【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第九幕 29 『地底湖の主』

 メリエルちゃんを無事に見つけ出し、さあ帰ろうか…と思った矢先。

 

 巨大地底湖より突如として現れたのは…!

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ…大きいねぇ」

 

「おいおいおい…マジかよ…」

 

「…戦いの経験を積むには頃合いか」

 

「いやいや…出口はあっちなんだから。いちいち相手しなくていいでしょ…カティア様、離脱しましょう」

 

「う、うん、そうだね」

 

 呆然としながらも、ケイトリンの言葉に頷く。

 そうだね…わざわざ相手する必要はない。

 速やかに退却だ。

 

 

 地底湖から現れたのは、見上げるほどの巨体を持った…サンショウウオのようなモノ。

 これ程の巨体…通常の動物ではなく魔物だと思うのだが、私の知識の中には無い。

 見た目は正しくサンショウウオなのだが。

 

 

「みんな!退却するよ!」

 

「だよな!」

 

「りょ、りょうかいだよ!」

 

「…残念だが仕方ない」

 

 ガエル君は戦闘狂も大概にしなさい!

 

 

 即時撤退を決めて、私達は出口に向かって走り出す。

 

 

 しかし…!

 

 

 

 ぴょ〜んっ!

 ずずんっ!

 

「なっ!?」

 

「跳んだ!?」

 

 巨体に見合わぬ俊敏さと跳躍力を見せた魔物は、私達が向かっていた出口に通じる道を塞ぐように私達を跳び越えて立ちはだかった!

 

 

「…すんなりと逃してくれないみたいだね」

 

「完全に塞がれちゃいましたね…」

 

「しょうがない…みんな!こうなったら戦うしかないよ!戦闘準備!」

 

 覚悟を決めて戦闘態勢に入る。

 

 だが、この中でまともな実戦経験があるのは、私とケイトリンくらいか…

 

 ガエル君とフリードは前衛タイプだが、彼らを矢面に立たせるわけには行かないだろう。

 

 

「ケイトリン!前衛行ける!?」

 

「大丈夫です!これでも騎士の端くれですので!」

 

 と言いながら大剣(クレイモア)を手に前に進み出るケイトリン。

 

「じゃあ、前衛は私とケイトリン!ガエル君とフリードはメリエルちゃんの護衛優先しつつ、隙を見て遊撃!だけど絶対に無理はしないこと!」

 

「女のコに前衛任せるのは不甲斐ないけど…了解っす!」

 

「…分かった。従おう」

 

 よし。

 流石に自分たちが経験不足なのはちゃんと分かってるね。

 自身の力を過信しないで冷静に判断できるのは評価できる。

 

「メリエルちゃんは魔法で支援をお願い!攻撃魔法なら、たぶん冷気か雷撃がよく効くと思うよ!」

 

「わ、わかった!がんばるっ!」

 

 

「よし…やるよっ!」

 

「「「応っ!」」」

 

 そして、戦いの火蓋が切られた…!

 

 

 

 

 

 

 

 先ずは前衛でターゲットを取らなければ…!

 

「せやぁーーーっ!!」

 

「はあーーーっ!!」

 

 一気に間合いを詰めて、私とケイトリンが一撃を叩き込む!

 

 だが…!

 

 ぶにょんっ!

 ぽよんっ!

 

「なっ!?」

 

「刃が通らない!?」

 

 それぞれ左右の脚に切りつけたのだが、まるでゴムタイヤを棒で叩いたような感触がして、剣が弾かれてしまった!

 

 

 そこへ、巨大サンショウウオの反撃!

 長い尻尾が鞭のようにしなり、私達のいる場所を高速で薙ぎ払う!

 

「ちっ!」

 

「おっと!」

 

 私は後方に飛び退り、ケイトリンは身を屈めてその攻撃を回避する。

 

 

「ケイトリン!斬撃は効かない!一点集中!」

 

「了解です!」

 

 斬撃が効かないなら、力が一点に集中する刺突での攻撃だ。

 

 

「[雷槍]!」

 

 そこへ、メリエルちゃんの雷撃魔法が放たれる!

 

 悲鳴を上げることはないが、突き刺さった雷撃が巨体をかけ巡り、全身を震わせた。

 

 効いている…とは思うが、致命傷には至っていないようだ。

 

 反撃で振るわれた前脚の一撃を紙一重で避けて渾身の刺突を脚の付け根に突き入れるが、僅かに刺さるだけだった。

 

 ケイトリンも脇腹に向かって剣を突刺そうとするが…

 

「くっ!ダメかっ!」

 

 

 見た目ブヨブヨの癖に、硬質のゴムのような皮膚はやたらと防御力がある。

 

 ここは、魔法主体で行くしかないか。

 だが、これだけの巨体だと生半可な攻撃魔法じゃダメージを与えにくい。

 私達前衛で時間を稼いで、上級以上の魔法を撃ってもらわないと…!

 

 

「メリエルちゃん!時間がかかっても良いから、もっと強い魔法撃てる!?」

 

「わ、わかった!任せて!」

 

 私の言葉で、即座に詠唱を開始するメリエルちゃん。

 

 …この詠唱は!

 うん…それなら、相当なダメージを与えられるだろうね。

 

 

 と、その時!

 

 びよ〜んっ!

 

 再び大きく跳躍した魔物は私達を跳び越えてメリエルちゃんに攻撃しようとする!

 

「しまった!」

 

「マズい!」

 

 詠唱中で身動きできないメリエルちゃんに向かって、強烈な一撃が見舞われようたした正にその時…!

 

「させるかよっ!合わせろっ!ガエル!」

 

 フリードが刺突剣(レイピア)護手短剣(マンゴーシュ)をクロスさせて尻尾の攻撃を受け止める!

 

 だが、巨体から振るわれる一撃はそれだけで止められるはずもなく、吹き飛ばされ……る前に、ガエル君の一撃が更に叩き込まれた!

 

「うおーーーーっ!!!!」

 

 本来の大剣ではないが、学園一とも言われるその膂力によって振るわれた剣は、フリードの防御で勢いが僅かにでも削がれた事によって、今度こそ攻撃を止めることに成功した!

 

 

「ナイスだよ!二人とも!」

 

「大きいの撃つよ!下がって!!」

 

 ちょうどそのタイミングで、メリエルちゃんの詠唱が完成する!

 

「いっけぇ〜っ![滅雷・散]!!」

 

 無数のレーザー光のような雷撃が、四方八方から魔物に襲いかかった!

 

 ズガァーーーンッッ!!

 

 一瞬のうちにその全てが着弾し、爆音を轟かせながら魔物に無数の穴を穿つ!

 更には全身を駆け巡った強烈な電撃がその身を焼き焦がす!

 

 

 圧倒的な攻撃の前に巨体が揺らぎ…

 

 そして。

 

 

 ズズーン……!

 

 

 遂には魔物は地面に沈むのだった。

 

 

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