【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第九幕 27 『野外実習〜山登り』

 さて、いよいよ野外実習の始まりである。

 

 実習と言っても、先生たちから直接何かを教わるわけではない。

 自分達で考えて計画を練って目標を目指すのだ。

 中々にスパルタなように聞こえるが、所々で先生や冒険者たちのフォローもあるので手厚いとも言える。

 

 

 私達1・2組合同3班の他にも、何組かは同じ地点からの出発だが、ルートが同じとは限らない。

 まあ、よく考えて計画すれば似たようなルートになるとは思うけど。

 

 先生や冒険者たちも分散して、先行する人たちと、最後尾からついていく人たちに分かれるとのこと。

 多分、私の護衛二人も少し距離をおいてついてくるのだと思う。

 

 

 

 

「よっしゃー!行くぜ、みんな!」

 

「お〜!!ほらっ、ステラも!」

 

「お、お〜…?」

 

 気合十分な掛け声を出すフリードと、それに応えるメリエルちゃん。

 …何かテンションが同じだな、この二人。

 そして、ステラは無理に合わせなくて良いよ。

 

 

「ま、道中長いから、ペース配分も考えて落ち着いて行きましょう」

 

 あの二人に任せておくと体力が続く限りガンガン進んでいきそうなので、一応釘を刺しておく。

 

 そんなふうにして、私達は山頂に向って出発するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャッ!?む、虫が…服に!」

 

「よし!俺が…」

 

「はい、ポイッと。もう大丈夫だよ、ステラ」

 

「あ、ありがとう…カティア」

 

 いえいえ。

 虫が苦手なんて、女の子っぽくてカワイイわ〜。

 私?

 平気だよ。

 …G以外は。

 

 

 

 

 

 

「む…繁みが深いですね…」

 

「よし!俺が…」

 

「あ、ユーグどいて。…よっ、ほっ、それっ」

 

 ザッ!バサッ!ザシュッ!

 

 手にしたナタで草木をなぎ払って通り道を作っていく。

 あまりこの道は人が通らないのかなぁ?

 

 

 

 

 

 

「この川…こ、怖いわ…」

 

「よし!おry…」

 

「ぴょいっ、と。はい、フローラさん。お手をどうぞ?」

 

「は、はい、カティアさん…(ぽっ…)」

 

 ちょっと急な流れの川だからね〜。

 橋も細いし、怖いよね。

 

 

 

 

 

 

 

「…どしたの?フリードは?疲れたの?」

 

 なんか、どんよりしてるんだけど。

 

「…カティアが男前すぎる件について」

 

「少し同情してしまいますね…」

 

「憐れな…」

 

「?…まあ、かなり早いペースで来たし、ここら辺で少し休憩しようか?」

 

 出発地点から2〜3時間は歩いただろうか?

 まだそれほど急な道ではなかったが、結構登って来たと思う。

 今いる場所はちょうど開けていて、木々の間から柔らかな日が射し込んでおり、休憩するには絶好のロケーションだろう。

 

 

「ほら、こっちの方…見晴らしも良いよ」

 

「うわ〜、ホントだぁ!」

 

「綺麗ですね…」

 

 まだ紅葉の季節には早いけど、少しずつ色付き始めた森林地帯を一望できる。

 空気が澄んでいるので、かなり遠方まで見渡せるよ。

 

「あ、あそこら辺…あれがアクサレナの街じゃない?」

 

 確かに、はるか遠くに大きな街並みらしきものが見える。

 距離的にも方角的にも、多分そうだろうね。

 

「すごいねぇ…あんな大きな街が、こんなにも小さく見えるなんて。世界は広いね!」

 

「そうだね…本当に、世界は広いよ」

 

 こうして高いところから遠くを見渡すと実感する。

 だが、ここから見える範囲ですら世界のほんの一部に過ぎないのだ。

 今はもう王都での暮らしに慣れてしまったが…少し前まで旅芸人として色々なところを巡っていたのが懐かしい。

 今の立場では難しいかもしれないけど、いつかまた…まだ見ぬ土地を巡ってみたいね。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、食料調達する時間も必要だし、そろそろ行こっか?」

 

 まだ日は高いけど、野営予定地まではまだ距離があるし、食料調達を考えると余裕があるわけではない。

 幸いにもウチのメンバーは極端に歩みが遅い人はいないし…当初懸念されていたメリエルちゃんも今のところ迷子にはなっていないので順調と言えば順調だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …などと油断していたが、甘かった。

 

「何でこのフォーメーションでいなくなるんですかね…?」

 

「マジかよ…」

 

「…面妖な」

 

「怖い…」

 

「はぁ…またですか…」

 

 あまりにも不可思議な現象にみな驚きをあらわにし、毎度巻き込まれているステラは天を仰ぎため息をつく。

 

 

「いや、のんびり構えてる場合じゃないよ。街中じゃないんだし、危険な目に会わないうちに早く探さないと…」

 

 

 …仕方ない。

 ホントは力を借りるのは極力避けたかったんだけど、背に腹は代えられない。

 

「ケイトリン!オズマ!近くにいる!?」

 

 と、問いかけてはいるが、うっすらと気配は感じるのでいるのは分かってる。

 すると、すぐに二人が現れる。

 

「はっ!ここに!…カティアさま、何かありましたか?」

 

「メリエルちゃんが逸れちゃったんだけど、気が付かなかった?」

 

「……えっ?あれ?ホントだ…なんで気付かなかったの……?」

 

 私に聞かれてはじめてその事実に気が付いたらしいケイトリンは、驚愕で目を見開く。

 

 ケイトリンすら欺くとは…やるね!メリエルちゃん!

 …って、違うっ!

 

「オズマも気が付かなかった?」

 

「…申し訳ありません。距離をとってはきたものの、目を離すことは無かったのですが…」

 

 こちらも解せない様子のオズマ。

 

 やっぱり転移か認識阻害の魔法でも使ってるんじゃないだろうか…

 

 

「とにかく捜さないと…でもバラバラだと危険だから…」

 

「あ、待ってくださいカティア様。[探知]に引っかかりました。こっちです」

 

 おお!

 流石はケイトリン、こう言うときはホントに頼りになるね!

 

 ケイトリンの言葉に従って、来た道を引き返す。

 

 

「…ここらへんですね」

 

 さほど時間もかからずに、[探知]に引っかかった場所に辿り着く。

 

「ここ?何もないけど…」

 

「う〜ん?おかしいですね、確かに……」

 

 両側に木々が生い茂るなんの変哲もない山道…この近辺には分岐もないし、一見して迷う要素は無いのだけど。

 

 すると、フリードが何かに気が付いたらしく、声を上げた。

 

「あ!?あそこ!洞窟があるっす!」

 

 と、彼が指差す先には…

 確かに、木々に遮られて分かりにくいが、山腹にポッカリと洞窟が口を開けているのが見えた。

 

 

「…まさか、この中に?」

 

「他にいそうな場所も無いですしね…」

 

「…魔物とかいるかもしれないし、戦闘が出来るメンバーで入りましょう。他の人はここで待ってて。ケイトリン、オズマ、皆をお願いね」

 

「あ、私も行きますよ。ここはオズマが見ててくれれば大丈夫でしょう」

 

「そう?じゃあお願いね。あとはガエル君と…」

 

「ハイハイ!俺っちも!」

 

「…まぁ、いいか」

 

 性格はチャラくてスケベだが、学園生の中じゃ実力は頭抜けているからね。

 

 

 こうして、メリエルちゃんを捜索するべく、私達は洞窟に入っていくのだった。

 

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