ベヒモス「待っててナグモ。すぐ行くから」   作:羽織の夢

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4.会いたかった人

 ベヒモスは当初、光輝に対して特に何も感じてはいなかった。

 ただ探し人と近い匂いを感じたから興味を持っただけ。もし、望む答えを出せなかったら即座に殺すつもりでさえいた。見逃そうとしたのもただの気まぐれに過ぎない。

 

 だからこそ、光輝の一撃が自身に届いたことは驚愕に値することだった。

 命の危機を感じる程ではない。せいぜいが野良犬に噛みつかれた程度の認識。

 それでも傷をつけられたことで、ベヒモスは光輝を道端の石ころから狩るべき獲物へと認識を改めた。

 

 そんな時だった。横から光輝が掻っ攫われたのは。

 

 ハジメとの出会いを通して、迷宮の枷を外し、地上へと跳び出したベヒモス。

 以前を大きく超える力を身に着け、その体は頭部から生える角を除けば人と大差ない。

 

 だが、人と同じ容姿をしていようとも、本質は魔物──獣であることに変わりない。

 その彼女の目の前で、堂々と獲物を横取りされたのだ。

 

 それは純粋な獣としての本能。自身の獲物をどこの誰かも分からない者に横から奪われた。それは彼女にとってこれ以上ない侮辱行為に等しい。

 

 同時に、野生の本能とも言うべき感覚が光輝を連れ去った現象が並大抵のものではないことも悟っていた。

 

「あれが別の世界への扉か……」

 

 ベヒモスは空を睨みながら光輝から聞いた話を思い返す。

 異世界間の転移を行うゲートを開けることが出来るのはハジメだけだと言っていた。だが、光輝の話では直ぐには次のゲートは開かれないとのこと。なによりも、

 

「あれからナグモの匂いはしなかった」

 

 ハジメの手で開かれたのならゲートの先にはハジメが居るはずだが、光の先からハジメの匂いは感じられなかった。たとえハジメ以外の人物が開けられたのだとしても、繋がった先にハジメが居るのならベヒモスがその匂いを嗅ぎ逃すことはしない。

 

 つまり、ハジメ達が居る地球とは別の世界からゲートが開かれた可能性が高い。

 

「……」

 

 異世界がどこに存在するのかなんてベヒモスには分からない。だが、()()()()()()()()がそこにあるならば話は別だ。

 境界を隔てた先だろうと、ベヒモスは自身の魔力を見逃すことはしない。

 

 今しがた異世界へと転移した光輝。

 彼の持つ聖剣には、ベヒモスの血が僅かに付着していた。

 

 ベヒモスは片手を空へと翳した。

 

「どこの誰だ、殺すぞッ……!」

 

 ブワッとベヒモスを中心に魔力が渦巻く。彼女の全身から炎が溢れ出し、周囲を無造作に燃やしていく。

 

 バキッ、とガラスの割れるような音が響いた。

 

 空に一筋の罅が奔り、バキバキと音を立てながら亀裂が広がっていく。亀裂の隙間から光が漏れ出し、段々とその強さを増していく。そして……

 

「……無理か」

 

 ある程度進んだところで、空の亀裂の広がりが止まる。ベヒモスが手を下ろすとすぐさま亀裂は消えてなくなった。

 

 それはある意味なるべくしてなった結果だった。

 確かにベヒモスには光輝の居場所を特定する術がある。しかし、彼女は境界に直接干渉する力を持ち合わせてはいなかった。

 別世界への干渉とはこの世の概念から外れた理外の秘術だ。決して力任せにこじ開けられるものではない。

 

 とは言え、このベヒモスもまた常識外れの存在であることに違いはない。

 神代の魔法を使わずに、自ら練り上げた魔力のみで境界の壁に穴を開けかけた存在など未だ嘗て存在しない。

 

「……ちっ」

 

 しかし、獲物を取られた挙げ句にまんまと逃げられたことになったベヒモスの心中は穏やかではない。

 苛立ちが、憤りが、感情の高ぶりを現すかのようにその身から漏れ出した炎が荒ぶり始める。

 

「っ!」

 

 その時、バタバタと石畳を蹴る大勢の足音が聞こえた。

 示し合わせたかのような精錬された流れで鎧に身を包んだ者達がベヒモスを包囲する。

 

「何? 今、己は機嫌が悪いんだけど……」

 

 

──死にたいの?

