【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第九幕 33 『野外実習〜野営準備』

 

「ふぅ…到着したね」

 

「とうちゃ〜く!」

 

 やや予定よりも遅くなったが、本日の野営地に到着した。

 ここには一応山小屋もあったはずだけど…

 

「ん〜、残念。山小屋はもう先客がもういるみたいだね」

 

 山小屋が使えればテントの設営とかは不要になるんだけど。

 既に山小屋の周りにはいくつかのテントが設営されているので、すでに山小屋は使われているのだろう。

 人数に限りがあるし、早いもの勝ちだからしょうがないね。

 

「でも、私はテントの方が楽しみだったよ!…って、私が迷子になったせいで遅くなっちゃったんだけど…」

 

「ふふふ、気にしないでいいよ、メリエルちゃん。実は私もテントは楽しみだったし」

 

「そうよ、メリエルちゃん。あなたが迷子になることなんて想定内の事なんだから…気にしないでいいのよ?」

 

「うぅ…ステラ、ちょっと怒ってない?」

 

「ふふふ、冗談よ。ホントに気にしなくていいわ。私もキャンプは初めてだから楽しみよ」

 

「えへへ〜…」

 

 流石に気にしていたらしいメリエルちゃんだけど、悪気があったわけじゃないし、うちの班のメンバーは誰も気にしていない。

 

 

 

 

 

 

「さて。日の入りまでそれほど時間がある訳じゃないから…二手に分かれて、ちゃっちゃと野営準備と食料調達をやっちゃいましょう!」

 

「おー!」

 

「よっしゃ!テント設営は俺っちに任せろ!」

 

「私は料理の準備を進めてますね」

 

 

 と言う事で二手に分かれてそれぞれ準備を進める。

 

 野営準備チームは……テント設営とか竈を作ったりとか、力仕事が得意そうなガエル君やフリードを配置。

 メリエルちゃんは下手に動くとまた迷子になりかねないので二人のサポート。

 そして料理の準備…道中で採取してきた山菜などの下拵えをフローラさんにお願いした。

 彼女は子爵家令嬢とのことだけど、料理は結構できるとの事だ。

 

 

 

 食料調達チームは……この班の中では採取の経験が一番豊富な私と素材の知識が豊富なステラで山菜や木の実、果物などの採取。

 そしてユーグとクリフ君は……

 

「はい、コレ」

 

「……随分準備が良いんですね」

 

「ホントですね…」

 

「まあ、こんな事もあろうかと。確かあっちの方に川が…小さな池みたいなところもあったと思うから、そこに魚がいるんじゃないかな?」

 

 二人に手渡したのは、拡張鞄に入れてきた銛だ。

 あとは網とか、とった魚を入れる魚籠(びく)の様なものなど。

 

「流石に簗を築く時間は無いからね。原始的だけど、手っ取り早いでしょ。期待してるよ!」

 

「さらっとプレッシャーかけますね…」

 

「が、頑張ります!」

 

「取り敢えず人数分…8匹ね!よろしくっ!」

 

「「……」」

 

 さらにプレッシャーをかけておいてから、私とステラは森に分け入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!カティア、あそこに山葡萄があるよ。ちょっと枝が高いかな…?」

 

「ああ、あれくらいなら…よっ!ほっ!はっ!」

 

 ステラが見つけた山葡萄は確かにかなり高い位置に生えているが、木々が密集して枝が多く張り出しているので、それを伝って登っていけばいけば問題ない。

 

「じゃあ、上からいくつか落とすからキャッチして」

 

「わかったわ!」

 

 木に登った私は手の届く範囲の山葡萄をもぎ取って、ステラが構えている籠に向かって落とす。

 他の食材もあるし、食後のデザート程度の量があれば十分だろう。

 

「よし、これくらいで良いよね……ほっ!と」

 

 もう十分と判断して枝から跳び降りる。

 

 

 

「カティア、ありがとう。ほら見て、こんなに実って…凄く美味しそうだわ」

 

「どれどれ、ちょっと味見を…」

 

 ぷちっ、と一粒取って口に入れると、爽やかな酸味とほのかな甘さが絶妙にバランスした瑞々しい果汁が口の中に溢れ出る。

 

「ん〜、美味しい!」

 

「本当ね…道中も思ったけど、実り豊かなところよね」

 

「実りの秋って、時期的なものもあると思うけど…もしかしたら地脈が通ってることが好影響を与えてるのかも」

 

「それはあるかも知れないわね……じゃあ、他のものも探しましょう」

 

「うん、どんどん行きましょ〜!」

 

 そうして、私とステラは暫く森の中で秋の実りの採取に精を出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、これくらいで良いかしら?」

 

「十分だと思うよ。じゃあ戻ろうか……の前に、魚の方はどうかな…?」

 

 野営地に戻る前に池に寄って様子を見ていくことに。

 森の中、通ってきたところを途中まで戻ってから、水場のあるはずの方に向かう。

 

 やがて木々の切れ間から、太陽の光反射して輝く水面が見えてきた。

 

 地図で確認したときは、それ程大きなものとは思わなかったが…なかなかどうして、結構な広さがあって、池と言うよりはちょっとした湖といっても良いくらいだ。

 

「へぇ…こんなに大きかったんだ。なかなか良いロケーションじゃない」

 

「キレイね…ここでキャンプしても楽しそう」

 

「そうだね。でも、ぱっと見は開けた平地が無さそうだから、ちょっと厳しいかな。…さて、二人は……あ、あそこにいた」

 

 どうやら浅瀬になっているところがあるらしく、膝まで浸かりながら銛を振るっているようだ。

 取り敢えず近づいて、岸から声をかける。

 

 

 

「どう、二人とも?何かいた?」

 

「ああ、カティアさん…そちらはどうでしたか?」

 

「うん、色々採れたよ。なかなか豪勢な食卓が期待できるよ」

 

「それは何よりです。こちらは……あそこに成果がありますので見てもらった方が早いですね」

 

 と言って、指差した先にあるのは、大きな石を積んで仕切られた…即席の生簀のようになっているところ。

 そこを覗き込んでみると…

 

「わ!?凄い!!」

 

「凄く大きな魚ね……こんなのが取れたの?」

 

 そこで泳いでいたのは50センチほどもある鮭や鱒に似た魚が3匹。

 

「どうです?人数分とは行かないですが…その大きさなら十分でしょう?」

 

「うん、これならもう十分だよ!それにしても、これどうやって捕まえたの?見たところ傷もないみたいだから、銛じゃないよね?」

 

「微弱な雷撃魔法を打ち込んで一時的に気絶させたんですよ。あとはクリフ君が手掴みで」

 

「頑張りました!……殆ど何もしてませんけど」

 

 お〜、流石は級長。

 頭脳派だ。

 これで食卓がさらに賑やかになるよ。

 

 

「ですが…魚なんて誰が捌けるんです?」

 

「あ、私出来るから大丈夫!」

 

「…本当に何でも出来ますね」

 

 【私】も【俺】も、どちらも魚は捌けるのだ。

 

 

「よし、成果は上々!戻って料理を始めましょう!」

 

 十分な食材が確保できた私達は、野営地へと戻る。

 気分は凱旋って感じだね。

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