【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う! 作:O.T.I
引き続き武術の授業である。
どう言う訳か私は、同級生の武術指導を行うことになった。
ん〜…人に教えるのは初めてなんだけどなぁ…
それに、私のは本当はグレイブじゃなくて薙刀なんだけど…まぁ、いっか。
因みに、ルシェーラは当然ながら
中々に良い選択だと思う。
誰かにアドバイスされたのかな?
そして、レティはグレイブを選んだ。
最初は槍を選んでたんだけど、私が教えるという話を聞いて変えたみたい。
他にも何人かそういう娘がいる。
「えへへ…カティアに武術を教わるのは、前に約束してたからね」
「…約束?」
「あれ?忘れちゃったの?うう、親友なのに…ひどいわ、くすん…」
「はいはい、嘘泣きはやめなさい。でも、約束って……ああ、モーリス家で手合わせしたとき…」
「そうそう!」
確かにそんな話をしてたね。
あの時は学園に入るなんて思ってなかったけど…不思議なものだね。
「じゃあ、これから教えるんだけど…正直人に教えた経験なんてないからね。あんまり期待しないでね」
「だいじょ〜ぶだよ!カティアはチートキャラだからね!」
別にずるはしてないと思うけど。
…多分。
「「「よろしくお願いします!カティア先生!」」」
「あ〜…カティアでいいよ。同級生なんだしさ…」
ということで…取り敢えず武器としてグレイブを選んだ女子達を集めて、基本の構えから教えることにした。
「では、もっとも基本的な…これが中段の構えね」
先ずは私が見本を見せる。
左前の半身で、グレイブの穂先は相手の鳩尾を狙うような位置に置く。
「これが基本と言われるのは、攻撃、防御どちらの動作にも繋げやすいからだよ。まずはこの構えを覚えましょう。やってみて?」
と、皆にも構えをとってもらうように促す。
「カティアさん、こんな感じかな?」
「うんうん、なかなか良いと思うよ。もう少し、こう、脇を締める感じで…うん、いいね」
「カティア〜、こ〜お〜?」
「姿勢はいい感じだね。あとは持手の位置をもう少し、こう…そうそう、そんな感じで」
「…何か窮屈な感じ」
「力を入れ過ぎかな?あとは慣れもあるけど、これが自然に出来れば、次の動作に繋げやすくなるんだよ」
一人ひとり構えをチェックして、気になるところを修正していく。
かなりの人数がいるから結構大変だ。
…て言うか、先生はかなり楽してるんじゃなかろうか?
一通り構えをチェックして、次の段階に進む。
「じゃあ次は…どうしようかな?…基本の歩法から行こうか」
薙刀…じゃない、グレイブを構えながら移動する方法だ。
地味だけど、間合いが特に重要な武器だから足運びはとっても大事。
「基本はこう…『摺り足』って言って、地面を軽く擦るように歩くの。私のマネしてやってみましょう」
と、しばらくは皆で足運びの練習をやってみる。
「なるべく上体は動かさないように意識してね」
時折注意点を伝えたり、個別に指摘したりする。
うん、結構先生っぽく出来てるんじゃないだろうか?
「…ねえ、カティア。これ、地味だね」
「何言ってるの、基礎なんて大体は地味なものでしょう」
「そりゃそうなんだけどさ。もっと、こう…折角武器を持ってるんだから振り回したいよ」
こらこら、基礎を疎かにしちゃ駄目だよ。
気持ちは分かるけど。
「それは次ね。でも、こんな地味な歩法でも、極めれば……」
そこで、[閃疾歩]で一瞬のうちにレティの懐に飛び込む!
「うわっ!?」
「こんなことも出来るんだよ?」
「えっ!?今、一瞬で現れたよ!?転移魔法!?」
お〜、驚いてる驚いてる。
「違うよ、レティなら『縮地』って知ってるでしょ?」
「あ、知ってる!漫画とかで見たことあるよ!」
まあね。
縮地はロマン(?)だよね。
「まあ、マンガみたいに超スピードで動いてる訳じゃなくて、どちらかと言えば、意表を突くとか錯覚とか…そう言う技なんだけど」
「へえ〜…私にもできるようになるかな?」
「地道に練習すればね」
「…は〜い」
周りで聞いていた娘たちも、基礎の大事さは分かってくれたかな?
地味でつまらないけど、それを実直にこなせる者が強くなれるんだよ。
とは言え…これだけじゃ、やる気が削がれちゃうから、そろそろ武器も使いますか。
「じゃあ、摺り足の練習はそれくらいにして、次は武器も使ってみようか」
私のその言葉に、あからさまに皆の表情が明るくなる。
「手本を見せるから、よく見ててね」
そう言って、私は殊更ゆっくりと、動作をよく見てもらう事を意識しながら袈裟斬りの型をなぞる。
「こんな感じね。身体の各部分を連動させて、滑らかに、流れるようにって意識すると良いかな。ゆっくりで、まだ力はそんなに入れなくていいから」
見本を見せてからポイントを説明して、実際にやらせてみる。
先程の歩法の練習と同じように一人ひとりの動きをチェックして、おかしなところがあれば指導する。
「うん、良いね。みんな中々サマになってるよ!」
「本当?私も?」
「うん、レティもスジは悪くないね」
「えへへ〜…よ〜し、頑張ってカティアみたいに強くなるぞ〜」
うんうん、やる気が出て何よりだよ。
他の娘たちも思いのほか楽しそうに練習してくれている。
他の人に教えるのは初めてだったけど、後進を育てる人の気持ちが少しだけわかって、こう言うのも悪くないな…と思うのだった。