 

 

 広場を覆い尽くす殺気の嵐に兵士達の足が思わず一歩下がる。

 もうこいつらで憂さ晴らししようか、とベヒモスが考え始めたところで、包囲網の一角から二人の女性が近づいてきていることに気付いた。その内の一人はこの場に似合わず、ドレスを着こなす金髪碧眼の少女だった。

 

 その少女を視界に入れたベヒモスは僅かに眉を上げた。

 

 ベヒモスに人の容姿の醜美など分からない。分かるのはその少女がここに集まる人間の中でも特に弱者たる存在だと言うことくらいだ。それでも少女を前にしたベヒモスは何かに反応を示した。

 

「理知あるお方と見込んでお話があります」

 

 ベヒモスを前に、気丈な態度で語りかける。

 

「私はハイリヒ王国第一王女、リリアーナ・S・B・ハイリヒです。貴女の目的を教えて頂けますか?」

 

 少女──リリアーナは体の震えを押し殺しながら問いかけた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 リリアーナの耳に一報が入ったのは、正体不明の爆発音が王都中に響いてから数分と経たぬ内だった。

 

「光輝さんが!?」

「はい。現在、下手人と思わしき人物と対峙しているとのことです」

 

 リリアーナの驚愕に対し、王国騎士団団長であるクゼリーははっきりと肯定した。

 

 ハイリヒ王国。

 トータス随一を誇る人口を誇る王都は、かつて魔人族への侵入を許してしまった経験から、以前よりも厳正かつ正確無比な警備網を敷いていた。

 

 戦争が終わったとはいえ、警備を緩めて良い理由にはならない。そう言って日々緊急時の訓練だけは欠かさず行っていたのが幸いしたのだろう。王都への侵入者を補足してからの情報の共有は瞬く間に行われていた。

 

「本来ならば現場に急行した兵士が侵入者を迎撃、もしくは足止めする手筈でしたが、その場に光輝殿がいましたので」

「なるほど。下手な援護は光輝さんの邪魔になってしまいますね」

「ええ、現場の兵士は光輝殿を邪魔しないよう負傷者の救助と現場の隔離・規制を行っております」

 

 光輝と王国兵では実力差がありすぎる。援護するつもりが、光輝の足を引っ張ることになってしまえば目も当てられない。そういう意味ではクゼリーの対処は間違いのないものだった。そしてそれとは別で理由が一つ。

 

「それと、ウォルペン殿から連絡が。王都に侵入した下手人ですが、信じられないことに大結界を生身で突破したようです」

「ッ!? まさかあの爆発は!?」

「大結界を力ずくで突破した侵入者が着地した余波かと思われます」

 

 クゼリーからの信じられない報告にリリアーナは目を見開く。

 あの魔人族でさえ内部に恵里というスパイを忍ばせておくことで結界を突破出来たのだ。さらに言えば、ハジメの手が加わることで強度は以前よりも数段上がっている。 

 それを生身で突破するとはどんな化け物なのだと戦慄する。

 

「報告によれば、侵入者は10代半ばと思われる黒いドレスを纏った黒髪の少女。両肩には不可思議な文様があり、頭部には一対の大きな角が生えていた、と」

「頭部に角? そんな種族、見たことも聞いたことも……」

「いかが致しましょう」

 

 クゼリーからの問いかけに、リリアーナは僅かに思考したのに指示を出す。

 

「今直ぐ招集可能な兵士を集めてください。私も向かいます」

「お、お待ち下さい! 危険です!! リリアーナ様自ら向かわずとも……!!」

「光輝さんが叶わないのならどこにいようが同じことですよ」

 

