【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第九幕 16 『放課後〜ギルド訪問』

 

「ねえねえ、もうクラブは決めた?」

 

 放課後になってレティがそう質問してきた。

 

「ん〜、まだ迷ってるんだよね…取り敢えず、合唱クラブには入ろうと思うんだけど、他にも面白そうなのがのがいくつかあったからねぇ……みんなは?」

 

「私はね、魔道具研に入ろうかと。ここしばらくはプロジェクトも商会も忙しくないし、今日あたり行ってみようかなって」

 

 ふむ、レティはもう決めたんだね。

 

「私は武術に…同じく今日顔を出してみようと思いますわ。メリエルさんもそう言ってたので、一緒に行こうかと」

 

「私も攻撃魔法研に行ってこようと思うわ」

 

「私は乗馬か化学のどちらかには…」

 

 ルシェーラ、シフィル、ステラ…そしてメリエルちゃんもか。

 

 

「じゃあ皆クラブに出るんだね。私は今日は用事があるから…」

 

「用事?」

 

「うん。ギルドと…あとはエメリール神殿に」

 

 ギルド長が話があるって言っていた件、調整がついたので直接ギルドに赴いて話を聞くことにした。

 どう言う内容の話なのかはまだ聞いていない。

 

 

 そして神殿は…ミーティア誘拐事件の時以来、神界との繋がりを妨害していた結界が解除されたので、リル姉さんと話をするために。

 

 あの黒神教の地下神殿を捜索した際に、大規模な儀式魔法陣が発見されて…それが神界との交信を妨害していたことが分かったのだ。

 解析も解除もティセラさんの力添えが大きかったらしい。

 会ったらお礼を言わないとね。

 

 解除には結構時間がかかったのだが、それがようやく終わったと昨日連絡が来たのだ。

 

 前回の事件はリル姉さんの神託のお陰もあって早期に解決できたので、そのお礼を言いたいのと、あとは諸々情報共有もしておきたい。

 特に魔族の動向についてと…シェラさんが何者なのか、リル姉さんならもしかしたら知ってるかも、と思ったんだ。

 

 

 

 

 

 護衛の二人とともに、先ずは大西門近くにあるギルドに向かう。

 

 まだ夕刻よりは少し早く、ピークの時間ではないため比較的空いている。

 空いている受付の一つで、ギルド証を出しながら用件を伝える。

 

「すみません、ギルド長が話があるということで参りました」

 

「はい、カティア様でございますね。伺っております。ご案内いたしますね」

 

 そう言ってカウンターの奥にある階段に通してくれる。

 そこを登って3階一番奥の部屋まで案内してくれた。

 

 

 コンコン。

 

「失礼します、ギルド長。カティア様がお越しくださいました」

 

 

 扉を開けて中に入ると、執務机で仕事をしていたらしき壮年の男性が立ち上がって迎えてくれた。

 

「わざわざご足労いただきまして恐縮です。私はこの王都ギルドを任されております、アイザックと申します」

 

 荒くれ共が集まるギルドのイメージとは異なり、理知的に見える。

 だが、しっかり鍛えられているらしく、細身ではあるが頼りない感じはしない。

 

「はじめまして、カティアと申します。何でも、私にお話があるとか……」

 

「はい。まあ、立ち話もなんですから、こちらへどうぞ」

 

 そう言って、執務室備え付けの応接セットのソファを勧めてくれたので、そこに座る。

 護衛の二人にも座ってもらおうかと思ったのだけど、どうやら相手は私を王女として接してるようだったのを思い出して、その言葉を飲み込んだ。

 

 そして対面にギルド長が座り、話を始める。

 

「先ずは、お呼び立てするようなことをして申し訳ありません」

 

「あ、いえ。私の都合でそうしてもらったのですから…こちらこそ、ご調整いただきありがとうございます」

 

「学園に入学されたのですね。かの英雄『星光の歌姫(ディーヴァ・アストライア)』が学生になられるとは…不思議な感じがしますな」

 

「…ふふ、それは私自身もですね」

 

 不意打ちで呼ばれた二つ名に少しダメージを受けながらも、にこやかに返す。

 

 

「さて、雑談はそれくらいにして、本題に入りましょうか。話というのは他でもありません、予てより審議が行われていたカティア様のSランク認定に関して、結果が出ましたのでそのお知らせとなります」

 

 ……そんな話もあったね。

 すっかり忘れていたよ。

 

 

 もともとは、リル姉さんの(シギル)を持つ私が有力者たちの思惑に下手に巻き込まれないように個人としての立場を強くしておこうと…侯爵閣下のご配慮から出た話だった。

 

 だけど、今となっては私はこの国の王女。

 その目的は既に果たされたと思って良いだろう。

 

 

「結論から申し上げますと、カティア様はこの度…Sランクへの昇格『資格』を得ました」

 

「…え〜と?昇格…ではなく、昇格資格…ですか」

 

 Aランクまでは昇格資格を得てから試験に合格して初めて昇格すると言うものなので、言葉の意味はわかるけど…

 Sランクと言うのは英雄的な働きをした者に与えられる名誉称号みたいなものと聞いていたので、試験があるとは聞いてなかった。

 

 

「はい、Sランクの昇格には、中央の議会で有力ギルド長の満場一致をもって認められるのですが…」

 

「ああ…つまり、全員が昇格を認めたわけではなかったと」

 

「はい。イスパルの西部辺境の中心都市であるブレゼンタムを救った功績は特筆に値するもので、大多数は昇格を認めていたのですが、かつてのSランクの者たちと比べてやや実績が物足りない、と言う者が何人かおりまして」

 

「まあ、それなら仕方ないですね」

 

 別に何が何でもなりたかったわけじゃないし。

 貰えるものは貰うけど。

 

 

「あれ?でも、それなら単純に却下されるだけの話だと思うんですけど?」

 

「それはですね……カティア様は今年の武神杯で優勝され、なおかつ国王陛下と引き分けたではないですか。それで再審議と言う話になりまして。何せ、あの英雄王と互角の力を持つと言う事が示されたのですから。もし陛下が冒険者であったのならば、Sランク認定されてたはずです」

 

 なるほど。

 あの大会での活躍を評価されたのか。

 

「でも、Sランクの昇格資格って言うのは?試験があるんですか?」

 

「いえ、試験ではなく…あともう一つ、ブレゼンタムを救ったのと同程度の功績を上げれば、その時は無条件でSランク昇格が認められるということになりました」

 

 つまり、合わせ技一本って事だね。

 でも、そうそうあんな事件は無いし、あっても困るんだけど。

 そもそも、最近は冒険者の活動してないしなぁ…

 たまには何か依頼受けようかな?

 

 

「わかりました。まぁ、気長に精進して頑張りますよ。…ああ、そうだ。この話はブレーゼン侯爵閣下にはされてます?もともと推薦してくださったのは閣下だったので…」

 

「ええ、すでにお話させていただいてます。『まぁ、もう状況が変わっちまったからなぁ…』と申されておりました」

 

 当初の目論見からは外れたもんね。

 でも、色々私のことを考えて動いてくれた、その気持ちが嬉しい。

 

 

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