【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第五幕 16 『試練を超えて』

 ぶぉんっ!!!

 

 長大で丸太のように太い尻尾が襲いかかって来るのを屈んで回避し間合いを一気に詰める。

 

 ディザール様の(シギル)を発動して光を纏った剣をドラゴンの後脚に斬りつけようとするが、前脚の鋭い爪が私を狙って振り下ろされたため、ここは一旦回避を優先。

 

 私に対する攻撃が空を切ったところで、一緒に間合いを詰めていたカイトがその隙に鱗がなく比較的防御力の落ちる腹に斬りつける!

 

 ザシュッ!!

 

『ぐうっ!!』

 

 よし!これも効いてる!

 

 私も!

 

「せやぁっ!!」

 

 カイトの攻撃で仰け反ったところ、がら空きになった反対側の腹を斬りつける!

 

 シュパッ!

 

 光を纏った剣は、ドラゴンの強固な皮膚をもものともせずに容易く切り裂いた。

 

『ぐああーっ!!やるなっ!![炎槍]!!』

 

 ボッ!!

 

 数十本の炎の槍が私とカイト前に瞬時に現れて襲いかかって来る!!

 

「うわっとぉっ!?」

 

「ちっ!!」

 

 何とか回避しようとするが、いくつかは食らってしまう。

 

 「ぁつっ!」

 

 「ぐっ!」

 

 レティの防御魔法のお陰でかなり軽減されたが、多少のダメージはあった。

 だが、戦闘継続には何の問題もない!!

 

 

「[ひょうそう]!!」

 

「[[氷槍]]!!!」

 

 私達が間合いを取ったところで後衛二人から、お返しとばかりに氷の槍が放たれる!

 威力よりも手数をとったようだけど…二人とも息ぴったりだね。

 

 流石に的が大きいので、数十本生み出された氷の槍はその殆どがドラゴンに着弾する。

 

『っ!!この程度っ!』

 

 まともに直撃したが、絶凍気流ほどのダメージは無いようだ。

 

 氷槍の着弾に合わせて間合いを詰めていた私とカイトは剣を振るうが、ドラゴンはそれを見越していたらしく、その巨体にも関わらず軽やかに宙に舞ってこれを躱した。

 

 不味いっ!

 ブレスの動作!

 …後衛を狙ってる!?

 

「させるか!![天地一閃]!!」

 

 後衛への攻撃を阻止するべく、ドラゴンがブレスを放つ前に剣に纏った光を剣閃とともに放つ!!

 

 一度放つと次に(シギル)を発動するまでクールタイムが必要だが、こればかりは仕方がない。

 

 そして、剣閃の光は空に舞ったドラゴンの翼を切り裂いた!

 

 ブオオオォーーー!!!

 

 既にブレスを吐く直前だったが、翼を損傷してバランスを崩したため、ブレスの軌道は大きく逸れて天井を焦がす結果となった。

 

 そしてドラゴンはそれ以上飛行を継続することが出来ず、再び地上に舞い降りる。

 

『剣閃も飛ばせるか!本当にやりよるわ!だが、まだまだこれからだぞ!!』

 

 

 

「カティア!助かったよ!」

 

「ママ、ありがとう!」

 

「レティ!ミーティア!私達がそっちに行かせないから大技を頼んだよ!!」

 

 氷槍程度では殆ど効いてなかったから、ここは確実にダメージを与えられる攻撃をしないと…!

 

 

 

 

 

 

ーー レティシア ーー

 

「大技ね…ミーティアちゃん、私が大きいのを準備するから、カティアたちの支援をお願いね」

 

「うん!分かったよ、レティお姉ちゃん!」

 

 再び地面に引きずり落としたところを狙って、カティアとカイトさんは剣で立ち向かっている。

 カティアの剣は先程の剣閃で(シギル)の効果が切れているらしく、牽制や囮に徹してる。

 

 となると、カティアが再び(シギル)が発動できるようになるまではカイトさんの攻撃が頼みの綱と言う事なんだけど、彼の(シギル)の効果時間も長くはないって言っていた。

 

 ミーティアちゃんの魔法もあって、今は均衡を保っているが、長期戦は不利になる一方だろう。

 

 

 そうすると…ここはやはり、さっきカティアが言っていたとおり大技を決めたいところだ。

 [絶凍気流]もかなり効果があったみたいだが、確実に仕留めるためには…私の使える最強の魔法を使うべきだろう。

 

 

 切り札を切ることを決めた私は、魔力を高め、練り上げ、その流れを精密に制御して力の形を整えていく。

 極限まで高まった魔力によって私の身体を燐光が纏い、ともすれば暴れだしそうなその力を前に突き出した両掌に集中させる。

 限界まで圧縮されたそれは、眩い光を放ち始める。

 

 よし!

 あとは、タイミングを見て撃ち出すだけだ!

 

 前衛二人が間合いを取ったところで、私は声を張り上げ注意を呼びかける。

 

「大きいの撃つよ!離れていて!」

 

 私の声に反応して二人は更にドラゴンから距離を取った。

 そこにミーティアちゃんの[氷槍]が襲いかかり、ドラゴンが一瞬その動きを止めた。

 

 今だ!!

 

「[[虚空滅却]]!!」

 

 私の掌から放たれた光の奔流が一瞬のうちにドラゴンに襲いかかって飲み込む!!

 

 そして、光が通り過ぎたあとには…

 その巨体に大穴を穿たれたドラゴンの姿があった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 …何と言う威力の魔法だろうか。

 

 レティの放った魔法の光によってドラゴンは致命的なダメージを負ったように見える。

 

『ぐぅっ!!み、見事だ…!!』

 

 身体に大穴が空いているにも関わらずまだ喋れるようだ。

 …まだ終わりじゃないのか?

 

 私もカイトも更に追撃を行うべく身構えるが…

 

 

『我の負けだ。お前たちは見事に力を示した』

 

 そう言ってドラゴンは敗北を認めるとその体は光に包まれ、見る見るうちに小さくなっていき…

 その光が消えたとき、そこには赤髪赤眼の一人の男が立っていた。

 

「いや、ホントに見事だったぜ。ある程度力を見れたら合格にするつもりだったんだがな。まさか負けちまうとは」

 

 ドラゴンの時よりも随分荒っぽい口調で男は話をする。

 と言うか、人語を解し人間形態を取れるドラゴン…それはつまり…古龍?

 

「…えっと、あなたは?」

 

「我はゼアルと言う。かつてディザールとイスパルに敗れ調伏されし者…の思念体だな」

 

 ディザール様と…イスパルと言うのは初代国王のことかな?

 確かに、ディザール様と初代国王が古龍を討伐したという伝説があるね…

 

 

「お前はイスパルの(すえ)だな」

 

「は、はい」

 

「ふむ…確かにどこか面影が………無えな」

 

 無いのかい!

 まあ、相当な年月を経てるんだからそうかもしれないけどさ。

 

「だが、剣を振るう姿はどこか彷彿とさせるものだったぜ。それに、(シギル)も大分使いこなしてるみたいだしな」

 

「あ、ありがとうございます。ディザール様に稽古をつけてもらいましたので…」

 

「なに?ディザールは地上に戻ったのか?そんな気配は無かったが…」

 

「いえ、神界に招かれたのです」

 

「神界?ああ、神々がいる世界か。そんなところに招かれるとは中々に稀有な人間だな。それで、ディザールは元気だったか?」

 

「え、ええ…」

 

 

 そこで、私達はこれまでの経緯を彼に話すのだった。

 

 

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