 それに、とリリアーナは続ける。

 

「私には頼りになる騎士団団長様がついてますから!」

「ッ! 無論、必ずお守りします」

 

 頼りにしてますね。そう告げ、リリアーナはクゼリーと兵士を連れて現場に向かう。

 

(光輝さんが対処出来るのならそれに越したことはない。ですが、敵は大結界を容易に破るような相手)

 

 同じことが光輝に出来るかと問われれば、リリアーナははっきりと出来ないと答えるだろう。もし仮に、敵が本当に光輝の手に負えなかった場合、誰もその存在を止めることは出来ない。

 

(その時は王族(わたし)の命で収めてもらえることを願うしかない)

 

 王都に白昼堂々攻め入ってきたのだ。何者かは知らないが、こちらに敵意があることは明白。

 言い方は悪いが、敵からすれば王国の民の命よりもリリアーナの首一つの方が大いに価値がある。

 

(もしそれで止まらなかったら……!)

 

 リリアーナは首にかけたネックレスを無意識の内に握る。

 それはリリアーナがハジメから託されたアーティファクトの一つ。ハジメ達がゲートを開いたことを知らせる為にハジメが持たせたものだ。

 

 最後に反応したのは2ヶ月前。次にこのネックレスが反応するのは早くとも3ヶ月先だ。ハジメ達の助力は得られない。

 それでもリリアーナは、あり得ない奇跡に縋ることを止められなかった。

 

 

 

 その後、現場に到着する寸前に状況を伝えに来た女性騎士と合流。彼女を加えて祈るように光輝の戦いを見守っていた。合間に聴き逃がせない事実が飛び込んできたが、すぐさまそれを上塗りするかのような驚愕が彼らを襲う。

 

『見つけました、勇者様。どうか我が愛しき世界をお救いください』

 

 天から降り注いだ声。光輝の足元に広がる魔法陣。

 その光景にリリアーナの頬が引き攣った。

 リリアーナの胸中を占めたのはその現象への驚愕ではなく懇願。

 

(え? 今!? よりにもよって今!? お願いだからそれだけは勘弁して!!)

 

 リリアーナの懇願も虚しく、カッと辺りを包みこんだ光が収まると、そこに光輝の姿は無くなっていた。

 リリアーナの目からハイライトが消え失せる。

 

 正直人のことは言えない。自分達とてエヒトの思惑とは言えハジメ達を誘拐まがいの方法でこの世界に連れてきたのだから。それでも……それでもだ。

 

(空気読めやーーーーー!!?)

 

 王国が滅びるかも知れない瀬戸際なのだ。なぜよりにもよって今なんだとリリアーナは頭を抱えた。

 

「リ、リリアーナ様」

「行くしか、ないですよね……」

 

 最後の希望たる光輝が居なくなってしまった。転移される少し前。リリアーナ達の目にも映らぬ速さで駆け抜けた光輝が一撃を与えた。

 もしかしたら、と一瞬でも希望を抱いてしまった分、それが無くなってしまったことへの落差が凄まじい。

 

「……念の為、侵入者を包囲します」

「なるべく刺激しないようにお願いします」

「善処します」

 

 今日が自分の命日かもしれない。

 リリアーナは無意識に胸元を握りしめた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「お前も少し匂うな」

「……はい?」

 

 覚悟を決めたリリアーナの問いかけに対する返答は、とんでもなく失礼なものだった。

 

「に、匂う?」

「さっきの奴と違って似てるんじゃない。でも、何だか少し薄いな。ここまで接近しなければ気が付かないほどだ」

 

 一国の姫と言えども、中身はまだまだ垢抜けない一人の少女。そんな彼女が初対面の人物に堂々と匂うと言われれば流石に動揺を隠せない。

 

 ガーンとショックを受けるリリアーナを無視し、ベヒモスはじっとリリアーナを見つめる。正確にはその首に着けられているネックレスを、だ。

 

