【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第八幕 6 『受験二日目』

 今日は入学試験二日目である。

 

 試験科目は地理学、神学、魔法学だ。

 地理学はそこそこ、神学、魔法学はかなり自信がある。

 

 

「あ!カティアさん、おはよ〜!」

 

 昨日少しお話したメリエルさんが親しげに話しかけて来てくれる。

 もう既にお友達って感じで、こっちも何だか嬉しくなる。

 

「おはよう、メリエルさん。今日も試験頑張ろうね」

 

「うん!今日はわたしの得意科目があるから、張り切っちゃうよ!」

 

 ふふ…ホント、一所懸命な感じが可愛らしいなぁ。

 

 …やっぱり、誰かに似ている気がする。

 間違いなく彼女とは初対面のはずだけど、天真爛漫で感情を素直に表に出すところが…

 

 

「どうしたの?」

 

「…え?ああ、いえ…何でもないよ」

 

 おっと、いけない。

 気になって考え事していたら訝られてしまった。

 

 

 

 

 そして試験開始となる。

 先ずは地理学の試験だ。

 

 大陸の地勢、各国各地の産業、主要な街道…などなど。

 一座で旅していた時の経験が結構役に立っている。

 もちろんそれだけでは知識に偏りがあったので勉強はしたのだけど。

 

 二日目も幸先が良い感じかな?

 

 

 

 

 次は神学。

 メリエルちゃん(さん付けよりしっくりくる)が得意だと言っていた。

 問題も解答も神代語なので結構ハードルが高いのだけど…神殿関係の家なのかな?

 試験を受けるのも、私とメリエルちゃんの他には数名だけだ。

 

 問題は神代語の知識を問うもの、神代語で書かれた神々の伝説、逸話、教えなどに関する問題など。

 他にも各地に残る神代の遺跡に関するものなどもあり、考古学みたいな側面もあるみたい。

 

 オキュパロス様のお手軽学習で神代語は完璧。

 それに…職業柄、伝説伝承の類はよく扱うので割と詳しい方だ。

 

 うん、バッチリだよ!

 

 

 

 

 本日最後は魔法学。

 これもメリエルちゃんが得意と言ってたな。

 

 基本的な魔法、魔法語や、魔法の発展の歴史などに関する知識を問う。

 この辺は学院出身のアネッサ姉さんから講義を受けたので問題ない。

 それが筆記試験で、このあと実技試験もある。

 

 

 魔法の実技試験を行うには、これまで筆記試験を行ってきた部屋では無理なので、演習場に移動するとのこと。

 

 昨日は休日だったのか学生の姿は殆ど見られなかったけど、今日は多くの学生が構内にいて活気が感じられる。

 私達受験生が移動するとき、ちょうど休み時間だったらしく、廊下にたむろする学生たちから注目を浴びる。

 

 

 

(お、おい!あの娘…カティア様じゃないか!?)

 

(え…?あ!?ホントだ!!)

 

(学園に入学されるのか…?)

 

(う、美しい…お近付きになりたい…)

 

(なあ、次は演習場で魔法の試験らしいぞ)

 

(見に行こうぜ!!)

 

 

 

 …めっちゃ噂されてる。

 

「ねーねー、カティアさんって有名人なの?」

 

「あはは…まあ、ちょっとね…」

 

「なんだ、知らなかったのか?この方…カティア様はイスパル王国の王女殿下であらせられるのだぞ」

 

 と、私とメリエルちゃんが話しているところに、受験生の男の子が話しかけてきた。

 黒髪に翠の瞳、眼鏡をかけてインテリっぽいイメージだ。

 

「え?あ〜、そうなんだ〜」

 

「えっと、あなたは…」

 

「失礼しました。私はアドレアン伯爵家が長子、ユーグ=アドレアンと申します。以後お見知りおきのほど、よろしくお願いします」

 

「これはご丁寧に。私はカティア=イスパルです。一緒に入学できるよう、頑張りましょうね」

 

「私はメリエルだよ!よろしくね!」

 

「…ところでメリエルさん?先程言った通り、カティア様は王女殿下なのだから、あまり人目があるところで馴れ馴れしい態度をしていると、良い顔をしない者もいる。少し注意したほうが良いだろう」

 

「う〜ん?でも、そしたら私も王女だから問題ないじゃない?」

 

「「え?」」

 

 …あ!?

 誰かに似てると思ったら!

 

「私はメリエル=ウィラー、ウィラーの第二王女だよ。えへへ…あまり、それっぽくないけど」

 

 そうだ、リナ姉さんとかメリエナ王女に似てるんだ。

 顔の造作とか雰囲気が。

 

 う〜ん、謎が解けてスッキリ。

 

 

「これは…そうとは知らずとは言え、とんだご無礼を…」

 

「いいよいいよ〜、そんな堅苦しいのは好きじゃないし。ねっ?カティアさん!」

 

「うん、そうだね。もともと学園では身分は平等と言う事だし、ただの学友として接してくれれば良いと思うよ」

 

「それは建前的なところもあるのですが…分かりました」

 

「うんうん、ぜひそうしてね。で、ウィラーの王女と言う事は、メリエナさんの妹さん?」

 

「うん、そうだよ。あ、この間のお披露目のパーティでお姉ちゃんと会ったんだね」

 

「私の事はカティアで良いよ」

 

「じゃあ私も!」

 

「うん、メリエルちゃん」

 

「…これで誰かしら合格しなかったら悲惨ですね」

 

「「縁起でもないこと言うな!!」」

 

 このインテリメガネめ…建前だとか言ってたくせに早速遠慮がないよ。

 まあ、友達ってのはそんなものだから、いい傾向なのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何かギャラリーが多いんですけど」

 

「さっき移動する時にカティア様が噂になってましたからね。それで集まってきたんでしょう」

 

「授業はないのかな?」

 

 まさか名門校の生徒がサボり…なんてことは無いよね?

