【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第九幕 12 『帰路』

 クラブ見学も一通り終わって帰路につくために校門に向かう。

 

 時刻はもう夕方。

 既に日は傾き、地面に長い影を落とす。

 空はすっかり茜色に染まっている。

 大分、日が短くなってきたね。

 

 

 私達と同じように大勢の学園生たちが、友達とお喋りしながら歩いている。

 中には私に気が付いて注目する人もいるが、今朝ほどではない。

 

 初日ながら、少しは慣れたのだろう。

 まあ、これから当たり前の日常になるのだからね。

 

 

 寮暮らしとなるステラとシフィル、メリエルちゃんは途中で別れた。

 

 

 

 校門までやってくると、護衛の二人が出迎えてくれた。

 ……やば。

 時間がいつ頃になるか、特に伝えてなかったかも…

 

 

「ご、ゴメンっ!もしかしてずっと待っててくれた?」

 

「あ、いえ、大丈夫ですよ。そろそろお帰りになる頃だと連絡を受けましたので、それに合わせて参りましたので」

 

「へ?連絡?誰から?」

 

「私ですわ。折を見て、ぴーちゃんを飛ばしました」

 

「い、いつの間に……」

 

「と、まあ…学園内に何人か協力者がおりますので…カティア様の動向については、適宜連絡を頂けるようになってるんですよ」

 

 …そうなんだ。

 これは学園内でも下手な事はできないね…

 

 いや、どこだって同じだけど、学生気分で羽目を外しすぎても筒抜けって事だ。

 まあ、そんなつもりは全然ないから別に良いんだけど。

 

 

 

 

 

 

 そして、護衛の二人と合流して学園を出る。

 途中まではレティ、ルシェーラと一緒だ。

 私はエーデルワイスの邸から通う方が近いのだけど、今週は王城から通うことになってる。

 

 

「それにしてもさ、あの娘すごかったよね」

 

「アリシアさん?」

 

「そうそう。カティアと同じくらい歌が上手い娘がいるなんてね」

 

「…凄い剣幕でスカウトしてドン引きされてましたわ」

 

「……反省はしてる。でも、彼女はウチに必要なんだよ!」

 

 クラリスさんにも、「…カティアさん。せめて私の目の前で勧誘するのは控えてもらえると…」と若干怒られた。

 

 

 しかし!

 私の熱意が通じて、今度劇団の方に来てもらって話を聞いてもらえることになったよ!

 

「…勢いに飲まれて、訳もわからず頷いていただけのような?」

 

「…ナチュラルに心を読まないでよ。とにかく!これで二枚看板が確立できれば…私が公務とか『異界の魂』絡みで不在になっても穴を開けずに済むようになるかもしれない!」

 

「確かに、それは懸念されてましたものね」

 

「もちろん彼女と一緒に舞台に立ちたいって思ったのが一番だけどね」

 

 素晴らしい舞台になるのは間違いない。

 

 

 ちなみに、アリシアさんは7組だって言ってた。

 彼女はもう合唱クラブに入るのは決めてるみたい。

 私もそのつもりだ。

 

 他の入部を決めてる娘達とも色々話しして仲良くなったし、今日は凄く有意義な時間が過ごせたと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レティ、ルシェーラと別れ、王城に帰る道すがらケイトリンが聞いてくる。

 

「カティア様、今日はどうでしたか?」

 

「そうだね…入学式はちょっと緊張したけど。クラスメイトとは仲良くなれそうだし、クラブ活動も色々面白そうなのがあったし…」

 

 と、今日あった出来事を話す。

 優しげな表情をしたケイトリンが何だかお姉さんっぽくて、ちょっと気恥ずかしかったけど、こうやって話を聞いてくれるのは何だか嬉しかった。

 

 

「あ、そうだ…ギルドからカティア様に連絡があったそうです」

 

「ギルドから?何だろ?」

 

「内容までは聞いてませんが、ギルド長がご都合の良いときにお伺いします…とだけ。スケジュール調整はマリーシャにお願いすれば良いかと」

 

「ああ、いいよいいよ。わざわざ来てもらわなくても。ギルドなら学校の帰りにでも寄れば良いんだし。あ、でも…ギルド長の都合もあるだろうから、調整はお願いしないとか」

 

 王都のギルド長にはまだお会いしたことがない。

 と言うか、王都に来てからギルドに行ったのは、指名依頼のために訪れた時の一回だけで、冒険者の活動はとんとご無沙汰である。

 

 しかし、ギルド長が私に用事って何だろ?

 …まあ、会ってみれば分かるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カティア、今日は一日どうだったかしら?」

 

 夕食の席で母様に学園の話を聞かれたので、ケイトリンに話したのと同様に、クラスに馴染めそうであることや、興味のあるクラブ活動のこと、仲良くなった友達のことなどを話した。

 

「そう、上手くやっていけそうなのね。良かったわ」

 

「うむ。代表挨拶も立派だったぞ」

 

「ちょっと緊張しました」

 

「わたくしも、姉さまのはれぶたいを見たかったです…ねえ、ミーティアちゃん」

 

「もぐもぐ……うん、クラーナちゃん!」

 

 …取り敢えず返事してるけど、食事に夢中であまり興味なさそうだよ?

 

 でも、食いしん坊は相変わらずだけど、最近は王城で暮らしているからテーブルマナーも少し身について…ミーティアも何だか上流階級のお嬢さんって感じになってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食事が終わって部屋に帰ると、どっと疲れが押し寄せてきた。

 初日ということもあり、思いの外気を張りつめていたのかもしれない。

 生活サイクルが変わると言うのもあるけど…まあ、すぐに慣れるだろう。

 

 お風呂に入って、今日は早めに就寝することにした。

 

 

 

 

 

 

 ミーティアと一緒にベッドに入って、今日一日の出来事を振り返り、明日からの学園生活も楽しみにしながら……私は眠りに落ちるのだった。

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