「……お前、ナグモを知ってる?」

 

 そう口にするベヒモスからは、先程までの怒りが嘘のように消失していた。探し人の匂いを感じ取ったことでそれまでの怒りが少々落ち着いたようだ。

 

「ナグモ……? もしかして、ハジメさんのことでしょうか?」

「ハジメ……あいつに聞いた時と同じだ。うん、多分そう。その首のやつからちょっとだけナグモの匂いがする」

「首……? あ、このネックレス!!」

 

 ベヒモスの指差す先には、ゲートの開門を知らせるネックレスがあった。

 無論これはハジメお手製のアーティファクトだ。リリアーナが手にして一年程経つが、制作者の匂いが僅かに残っていたとしても不思議ではない。

 

「さっきのニンゲンに聞いた。今はナグモに会えないって……本当?」

「は、はい。ハジメ様に今会うことは出来ません」

「やっぱりそうなんだ」

 

 ベヒモスとしても再確認に過ぎなかったのだろう。リリアーナの言葉に分かりやすく肩を落とす。

 その様子に、リリアーナは道中で光輝付きの女性騎士から聞いた話を思い出す。

 

「ですが、3ヶ月程待って頂けたらハジメさんはいらっしゃいます」

「それも聞いた。だからその間にニンゲンを殺して待ってようと思ってるの」

 

 知っている。事前に聞いていた。無論、彼女が人では無いことも。それでも、角があること以外は自分と変わらない容姿の少女が淡々と言い放つ姿は不気味極まりない。

 

「それ、は……困ります。どうか私の首一つで譲歩して頂けないでしょうか?」

「リリアーナ様!?」

 

 リリアーナの言葉にクゼリーが声を張り上げるが、視線だけで黙らせる。

 しかし、当のベヒモスは心底分からないと言った風に首を傾げる。

 

「……何で?」

「私はこの国の第一王女。この首にはそれだけの価値はあるかと」

「意味が分からない。死んだらどれも同じでしょ?」

 

 今でも信じられない気持ちが大きいが、こうして言葉を交わすだけでその節々に忌避感を覚える。

 

「……この国に、何か恨みがあるのでしょうか?」

「あのニンゲンと同じようなことを聞くね」

 

 そして確信してしまう。

 

「ないよ、そんなもの。己らとお前達が殺し合うのに理由なんてない」

 

 この少女は、本当に人間ではなく魔物なのだと。

 

「もういい? それじゃあ……」

「ッ!? リリアーナ様!! お下がり──」

「死んじゃえ」

 

 膨れ上がる殺気を感じ取ったクゼリーがリリアーナを強引に自身の背後に突き飛ばす。

 直後、彼らを真紅の炎が包みこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……脆い」

 

 動かなくなった兵士達を見て、ベヒモスは苛立ったように呟いた。

 

「軽く撫でただけでこの有り様か。何故ニンゲンとはこうも脆いものなのか」

 

 そう口にする彼女の周囲には真っ黒な人型の何かが乱雑に転がる。ベヒモスが一歩進む度に、それは砂のようにサラサラと崩れていく。

 

「弱者が集まってどうにかなるとでも思ったか?」

「うっ……!」

 

 その歩みの先にはクゼリーを抱えるリリアーナの姿。

 他の兵士がリリアーナの前で壁となったこと。事前に詠唱を終えていた結界を展開したこと。なによりもベヒモスが手を抜いていたこと。それがリリアーナが生き残れた理由だった。

 

「クゼリー!? しっかりしてクゼリー!?」

 

 クゼリーは息こそあるものの、全身に酷い火傷を負い、左腕と左足に至っては殆ど炭と化している。

 

「己を殺せる覚悟もないくせに、どうして己を止められると思った?」

「ひっ!?」

「己がニンゲンでないと気付いていたな。魔物に話が通じるとでも思ったか?」

 