 

 演習場は屋外で、結界の魔道具になる塀で囲われている。

 かなり広いけど…大体サッカーグラウンドくらいだろうか。

 中央付近には魔法のターゲットにするためなのか、案山子のようなものが立っている。

 ギャラリーは塀に沿って多くの学生…だけでなく教員らしき人もチラホラ。

 安全を考慮して、私達とターゲットの延長線上には誰もおらず、それ以外の三方にぎっしりと詰めかけていた。

 

 

「まったく…見世物じゃないんだぞ」

 

 と試験官の先生がボヤいている。

 私の噂を聞いてとの事だったので申し訳ない。

 

 

 さて、これから魔法の実技試験なんだけど、見ての通り、あのターゲットに向かって魔法を放つという事だ。

 発動速度や正確性、威力などを見るのだが、現段階での練度よりも、どちらかというと潜在的な素質を重視するらしい。

 どうやってそれを測るのかはよく分からないけど…

 もちろん、今の時点で上級魔法とか使えるなら、その時点で十分な素質ありってことになる。

 

 

 ということで、早速一人づつ魔法を撃っていき、何人か終わったところでメリエルちゃんの番となった。

 彼女は魔法も得意だと言っていたが、何を使うのかな?

 

「次、メリエルさんどうぞ」

 

「はい!」

 

 

 メリエルちゃんが一歩前に出て詠唱を始める。

 

 …これは!

 

『日の輪の如き華となって遍く天地を照らせ…[日輪華]!!』

 

 バシュッ!!

 

 小型の太陽の如き輝きが生まれ、超高温の熱量によってターゲットは跡形もなく消えてしまった。

 

 退魔系特級魔法[日輪華]…これが使えるとは。

 私も使えるけど、チートみたいなものだし…他にはティセラさんが使えるって言ってたけど、神殿の神官でも使い手は非常に少ないはず。

 

 思いがけない超強力な魔法に、ギャラリーがざわつく。

 

 

(今の…[日輪華]だと!?)

 

(マジかよ!何なんだあの娘?…めちゃ可愛いじゃんか)

 

(おいおいおい…レティシアちゃんと言い、今年の新入生(予定)はどうなってるんだよ)

 

 ああ…レティも派手にやったんだね。

 [虚空滅却]とか使ったのかな?

 それだと会場を破壊しそうだけど…まさかね。

 

 

「えへへ〜!ぶいっ!!」

 

 メリエルちゃんは満面の笑みを浮べてドヤ顔だ。

 もう、可愛いなぁ…

 しかし、その可愛さとは裏腹に使った魔法がエグい。

 ターゲットがあった辺りの地面がガラスみたいになってるよ。

 

「…うむ、見事なものだ。では、次は…カティアさん、どうぞ」

 

「あ…はい!」

 

 私の番がやって来た。

 先の興奮が冷めやらぬまま、私の登場によって更に騒がしくなる。

 

 

(おい、次はカティア様だぞっ!)

 

(さっきの娘も凄かったけど…一体どうなるんだ?)

 

(おれ、武神杯見たけど、魔法もめちゃ凄かったぞ。上級をポンポン使ってたし)

 

(そりゃあ楽しみだな!)

 

 

 

 何だか変な期待をされてるなぁ…

 さて、どうしようか。

 

 試験を始めるときに先生は、自分が使える最強のものを…なんて言ってたけど。

 

「あの〜…」

 

「?…どうしました?」

 

「いえ、私が使える魔法で最大威力のやつって、[轟天雷]なんですけど…」

 

「…それは流石に不味いですね。この会場で使っても問題ない範囲で強いもの、でお願いします」

 

「ですよね。分かりました」

 

 そりゃそうだ。

 

 そうすると、私もこれかな。

 精神を集中させ、魔力を高めて詠唱を開始する。

 

『天より零れ落ちたる日の欠片は、神の気を纏て此処に集い光となれ。神威須らく魔を滅すべし。其は日の輪の如き華となって遍く天地を照らせ…』

 

 詠唱の完了と共に、手をターゲットに向かって突き出し、最後の引き金を引く!

 

『[日輪華]っ!!』

 

 バシュッ!!

 

 

 先程と全く同じ光景が繰り返される。

 小型の太陽が残っていたターゲットの一つを飲み込み、その光がおさまると、跡にはガラス化した小さなクレーターが残るのみだった。

 

 

(ま、また[日輪華]!?)

 

(先生たちより凄いんじゃないか?)

 

(特級魔法の大売り出しだな…)

 

(て言うか、これ以上なにを学ぶんだ?)

 

 いやいや、学ぶことなんて幾らでもあるものだよ?

 

 

「カティアも使えるんだ!お揃いだねっ!」

 

「え?あ、ああ、そうだね?(お揃い…と言うのだろうか?)」

 

 まあ、これでギャラリーの皆さんも満足したかな?

 

 

「これまた素晴らしかったですね……では、次は…ユーグくん」

 

「はい!…あれだけ見せつけられるとやりにくいな」

 

 そうは言いつつも彼が使ったのは、上級の[天雷]だ。

 素早く発動して正確に的に当てるのは中々の腕前だと思う。

 [日輪華]程ではなかったが、十分に観客(?)を驚かせていた。

 

 

 その後も何人か実技が行われていたが、突出していたのはやはり私達3人だった。

 

 

 

 

 こうして試験二日目は終了した。

 

 一日目、二日目ともに順調で、出来は悪くなさそうだ。

 そう、確かな手応えを感じるのだった。

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