【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第九幕 32 『野外実習〜再開』

 地底湖を後にした私達は、やって来た洞窟を辿って地上へと戻ってきた。

 

 

「カティアさん!それに、メリエルちゃんも…無事で良かったわ」

 

「うん、ごめんねステラ…みんなも」

 

「お待たせみんな。どうにか見つけられたよ。……それ以外にも色々あったんだけど」

 

「どうしたんです?何だかお疲れのようですが…随分時間もかかったようですし。もう少ししたら、信号弾の魔道具で先生たちを呼ぼうかと思ってましたよ」

 

 信号弾の魔道具は各班に一つずつ持たされており、自分たちでは対処できないような異常事態があった場合に使って、先生たちに知らせるようになっている。

 

「それが…」

 

 ユーグの質問を受けて、私は洞窟内での出来事を説明する。

 

 洞窟の先にあった壮大な鍾乳洞と地底湖のこと。

 そこでメリエルちゃんを見つけた事。

 そして、地脈の守護者であるウパルパ様との戦いや、貴重な話を聞けたことを…

 

 

 

 

 

 

 

「……この洞窟が、いわば山岳信仰の聖域そのものだったと言う事ですか。大発見じゃないですか」

 

「だよねぇ〜」

 

「国…父様たちには当然報告はするとして、先生たちにも一応伝えておかないとね。それで、ウパルパ様からこれを貰ったんだ」

 

 と、ポーチから取り出して待機組に見せてあげる。

 

「宝石…?」

 

「キレイ……」

 

「これ、は…まさか…?」

 

 宝石の放つ美しい輝きに魅入られたように女性陣は目を輝かせ、ユーグはそれが何なのか察したように驚きの表情を見せる。

 

「魔素結晶だって」

 

「「ええ〜っ!!??」」

 

「やはり……しかし何という大きさだ…」

 

 驚愕する面々。

 そりゃ驚くよね。

 野外実習でお宝ゲットって何なの?って。

 

「一応ね、イスパル王国の物として受け取りました。なので、皆も了承してもらえるかな?」

 

 コクコク、と皆無言で頷く。

 

 

 

「…っと、結構時間を取られちゃったし、先を急がないとね」

 

 まだ日は高いが、予定よりも遅れてしまっている。

 食料調達の時間を考えると、もう余裕はないのでここからは休憩無しで野営予定地まで行かなければ間に合わないだろう。

 

 

「じゃあみんな、行こう!」

 

 そうして、私達は登山を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少しペースを上げて暫く進む。

 野営予定地まではもう少しあるが、日も傾き始めている。

 

 もうそれほど食料調達に時間が取れないだろうと思い、ここに来る途中に食材に出来そうな山菜や果物を採取しながら歩いてきたが…

 

「やっぱり現役冒険者のカティアがいると頼りにあるよね!」

 

「ふふ、ありがと。採取依頼は結構経験してるからね。だけど、人数的にはもう少し欲しいかな…夜になる前に確保できると良いんだけど」

 

「カティアさんが採取するのを見てたから、俺らも多少は見分けが付くと思うし…皆で手分けすりゃ何とかなるっしょ」

 

 うんうん、前向きなのは良い事だね。

 コイツは軽薄で女子から冷たい目で見られることも多いけど、協調性はあるし明るいからうちのクラスのムードメーカーになっている。

 まあ、残念ながら異性としてはノーサンキューな訳だが。

 

 

「そう言えばステラも詳しいよね?」

 

 道中、私が知らなかった食べられる野草を教えてくれたりしたのだ。

 

「ええ、錬金術の素材とか調べてるうちに……薬草とかを取り扱うことも多いんだけど、食べられるものとかも結構あるのよ」

 

「へえ〜…」

 

 そう言えば某ゲームでも錬金術で料理が出来たりするね。

 

 

 

「ん〜…あとはお肉も欲しいところだねぇ…じゃなければ魚とか」

 

 山菜と果物だけじゃ物足りないよね。

 皆食べたい盛りだろうし。

 

「確か…野営予定地の近くに川が流れてたはずだから、魚は取れるんじゃないですか?」

 

「そうだね…釣り竿は無いけど、簗でも作ろうか」

 

「…ほんと何でもアリだよな。サバイバル王女様」

 

「まあ、こっちの方が年季入ってるし」

 

 あとは前世の【俺】の経験もね。

 

 

「他の班はもっと苦労してるんだろうな」

 

「それはそうだろう。山登りはともかく、食料調達は結構苦労すると思うぞ」

 

「事前に下調べしても、実地ではなかなかね……まあ、ここは水の確保は難しくないし、一日くらい食べなくても死にはしないよ。下調べもしないで毒草とかに手を出すのは論外だね」

 

 

 

 さらに暫く登山道を進むと、地図を見ながら黙って歩いていたユーグが話しかけてくる。

 

「カティアさん、今さっき過ぎた沢が多分ここだと思うのですが…」

 

「どれどれ…ああ、確かにここだと思うよ。そうすると、あともう少しで野営地に着くね」

 

「お、ようやくか!」

 

「山小屋が使えると良いのですが…」

 

「私はキャンプの方が楽しそうだな〜」

 

「到着したら食料調達班と野営準備班に分かれて作業だからね」

 

「「「は〜い!」」」

 

 

 少々寄り道に時間がかかってしまったが、大分取り戻すことが出来たようだ。

 

 さて、実習はまだまだこれからが本番だ。

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