【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第八幕 15 『意外な救援者』

 

 …ア

 ……ティア

 

 

 

 ん?

 

 誰かが私を呼んでいる…?

 

 

 あれ?

 

 私は……どうしたんだっけ?

 

 

 

「カティアっ!!」

 

「うひゃあっ!?な、何っ!?……あ、カイト?」

 

 揺さぶられて間近で名前を呼ばれて、ようやく私は覚醒した。

 

 

「…大丈夫か?」

 

「え?何が…?あ、ああ…私気を失って…いや、戦った記憶はあるね。アイツは……倒したんだよね?」

 

 何だか記憶が曖昧だけど、何となくは覚えている。

 まさしく忘我の境地だったのだろう。

 

「ああ、黒い灰になってしまった」

 

「ありゃあ、アレだな。いつぞやのオーガエンペラーと同じだ」

 

「アレも黒神教絡みだったってことか…」

 

 そうみたいだね…

 

「大将たち、あの時あんなヤバいのと戦ってたんスか?」

 

「確かにあの時も〜、尋常じゃないプレッシャーだったけど〜」

 

 私も支援に徹してたから見てないけど、プレッシャーは凄かったよね。

 遠くだったから今回との程度の差が良く分からないけど。

 

「いや…レベルが大分違ったな。あの時のヤツが可愛く見えるくらい…今回のはヤバかった」

 

「あの時はダードおじさまとカイト様に任せっきりでしたわ。今回も…」

 

 ルシェーラ…悔しい、だろうね…

 

「私達もですよ。盾になる事すら出来ない」

 

 ケイトリン…オズマも頷いてるね。

 

 

「力及ばねぇのが悔しいなら、強くなるしかねえぞ。…そりゃあ、俺たちもなんだがよ」

 

「その通りだな。ここまで自分が非力だと思ったのははじめてだ」

 

 父さんの言葉に、ティダ兄も同意する。

 

 そうだね。

 何かを守るためには強くならないと…

 

 って!!

 ここで話し込んでる場合じゃない!!

 

 早くミーティアを助けに行かないと!

 

 

 

 

 

 

「おやおや…『獣騎士』はまさかやられたのかい?『調律師』よ」

 

「どうやらそのようです、『奇術師』どの」

 

 !?

 いつの間にっ!?

 

 先に進もうとしたとき、そこには黒ローブの…声からして恐らくは男女…がいた。

 もう一人いるみたいだが…陰になって良く見えない。

 

「まったく…彼は自らの力を過信しすぎるところがありましたからね」

 

「そうだねぇ…だが、ヤツは我々の中でも最弱!魔族の面汚しよ…!」

 

「…?そうでしたっけ?我々の間にそれほどの力の差は無かったと思いましたけど…それに、死者を愚弄するのは感心しませんね」

 

「あははは…ゴメンゴメン。まあ格式美ってやつだよ。一度言ってみたかった的な」

 

「…よく分かりませんが。とにかく、この場を収拾つけなければなりません」

 

 くっ…ネタに思わず突っ込むとこだった…

 でも、同じくらいの力とか言ってくれて正直ホッとしたよ。

 

 

 しかし、どこかとぼけた態度とは裏腹に、物凄い圧迫感を感じる。

 同じくらいの力を持つと言ってたけど、まさにその通りだ。

 それが二人も…

 

 

「よく分からんが、また魔族か………!!?」

 

 そう呟いて再び警戒体勢を取ろうとした父さんが、目を見開いて驚愕の表情を表す。

 その視線の先には…陰になった人物。

 よく目を凝らしてみてみると…

 

 

 !!

 

 その人は、髪と瞳の色が僅かに違うのを除けば…私と瓜二つの姿をしていた…!

 だが、その表情は氷のように冷たく無表情だ。

 そこには、何の感情も窺い知ることが出来ない。

 

 

 だけど…私には分かってしまった。

 

「まさか…ミーティアなの!?」

 

「…」

 

 そう…同じ魂を持つからこそ分かる。

 私と同じくらいの年齢まで成長した姿だが…彼女はミーティアだ。

 だけど私の問いかけには何も答えない。

 

 

「え!?あれがミーティアちゃん!?」

 

「カティア様にそっくり…」

 

「一体何がどうなってやがる?」

 

 皆も予想外の状況に混乱する。

 

 でも、どんな姿でも大切な娘には違わない。

 奴らから引き離して助けなければ…

 

「ミーティア!!ママだよ!!どうしたのっ!?そいつらから離れて!!」

 

 私がミーティアに呼びかけた、その時…

 

 

 

「その子は『調律師』の異能の支配下に有ります。助けるには先ず、彼女から引き離さなければなりませんよ」

 

 また誰か来た…!

