【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第八幕 10 『捜索』

 エメリール神殿を出た私達は、捜索要員に情報を共有するために一旦王城に戻る。

 

 捜索範囲を第二城壁内に絞る話だったが、もとより王城を中心に広げて行くように動いていたのでそれは問題無かった。

 

 

 魔力探知の魔道具や[探知]を使える人を動員して人海戦術で捜索に当たる。

 私は直ぐに連絡を受けられるように、王城の会議室で報せが届くのを待つ。

 自分自身で探しに行きたい気持ちを抑えて…

 

 

 

 

 そして…ついにその報せが来た!

 

 慌ただしく会議室に入ってきたケイトリンが報告してくれる。

 

「カティア様!城内で検知された魔力反応に類似した魔力の痕跡を発見しました!!」

 

 ガタッ!

 

「ホント!?どこなの!?」

 

 急に立ち上がった勢いで椅子が倒れるが、そんなのは気にしてられない!

 早くそこに行かないと…!

 

「三番街の……アグレアス侯爵所有の倉庫を含む街区です」

 

 アグレアス侯爵…やはりクロだったって事?

 いや、近辺ってだけで断定は出来ないが。

 

 とにかく今は急いで行かないと!

 

 

「行こう!」

 

「「はい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この辺り?」

 

「はい。ただ、かなり魔力反応が薄まってしまったのでこの街区のどこかまでは……今は人員を集めて一帯の捜索を行うところです」

 

「…アグレアス侯爵の倉庫は?」

 

「既に近隣一帯の家宅捜索の許可は得てますので、真っ先に開始してます」

 

 

 それで見つかれば良いが…

 だが、黒幕が黒神教であれば一筋縄では行かないかもしれない。

 

 リル姉さんに言われたことを思い出す。

 私とミーティアの魂を結べ…(シギル)の真の力を引きだすのだと。

 

 

 魂魄への干渉こそがリル姉さんの(シギル)の真髄である。

 私であればそれを引き出すことができるとリル姉さんは言っていた。

 

 具体的にどうすれば良いのかは分からない。

 だけど…

 

 

 

 私は目を瞑って、ミーティアの姿を思い浮かべる。

 皆から愛されている、あの眩しい笑顔を。

 

 あの娘は私の『魂を分けた』娘なのだから…もし近くにいるのなら、きっと感じられるはず。

 

 そして私は静かに口ずさむ。

 

 咄嗟に出てきたそれは、ミーティアのお気に入りの童謡。

 迷子の女の子が、不安になりながらも小さな冒険の末に母親と再会する歌。

 

 

 祈りを捧げるように両手を組んで歌うと…身体の奥底から温かな力が沸き起こる。

 

 目を閉じていても、星の煌めきの如き光が漣のように周囲に広がっていくのが分かった。

 

 私を中心として球状に広がっていくそれが人々に触れると、その人の魂の熱量のようなものが感じられた。

 

 

 

 

 

ーーーー ケイトリン ーーーー

 

 

 カティア様とともに魔力の痕跡が見つかったと報告のあった、三番街のとある街区…そこにある小さな広場にやって来ると、カティア様は目を閉じ両手を組んで歌い始める。

 

 この国の誰もが知っているであろう童謡が、美しい歌声となって広場に響き渡る。

 緊迫する状況にも関わらず、思わず聞き惚れてしまう。

 

 すると、カティア様の前には翼を象ったような光の印が現れ、身体から不思議な色合いの光が放たれ始めた。

 

 まだ完全に一帯を封鎖できていないため、周囲には少なからず住民がいる。

 突然広がり始めた光の漣に、誰もが驚きの表情で逃げる間もなく飲み込まれる。

 

 …大丈夫。

 

 私自身も光に飲み込まれると、何か温かなもので満たされるような感じがした。

 それは、私の身体の奥底にある何かに触れると、カティア様の想いが流れ込んでくる。

 

 大切な娘を想う気持ちが。

 

 もしこの近くにミーティアちゃんがいるのなら、きっとこの想いが届くはず…

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 私は今…(シギル)の力によって周囲の人々の魂の熱を感じている。

 すぐ近くにいるのはケイトリンとオズマ、ティセラさんも。

 ……あ、父さんやカイトたちが急いでこちらに向かっているのが分かる。

 

 

 (シギル)の光は既にかなりの範囲に広がっている。

 だけど、まだミーティアは見つからない…

 

 もう…ここにはいないの?

 

 

 

 …

 ……

 ………!?

 

 一瞬…ミーティアを感じたような…

 

 今のは……どこ?

 

 もう一度集中するんだ!

 

 

 

 ……これは…下?

 

 地下か!!

 

 

 

「ケイトリン!!」

 

「は、はいっ!!」

 

「あの倉庫に地下室はあるのっ!?」

 

「い、いえ、そのような話は聞いたことはありませんけど…」

 

「あの倉庫の下にミーティアを感じたの!!」

 

「!!そうか、地下に隠し部屋があるんですね!!皆を集合させます!!」

 

 そう言ってケイトリンは、懐から筒のようなものを取り出して高く掲げると…

 

 

ひゅ〜……ドォーーーンッ!!!

 

 大きな音と光が上空に生じた。

 

 なるほど、信号弾か!

 

 

 

 すると、この近辺で捜索にあたっていた騎士や衛兵たちが直ぐに集まってきた。

 さっきこちらに向かってくるのを感じた父さんやカイトたち、エーデルワイスの面々も。

 

「ケイトリン!どうした!?さっきの光は…?」

 

「皆!!さっきの光はカティア様の(シギル)の力よ!!それで…あの倉庫に地下にミーティアちゃんがいることが分かったのよ!!既に内部で捜索している者と協力して、何としても地下への入り口を探し出すのよ!」

 

「「「了解!!」」」

 

 

 

 

「「カティア!!」」

 

 エーデルワイスの面々…父さん、カイト、ティダ兄、アネッサ姉さん、ロウエンさん、その他にも何人か…みんなミーティアの捜索に当たっていてくれたが、知らせを聞いて集結したのだろう。

 

「皆も一緒に…お願い!」

 

「ああ!必ず探し出すぞ!!」

 

「「「応!」」」

 

 

 

 そして私達はアグレアス侯爵所有の倉庫に突入するのだった。

 

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