【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第九幕 19 『アズール商会』

 リディーさんと別れた私達は、最初の目的であるアズール商会へとやって来た。

 とは言っても、ここに用事があるのは私だけだ。

 

 

「モーリス商会とアズール商会って、商売敵じゃないの?」

 

 今更ながら、少し気になったのでレティに確認してみる。

 

「ん〜?…まあ、商売だからね。ライバルになる事もあれば、提携することもあるし…まあ普通にビジネスライクな付き合いだと思うよ。あ、でも最近はプルシアさんと一緒に魔道具開発してたりするから、割と良好な関係って言えるんじゃないかな」

 

「そっか。なら良かった」

 

 険悪な関係なのに会長(かいちょー)を連れてくのは流石にマズいもんね…

 

 アズール商会はモーリス商会の数件隣の建物で…もはやこれはビルといっても良いかもしれない。

 この一角は大商会の本店級の店が軒を連ねるので、どの建物も大きいのだが、アズール商会のそれは更に抜きん出た大きさだ。

 

 周りの建物は3〜4階建てが多く、それだってこの世界からしたら相当大きな建物なのだが…アズール商会本店は5階建てで、敷地面積も相当広く見える。

 入り口の扉も大きくて、大勢の人たちがひっきりなしに行き交っている。

 まるで前世のデパートそのものだ。

 

 

「凄い…この建物が全部お店なの…?」

 

「アダレットにはこんな大きなお店は無いよね…」

 

「ウィラーにも無いよ!」

 

 と、留学組が驚きをあらわにしている。

 

 ちょっとイスパルの王女として優越感を感じてしまったのはヒミツ。

 私にも結構地元意識が芽生えてるんだよ。

 

 

 

 

 

 そして、雰囲気に少し圧倒されながらも、お店の中に入っていく。

 

 中に入ると天井の高い広々としたエントランスが迎える。

 ピカピカに磨きこまれた大理石のような石材の床や壁がゴージャス感を醸し出していた。

 

 客層も、いかにも裕福そうな身なりの紳士淑女たちだ。

 まぁ、私達も王族に高位貴族なので、身なりもそれなりであるのだが。

 

 今日の私の格好は、街歩きも考慮してあまり華美になり過ぎないようにしているが、仕立ては良いものだ。

 他のみんなもそれは同じで、周りから浮いてるという事はない。

 

 いや、私はチラホラと注目を集めているね…

 まあ、格好がおかしいのではなくて、そこそこ顔が知られていると言う事だと思うけど。

 

 

 

 

 

 入ってすぐの所にカウンターが設けられていて、受付嬢が立っている。

 どうやら案内所の役割らしく、そんなところもデパートみたいだ。

 

 

「すみません」

 

「「いらっしゃいませ」」

 

 受付のお姉さんたちに声をかけると、揃って挨拶をしてくれる。

 所作も洗練されていて、高位貴族の使用人のようだ。

 

「カティア様にお越しいただけるとは、真に光栄でございます。本日はどのようなご用向きでいらっしゃいますか?」

 

 どうやら彼女達も私の顔は知っているらしい。

 

 私はポーチから以前ユリシアさんに貰った紹介状を出して、お姉さんに渡す。

 

「こちら…以前商会の関係者の方から頂いた紹介状なんですけど」

 

「カティア様の事は我々も聞いておりますが、念の為拝見させたいただきますね」

 

 私が渡した紹介状を確認するお姉さん。

 それほどかからずに顔を上げて言う。

 

「ユリシアお嬢様とプルシアお嬢様の連名…はい、確かに。お二人からは、もし商会にいらっしゃる事があれば丁重にお迎えするようにと言付かっております」

 

 ふむ、話が早くて助かるよ。

 

「本日は二人とも本店におりますので呼んでまいりますね。少々お待ちください」

 

「あ!?約束もせずに来てるから、そこまでして頂かなくても…」

 

「いえ、カティア様がいらっしゃったら最優先で知らせるようにと言われておりましたので」

 

「何だかすみません…」

 

 

 そして、お姉さんの一人が、二人を呼びに階段を登って行った。

 流石にエスカレーターは無いよね。

 

 

 

「ん〜、カティアはもう少しああ言う扱いに慣れたほうが良いよね」

 

「根が小市民なもので…」

 

「謙虚なところはカティアさんの美点ですからね。でも、レティシアさんの言う事も最もですわ。もう少し鷹揚に構えていないと、かえって気を遣わせてしまいますからね」

 

「結構王女サマ扱いにも慣れてきてるとは思うんだけど…まだちょっとね」

 

 ケイトリンたちが常に護衛しているのも慣れたし、王城内での生活も大分慣れたとは思うよ。

 それに、謙虚さは忘れてはいけないと思うんだよね。

 何事もバランスが大事だろう。

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました」

 

 それほど待たずに、受付のお姉さんが二人を連れてきた。

 ブレゼンタムでお世話になったユリシアさんとプルシアさんの姉妹だ。

 

 

「カティア様、お久しぶりでございます。ようこそおいでくださいました。お友達の皆様もようこそ我がアズール商会へ」

 

「カティアちゃん、久し振り〜…って、こんな喋り方じゃマズイかな…?」

 

「お久しぶりです!お二人ともお元気そうで何よりです!喋り方は今のままで大丈夫ですよ。私の事は王女じゃなくて友人として接してもらえれば嬉しいです」

 

 ユリシアさんは元から丁寧な口調だから気にならないけど、プルシアさんが同じような口調になったら違和感がありまくりだよ。

 

「そお?ありがとう!でも、流石に『ちゃん』付けはやめとくわ。あ、レティちゃんもよく来てくれたわね」

 

 レティとプルシアさんは共同で魔道具開発を行ってるから面識があるんだよね。

 

「えへへ〜、ライバル商会の会長(かいちょー)が来ても良かったかな?」

 

「あははは、今更だね。父さんも有力商会との取引は喜んでたし、お互いにwin-winならオッケーでしょ」

 

「プルシアの言うとおりですね。モーリス商会さんとは仲良くやっていきたいと父も申しておりました。生憎と本日は不在ですが、後日挨拶をする機会もあるかと」

 

 

 

 そうして、旧交を温めながら皆のことも紹介する。

 アダレットとウィラーの王女がいる事に驚いていた。

 流石にそこまでの情報は押さえてないか。

 

 

 

 その後、二人の案内で店内を見て回ることになった。

 

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