【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十幕 5 『賢者の塔』

 

「カティアちゃんは〜、何か見たいものはある〜?」

 

「ん〜…私は学院の事は殆ど知らないから…それよりも、姉さんや母様の思い出の場所にいったら良いと思うけど」

 

 普通は関係者以外は入れないから、見どころとかもよく分からない。

 だったら二人の行きたいところを案内してもらうのが一番いいかな。

 

 

「学院の見どころなら…あそこが良いかもしれないわね」

 

「賢者の塔〜?」

 

 

 あ、それは…

 たしか、『ゲーム』にも出たきたな。

 いかにもそれっぽい名前だしね。

 

 って言うか、最近はあまり気にしなくなっていたけど、たま〜に前世のゲームを思い出す場所があるね。

 現実だと『学院』には関係者以外は気軽に入れないけど、ゲームでは普通に出入り自由だった。

 ただ、件の『賢者の塔』って特定の条件を満たさないと入れなかったはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私達は職員の方に案内されて賢者の塔までやって来た。

 母様や姉さんは当然場所は分かっているが、卒業生とは言え部外者が彷徨くのも躊躇われるので案内人は必要だろう。

 ちょっと申し訳ない気もしたが、今回のように訪問客を案内することが多いので慣れている…とのこと。

 

 『賢者の塔』は、学院の敷地の中心にある。

 その名の通り、まさしく『塔』だ。

 高さは…どれくらいかなぁ?

 見た感じ、2〜30メートル…およそ10階建てのビルくらいはあるかと思うけど。

 この世界では、かなりの高層建築になる。

 

 

「ふわ〜…高いねぇママ〜」

 

「すごい…お母さん、ここには何があるの?」

 

 ちびっ子二人が下から塔を見上げて感嘆の声を上げる。

 

 

「ここはね〜、この学院の創始者と言われている賢者様が〜、住んでらした塔なのよ〜」

 

「あくまでも伝説らしいのだけどね」

 

「賢者様かぁ…」

 

「何でも知ってる人ってこと?」

 

「何でも…ってことは無いだろうけど、色んな事を知ってたんでしょうね」

 

 その賢者様のもとに弟子が集まって…少しずつ教えを乞う人々が増えていき、学問を修めようと志す人たちの聖地になったのだと言う。

 現在の『学院』の形になってからもシンボルであり続け今に至る。

 

 …と言うのが母様の説明だった。

 

 

「ここにはいくつもの秘密が隠されていると言われていてね…この塔自体が研究対象になってるのよ」

 

「うわ〜…わくわくするの!」

 

 ミーティアが目を輝かせて言う。

 秘密基地っぽくて、子供は好きそうだよね〜。

 

 

 それにしても、『秘密』ね…

 もしかしたら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 塔は上に向うに従い細くなっているので、基部である1階は外から見るとそこそこ広い空間がある様に思える。

 実際、中に入ってみるとその通りなのだが、中心部には塔を支える円柱…と言うよりは太さ的には円筒型と言うべきか。

 そこに張り付くように上階へと続く螺旋状の階段が設けらている。

 

 

「さて、ここからが大変ね…」

 

「あら〜、運動不足解消に〜ちょうど良いんじゃない〜?」

 

「ふふ、そうかもね。……カティア?どうしたの?」

 

「いえ、ちょっと確認したいことが」

 

 母様の問にそう答えてから、私は円筒状の壁面の前に立つ。

 そして記憶を頼りに、ある言葉を紡ぐ。

 

「…『天に至る道をここに開け』」

 

 私がその言葉(キーワード)を発した途端、なんの変哲もない石壁に、扉の形になるように線が走った。

 そして…

 

 ガコンッ!

 

 何かが作動するような音がして、扉がスライドしていく。

 

「ひらいたのっ!」

 

「お姉ちゃんが開けたの…?」

 

「……うそ〜?」

 

「か、カティア……あなた一体何をしたの?」

 

 母様が珍しく狼狽えてるね。

 まあ、無理もないか。

 

「いえ、昔本で読んだシチュエーションとそっくりだったので、冗談で試してみたのですが…まさか本当に開くとは思いもしませんでした」

 

 しれっと、そう誤魔化しておく。

 『たまたま開いちゃいました、テヘっ!』って感じ。

 

 母様はイマイチ納得しきれない様子だけど、否定材料もないのでそれ以上追求できない。

 そして姉さんは…

 

 

「魔力走査で微弱な反応があったから〜、何かしらの魔法装置があるとは言われてたけど〜。貴重な史跡でもあるし〜、なかなか踏み込んだ調査は出来なかったのよね〜。そっか〜、キーワードが必要だったのね〜」

 

 仕掛けの方に夢中である。

 うむ、狙い通り。

 

「では〜、早速中に入ってみましょう〜」

 

「ちょ、ちょっとアネッサ!流石に勝手に入るのはまずいでしょう!?」

 

「え〜?良いじゃない〜、そんなかたいこと言わなくても〜。ねぇ〜?」

 

 姉さんは、ここまで案内してくれた職員に話を振る。

 

「え?いえ、その……すみません、学長に報告してまいりますのでお待ち下さい!」

 

 と、彼はグレイル様に報告するべく足早に立ち去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

「……むふふ〜。今のうちよね〜」

 

「だ、駄目よ、勝手に…」

 

「お母さん!」

 

「いいじゃない〜、あなた達だって興味はあるでしょ〜?」

 

「それは、まぁ……」

 

 母様が押されそうになってるね。

 だけど、今回は私も中を見てみたいので姉さんを止めるようなことは……

 

「いざとなれば〜、学長を脅し…」

 

「ストーップ!!リィナの前だよ!?」

 

 止めた。

 黒アネッサは娘には見せちゃだめでしょ!!

 

 

「…お姉ちゃん、大丈夫。知ってるから」

 

 そ、そうなんだ……

 大人になったね、リィナ…

 

 

 

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