「ぼくは強化人間C4-621。この世界では銀髪儚げ系ぼくっ娘天才ACパイロットとして生まれてきた。脳みそを焼かれて感情が希薄なぼくはもう10週目くらいなものだから速攻で〇〇〇〇と×××と渡りを付けたり△△△△を力尽くで叩きのめしたりしてRTAを成功。今は平穏なルビコンで穏やかな日常を送っている。
そんな今日はレッドガンの遠足に同行することになった。まずはG1ミシガンの演説から聴いてみよう」
「よく集まった役立たず共! 今日は恒例の楽しい遠足だ! ルビコン解放戦線がグリッド089でキャンプを開催しているので、そこにバーベキューをプレゼントする手筈となっている。お前達は花火で盛り上げる係だ」
「ちっ、しけた仕事の上に野良犬までいるのかよ。俺はせいぜい隅っこで見物させてもらうぜ」
「G5イグアス、花火師が決定したようだな! 貴様には特製八尺玉の打ち上げ係を任命する」
「げっ……」
「お前もいい加減学習しろG5イグアス。その態度は誘い受けにしかならん」
「G6レッド、いい声で突っ込んでやるな。悲しい童貞の精一杯のアピールだ」
「何言ってやがるG4! どどど童貞ちゃうわ!」
「G4、G5、G6! 和気藹々は結構だが季節遅れのサクランボの話は後にしろ!
次にキャンパー達へのサービス係だが、これは一人も残さず丁寧に焼肉を喰らわせる大変セクシーな仕事となる。
当然、こういう仕事にはG13、貴様が適任だ!」
「うわーなんか一番面倒な仕事が回ってきた」
「G13、喜んでいるようで何よりだ! なお後ろにもう一人いるようだが、そちらの手を借りても一向に構わん」
「だってさエア。細かいとこは任せた」
「(クソデカ溜息)わかりました。未配ターゲットをマーカーに表示します」
「その他レッドガン部隊は焼肉製造係となる。ビールサーバーの準備を忘れるな!」
「「「ウェーイ」」」
「それでは役立たずども、楽しい宴会の始まりだ!」
(複数機のACの発進音)
「G5イグアス、所定位置に到着。発射態勢に入ったぜ」
「イグアス、間違ってぼくに当てないでおくれよ」
「うるせえ野良犬! 誰がこの程度の射撃でしくじるかよ! 見てやがれ! 角度調整、着火。発射五秒前、4、3、2……巻き込まれやがれ野良犬!」
「G5イグアス、『花火』を水平発射。現在位置で炸裂します」
「そう来ると思った! ダナムアーマー!」
「ぐっはぁぁぁっ!?」
「くそっ! 野良犬の野郎、解放戦線を盾にしやがった! 人の心はねえのか!」
「G1より各員、解放戦線は間近な花火に大盛り上がりのようだ。G5イグアスは戻ったら褒美にケツ花火百連発をくれてやる!」
「……うげぇ!? 帰る前に尻に何か刺さった!?」
「ごめんイグアス、エアが勝手に識別マーカーを敵にしたもんだから、うっかり
「このクソ野良犬、ぶっ殺す!」
「残念、今忙しいから遊んであげられない。ぼくのお尻でも眺めてな」
「G5、仕事中に女の尻を追い回すとはいい身分だな!」
「お・い・か・け・て・ねぇぇぇぇ!!」
「ハラミ、ハラミ、ロースロースハラミ、素晴らしいパーティーですご友人……!」
「げっ、何でオーネスト・プルートゥがいるんだ。誰かつまみ出して!」
「おいなんかクソデカい花火持ってきてるぞこいつ!」
「あれはカーラの特製です。レイヴン、早急に離脱を」
「また盗んだなこいつ!? イグアスあとは任せた!(キックの音)」
「ぐわっ!? 野良犬何を……」
「ああ、ご友人、新しいご友人を紹介してくださるのですね……!!」
「うわ気持ち悪ぃなんだこいつ!」
「ハラミ、ロース、リブ、ああ、新しいご友人と楽しみたい、素敵なバーベキューパーティを!」
「なで回すなぁーー!! あと爆薬のトリガーに手を掛けるな!」
「G5イグアス! 貴様の犠牲は無駄にはせんぞ!」
「あ、畜生G1逃げるな! 頼む助けてG4、野良犬! マジで気持ち悪いこいつ……!!」
「ルビコン解放戦線およびレッドガンの例外を除く退避を確認」
「ホントにイグアス置いていくあたりレッドガンもいいノリしてるよね」
「どうしますかレイヴン……おや、カーラから通信です」
「ビジター! クソ泥棒のオーネスト・プルートゥはやっぱりそっちかい! ちょっとそこに足止めしといとくれ!」
「は? 足止めって何を」
「中距離ミサイル、接近。標的は……」
「聞かなくてもわかる」
「ですよね」
「おいミサイルってなんだ!? くそ、離せこの変態! バーナー振り回すな!」
「ああ、素敵な炎色反応。焼肉とは火力と良質な肉に彩られる合衆舞台。そう、すなわち――」
「
(爆発音)
「ああ……G5イグアス、君の貴い犠牲は忘れないよ。あれでプルートゥが死んでくれてると助かるんだけど」
「正直あまり期待はできませんね。それにしても……」
「どうしたのエア」
「奇麗な花火ですね、レイヴン」
「ルビコニアンの燃焼反応への感覚ちょっとズレてない? エネルギー量で善し悪し判定してない? まあ、いいけど」
「のぉらぉいぬぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「うわイグアス生きてた。にっげろー!」
――――――。
以上は、辺境で発見されたMTのログに残されていた音声データです。
以前のデータ同様会話劇形式になっており、内容もまた荒唐無稽であることも同じです。
しかし不思議であるのは、爆発物やACが投入されている状況でありながら、『焼肉』が比喩表現なのか本当に焼肉パーティーであるのか、判別ができないということです。
比喩表現であるとしたならば、肉の部位を連呼する人物の行動に整合性が得られません。
また、もしも比喩表現から想起されるルビコン解放戦線の殲滅戦であったと仮定して、それに独立傭兵レイヴンが参加していることにも違和感があります。
どちらであれ、オールマインドはこのデータに情報統合の価値を認めず、廃棄を決定しました。
オールマインドは、すべての傭兵のために。