 もう、次から次へと…今度は何っ!?

 

 後ろからの声に振り向くと、そこにいたのは予想外の人物だった。

 

「あなたは…シェラさん!?何故ここに…?」

 

 

「…誰かと思えば、裏切り者の『堕天使』ではないですか」

 

「おお、ホントだねぇ…久しぶりじゃないかい?『堕天使』」

 

 さっきからこの人達…もしかしたら中二病発症者なんだろうか?

 

「その呼び名は止めてください」

 

 あ、シェラさんは真っ当な感性の持ち主なんだね…

 それにしても、『裏切り者』とはいったい…

 

 

「裏切り者も何も、あなた達の仲間になったことなど無いと思うのですが…」

 

「魔族の身でありながら『黒き神』に信仰を捧げない者など、裏切り者と言わずして何と言うのでしょう?」

 

「…何と言う理不尽。私が何を信じようが私の自由でしょう。ねえ、カティアさん?」

 

 と、突然こっちに話を振ってくる。

 

「え、あ、はい…そうですね?」

 

 訳も分からずに答えるが、まあ信仰の自由と言うならそれはそうだ。

 

 じゃなくて!

 

「あなたは一体何者なんですか?『魔族』…なんですか?」

 

 そういえば白髪…いや、彼女の場合は銀髪というべきか…に金眼は、あのラルヴァと似たような色だ。

 もしかしたら、それが魔族の特徴なのかもしれない。

 

「さっき彼らも言っていたでしょう、『裏切り者』と。別に彼らの組織に属したことなど無いのですけど…要は敵対者ってことです。まあ、今は敵の敵は味方と思っていただければ。それに、魔族の全てが人間と敵対してる訳じゃないんですよ……ああ、それより今はあのミーティアって娘をどうにかしないとなんじゃないですか?」

 

 む…確かに。

 色々聞きたいことはあるけど、それは後回しだ。

 今はとにかく…

 

「ミーティアがあんなふうになってるのは、あの『調律師』ってやつのせいなのですか?」

 

「そうです。彼女の異能は『黒き魂』…あなた達の言う『異界の魂』を意のままに操り支配下に置くと言うものです。その異能を使って黒神教は『黒き魂』を集めているのですよ」

 

 あっ!?

 それはっ!!

 

「…『異界の魂』を支配する?じゃあ、ミーティアは…まさか?」

 

 と、カイトが呟く。

 他の人たちも同様に理解したのか、戸惑いの表情を浮かべている。

 

「で、でも、あの娘はもうこの世界の存在として定着したって!エメリール様が言ってたよ!!」

 

 ふと、かつてゼアルさんが言っていた言葉を思い出す。

 人間とは、異質なものを排除しようとする、と。

 …大丈夫だよね。

 ミーティアは良い子なんだから…

 

 って!

 そう言えばゼアルさんは何してんの!?

 ちゃんとミーティアを護ってよ!!

 

 

「カティア、大丈夫だ。ミーティアは俺の娘だ。」

 

「カイト…」

 

 私の不安を察したカイトがそう言ってくれる。

 

「そうだぜ。今更秘密の一つや二つ増えたところで何が変わるってもんじゃねぇだろ」

 

「ミーティアちゃんはミーティアちゃんですわ」

 

「そうよね〜、今更そのくらいじや驚かないわよ〜」

 

「みんな…」

 

 

 

 

 

「あ〜、何か余計なこと言ってしまったみたいで、すみません。…とにかく、彼らの相手は私がしますから。その隙に何とかしてくださいね」

 

「シェラさん…分かりました!」

 

 今は彼女を信じるしかない。

 以前初めてあったときに危険と感じたのは…きっと、彼女が魔族であることを無意識に察したからだ。

 だが、味方ならばこれ以上頼もしい者はいないだろう。

 

 

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