「よく言うよ。ブルーセイリオスの素材になったトラパートの効果で罠は発動出来ないだろ」

「やはり気づいていたんだね」

 

 呆れたように笑う金田さんを俺は睨みつけていると隣で倒れているウィンが感心したように声を上げた。

 

「! それでここでガードブロックを使わなかったのですね」

「ああ」

(ただ無駄口を叩ける余裕がないんだよな)

 

 ライフはギリギリ残ったが体が痛みで動かしにくい。

 だが隣でボロボロになりながら立ち上がったウィンを見て俺は頭を振りながら腕に力を入れる。

 

「へえ、この状況でも立ち上がるんだね」

「そりゃそうだろ!」

「まだわたし達のライフは0じゃ無いので当たり前です」

「そうか、なら次のターンでトドメを刺してあげるよ」

 

 金田さんは手札はゼロなのでそのままターンエンド。

 俺はボロボロの体に鞭を打ちながらデッキトップに手を置く。

 

「いくぞ」

「ええ!」

「「俺(わたし)のターン!!」」

 

 このままだと負けが確定するが、俺が引いたカードは可能性を作るカード。

 

「よし! 俺はチューナーモンスター、デブリ・ドラゴンを召喚!」

「なっ!? 君もチューナーモンスターを!?」

「ええ! ただ、コイツの効果で墓地に存在する風霊使いウィンを攻撃表示で蘇生させる!」

「!? いつのまに!」

 

 さっきシールドクラッシュで裏守備のまま破壊されたウィンだがデブリ・ドラゴンの効果で蘇生できた。

 

「マスター行きますよ!」

「ああ!」

 

 俺達のフィールドにはチューナーのデブリ・ドラゴンと非チューナーのウィンが揃った。

 ならやる事は一つなので俺とウィンは目の前に存在するモンスター達に向かって叫んだ。

 

「「レベル3・風霊使いウィンにチューナーモンスターでレベル4・デブリ・ドラゴンをチューニング! 天空の風を纏いし飛竜よ、その力を具現化させ我が元に集え! シンクロ召喚レベル7! 風天竜・ウィンドテンペスト!!」」

「なっ!?」

『クオオォ!』

 

 シンクロの光から現れたのは緑色にエメラルドの瞳の翼竜型の竜。

 見た目はクリアウィング・シンクロドラゴンに近いが足が生えており、その姿は神々しく見える。

 

 風天竜(ふうてんりゅう)・ウィンドテンペストATK2500

 

「ハハッ、マジでコイツが救世主だな」

「ええ! 全くです!」

 

 俺はディスクのプレートに置かれた風天竜・ウィンドテンペストのカード効果を確認する。

 

(……って、効果がまんまトリシューラじゃん)

 

 この追い込まれた状況でも逆転できるエースカードだが、金田さんはコチラのエースの攻撃力を見て鼻で笑った。

 

「ハッ! 攻撃力2500じゃブルーセイリオスを倒すのが限界だよ」

「それはどうかな?」

「なに!?」

「俺は風天竜・ウィンドテンペストの効果発動! 手札のカード1枚を捨てて相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで除外する!」

「はっ!? そんなのぶっ壊れ効果じゃないか!」

(効果が氷結界の龍・トリシューラだから俺も相手の立場なら同じセリフを言いたくなるな)

 

 俺は手札からSR三つ目のダイスを捨てて相手フィールドのブレイドナイトと墓地のカードを除外できた。

 

「やった! これで巻き返せます!」

「だ、だが! ブルーセイリオスが倒されても僕のライフは残る!」

(まあ、そう考えるよな)

 

 ブルーセイリオスは破壊された場合、コチラのモンスターの攻撃力を下げる効果がある。

 なので次のターンに金田さんのドロー次第で負けが決まるが……ぶっちゃけその心配はない。

 

「ではそうなるように祈ってろ!」

「ま、まさか!」

「俺は墓地のスキルサクセサーを除外して効果発動! フィールドに存在する風天竜・ウィンドテンペストの攻撃力を800ポイントアップさせる!」

「これで攻撃力3300」

「なるほど……だけどそれじゃあ足りないよ」

「そうかな?」

「!?」

 

 まだまだ余裕そうな表情を浮かべている相手に対して、俺は自分でもわかるいやらしい笑みを浮かべながら攻撃を仕掛ける。

 

「バトル! 俺は風天竜・ウィンドテンペストで天狼王ブルーセイリオスを攻撃!」

「だがこの攻撃では僕のライフは0にならないよ!」

「この瞬間手札の速攻魔法・収縮を発動!!」

「なっ!? このタイミングでか!」

「ああ! コイツ(収縮)の効果でブルーセイリオスの攻撃力を半分にする!」

「これでブルーセイリオスの攻撃力は1200……マスター!!」

 

 隣で歓声を上げるウィンに向かって笑顔を向けながら天高く飛ぶ風天竜・ウィンドテンペストは口に緑色のエネルギーを溜め、その一撃をブルーセイリオスに向けで放った。

 

「これで終わりだ! 天滅のウィンドブラスター!!」

「なっ。ぐああぁ!?」

 

 金田LP1600→0

 勝者、風宮

 

 コチラの攻撃で金田さんのライフが0になり、周りを包んでいた黒い煙が消え、俺達は元の屋上に戻ってきた。

 

「うん? オレは一体?」

「なんで地面に倒れていたのかしら?」

「うーん」

 

 周りの人達は黒い煙の影響を受けていたのか地面に倒れており、元の状況に戻ったので起き上がり始めた。

 

(ふう、なんとかなったか)

 

 異世界転移してから初めてのリアルデュエルはかなり疲れたが確かな満足があり内心でテンションが上がった。

 すると少し離れた場所で倒れている金田さんの方から一枚のカードが飛んできたので俺はなんとか受け止める。

 

「このカードは!」

「多分邪鬼のカードだろ」

「ええ!?」

 

 闇のゲーム(仮)のキーになった天狼王ブルーセイリオスのカードだが、今は特にやばいエネルギーっぽい物が発生してない。

 なので俺はウィンと顔を合わせた後、このカードをデッキに入れる事を決めた。

 

「さてと、デュエルには勝ったし最新弾のボックスを貰いにいくぞ!」

「おおっ!」

 

 体はまだ痛むが勝ちは勝ちなので他の店員さんから最新弾のボックスを受け取り俺とウィンは屋上から離れていく。

 

 ー〈余談〉ー

 デュエル後、起き上がった金田さんから正式にブルーセイリオスをもらった(やばいカードだと自覚がありやり手放したいと言われた。

 ー〈余談2〉ー

・1ボックス(30パック)を開封した結果、ほぼノーマルで字レアが5枚でスーパーレアが2枚の悲しい結果になった。

 だが2人が引いたスーパーレアの魔導戦士・ブレイカーの売値が1万3千円だったので彼らが違う意味で驚く事になったのは別のお話。

 

 ー〈今回登場したオリカ〉ー

・名前、風天竜・ウィンドテンペスト

・シンクロモンスター

・レベル7、ドラゴン族、風属性

・ATK2500、DFF2000

・召喚条件、チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

・このカード名の①、②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。

 ①、このカードがシンクロ召喚に成功した場合、手札を1枚捨てて発動できる。相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外できる。

 ②、このカードが相手によってフィールドを離れた場合に発動する。自分はデッキからカードを1枚ドローする。

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