【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第七幕 エピローグ 『祭のあと』

 

「よう、姫さん。それにアンタは…シフィルだったか」

 

「あ、ラウルさん、こんばんは!」

 

 シフィルと話をしていると、ラウルさんが声をかけてきた。

 既にお酒を飲んでほろ酔い気分って感じ。

 いいなぁ…

 

 

「昨日の敵は今日の友ってか?」

 

「そうですね。全力でぶつかったあとには友情が芽生えるものなんですよ」

 

「ははっ!違いねえ!」

 

「ふふっ、何よそれ。でも、カティアと友達になれたのは良かったわ」

 

 

「おう、お前ら。お疲れさん」

 

 と、更に声をかけてきたのは父さんだ。

 ワインのグラスと、大量の料理が乗った皿を持っている。

 もう、そんなにがっつかないでよ…恥ずかしいじゃない。

 

「あ、大将!解説お疲れ様っす」

 

「こんばんは、ダードレイさん」

 

「父さんも呼ばれてたの?」

 

「おう。解説やったんで一応関係者扱いってことでな。堅苦しくないパーティだっつーから、美味いもん食いにな」

 

「そっか。あれ?じゃあ、姉さんも来てたりするの?」

 

「ああ。ほれ、あそこで王妃サマと話をしてる」

 

「あ、ホントだ。…イースレイさんとは話しないのかな?」

 

「何か避けてるみてえだがな…まあ、落ち着いたところで話はするらしいが。ほれ、嫁に代わってティダ(だんな)の方が話をしてるみてえだ」

 

 と、父さんが指差す方を見ると、確かに二人が話をしているのだが…

 

「…すっごく深刻そうな顔」

 

「…ティダもそんなに饒舌な方じゃねえからな。会話成立すんのか、アレ」

 

 あそこだけ何とも言えない重圧感があるよ。

 

 姉さんって駆け落ち同然でティダ兄についてきたって聞いてたから、家族の話は聞けなかったんだよね…

 

 

「ま、ティダのアニキはしっかりしてるし、大丈夫っしょ!」

 

「…ああ、そうだな。ところでお前たち、なかなかの試合を見せてくれたじゃねえか」

 

「いや〜、まだまだっすよ。もっと修行して、次こそは姫さんに勝たねぇと」

 

「それは私も同じですね。結果だけ見れば一回戦敗退でしたし…私は幸いにもカティアとは学園で一緒になるらしいので、再戦の機会は何度かありそうですけど」

 

「お?なんだ、お前さん…シフィルだったか。学園に入学すんのか?」

 

「ええ。さっきもカティアとその話をしてたんです」

 

「そうか。じゃあ、コイツのことよろしく頼むわ。仲良くしてやってくれ」

 

「…何だかすごく父親らしい事言ってる」

 

「…失礼なやつだよな、お前」

 

 普段が普段なもんで。

 

 

「俺からも宜しく頼むぞ」

 

 いつの間にか父様と母様が近くまで来ていた。

 何だろ、対抗心みたいな…

 

「陛下…もちろん、カティア様とは友人として仲良くさせて頂きたいと思っております」

 

「ふふ、カティアのお友達になってくれてありがとう。良かったわね、カティア。入学前にお友達が増えて、あなたも心強いでしょう?」

 

「はい、母様。あとは試験を頑張ります」

 

 レティ、ルシェーラ、それにステラもいるし。

 入学前にこれだけ友人が出来たのは本当に心強い。

 学園生活が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 その後も色々な人と交流したり、最後には私が歌を披露して盛り上がったり。

 楽しいひとときはあっという間に過ぎ去って、パーティは終わりとなる。

 

 そして、それは長かった祭の終わりでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一週間に渡って行われた武神祭が終ってはや数日、祭のあとのあの何とも言えない寂しさも既に感じなくなり、街はすっかり普段の生活に戻っている。

 こうして街中を歩いていると、あの賑やかさが懐かしくもある。

 

 

「もうすっかり日常だねぇ…」

 

「そうだな」

 

「また来年のお楽しみだね。また一緒に見て回ろうね」

 

「ああ、もちろんだ」

 

 今日はカイトとお出かけだ。

 ミーティアは父さんたちに預けて二人きり…ではなく、少し離れて護衛の二人も付いてきてる。

 まあ、それにもすっかり慣れたので、もう気にはならない。

 

 

「本当に、楽しかったな……そうだ!来年はカイトも武神杯に出ようよ!」

 

「…俺もか?」

 

「ありゃ?余り乗り気じゃないみたいだね。カイトなら上位入賞間違いなしだと思うのに…」

 

「あれを見せられるとな…俺も(シギル)を発動しなければ太刀打ちできないだろ」

 

「そうかなぁ?素の状態同士なら良い勝負だと思うけど…」

 

「まあ、考えておくよ。……願わくは、来年の今頃は何の憂いもなく祭りを楽しめるといいな」

 

「うん、そうだね…」

 

 そんな風に、祭の思い出話と未来の話を語り合いながら街を歩く。

 

 

 

 

 祭の終わりと共に季節は移ろいゆく。

 肌を刺すかのようだった日差しは次第に柔らかなものになり、街角を抜ける風も少しだけ冷たくなってきている。

 

 もうすぐ『学園』の試験を受験して…それに合格すれば、秋には私も学園の生徒になる。

 

 レティやルシェーラ、ステラ、シフィルとの学生生活が今から楽しみである。

 

 しかし、未だ不穏な連中の正体や目的が判然としない状況でもある。

 このまま平穏に何事もなく…というのは虫の良い話だろう。

 

 

 

 

 武神杯では諦めない心が、不利な状況をも打破して勝ち進むことができた。

 

 これからあるかもしれない戦いでも同じことだろう。

 

 

 

 諦めなければきっと道は拓ける。

 

 不安はあるが…そんな思いと、未来への希望を抱きながら、これからも進んでいこうと思うのだった。

 

 

 

 

 

ーー 第七幕 転生歌姫と王都大祭 閉幕 ーー

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