 リリアーナの前までたどり着いたベヒモスは彼女の首を掴むと易易とその体を持ち上げる。

 

「うッ……!!」

「哀れだな。尻尾を巻いて逃げていれば少しは長生き出来たというのに」

「わ、たし……は……!」

「うん?」

「私は、ハイリヒ、王国第一王女、です……!」

「知らんよ。何だそれは」

 

 興味の欠片もない話をベヒモスは淡々と切り捨てる。

 それでもリリアーナは恐怖を押し殺しながらせめてもの抵抗と、ベヒモスの腕を力いっぱい掴む。

 

「この国を……統べる王族、として、私が逃げるわけには、行かないのです!!」

「……王? つまりお前はここのニンゲン達を率いる長ということか? なぜニンゲンはこんな弱者に従うのか。やはり理解できん」

 

 魔物(ベヒモス)にとって地位や生まれは何の意味も持たない。彼女達にあるのはただ強いか弱いかの二つのみ。

 

「弱肉強食。それが己らの全てだ」

「わたしは……わたしは……」

「もういい。口を開くな。お前のような弱者が己は一番キライなんだ」

 

 首を締める力がぐっと増す。

 脳への酸素の供給が遮断され、リリアーナの視界が明滅する。

 

(ああ、ハジメさん……)

 

 ギリギリと閉じていく掌。それはリリアーナの意識を奪うなどというレベルでは無い。このまま数秒もすれば物理的にリリアーナの首は胴体とお別れをすることになるだろう。

 

 薄れゆく意識の中、リリアーナは遠い地に居るであろう愛しい人に想いを馳せる。

 

 初めて好きになった男の人。

 自分を王女リリアーナではなく、ただのリリアーナとして見てくれた人。ぶっきらぼうでも、命を奪うことに躊躇が無くても、それが何かのついでだったのだとしても、リリアーナの運命を変えてくれた人。

 

(せめて最後に、一目だけでも)

 

 その願いは叶わない。トータスにハジメが来るのは少なくともあと3ヶ月は掛かる。

 それまでは待てない。待つことが出来ない。リリアーナの命の灯火は、今この瞬間に消えていく。

 

(……会いたかったです)

 

 王族として強くなくてはならない。その一身で張り詰めていた気概がついに崩れた。

 リリアーナの目尻から垂れた一筋の雫が頬を伝い、顎から垂れ……

 

 

 

 ぽたりと、首にかけたネックレスに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──RiRiRiRiRiRiRi

 

「ん?」

「ッ!?」

 

 突如鳴り響くけたたましい機械音。それはまるで、地球で言うところの目覚まし時計に使われているベルの音。

 その音に、ベヒモスは何の音なのかと首を傾げる一方で、リリアーナはそのありえない現象に目を見開いた。

 

 ありえない。今この音がなるはずがない。

 最後にこの音が鳴ったのが2ヶ月前。次は最短でも3ヶ月は先のはずなのだから。

 

「ッ──ゴホゴホッ!!」

 

 困惑するリリアーナだったが、ベヒモスが突然首を離したことでその体が地面に叩きつけられる。

 足元で咳き込むリリアーナだったが、既にベヒモスには彼女のことなど見えていなかった。

 

「……ァハ」

 

 見つけた。

 この気配。この匂い。忘れるはずがない。

 それは紛れもなく己が探し求めてたもので……

 

 轟ッ、と空気が震える。

 

 人間を超越した速度で迫るそれを。

 混じり気のない真っ直ぐな殺意を纏うそれを。

 

 ベヒモスは笑みを浮かべながら受け入れた

 

「会いたかったよ、ナグモ!!」

「とりあえず一回死んどけ」

 

 ハジメ渾身の飛び蹴りが、ベヒモスを遥か彼方へと吹き飛ばした。

 

 

 

 




アフターではハジメ達が来るのは光輝が転移してから1週間後になりますが、今回は即来てもらうことにしました。分かる人には分かると思いますが、理由云々については次回で。
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