【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十幕 6 『賢者の塔の秘密』

 

「これは…なんと言うことじゃ!」

 

 職員に呼ばれて急ぎやってきたグレイル学長が、隠された扉を見て驚愕に目を剥く。

 

「あの…勝手に開けてしまって申し訳ありません」

 

 勝手に学院の施設を動かしてしまったので、一応謝っておく。

 

「いやいや、長年の謎が解けたんじゃからのぅ。感謝こそすれ責めることなど…」

 

「そうよ〜、大発見だもの〜。お手柄よ〜カティアちゃん〜」

 

 …ふむ、大発見の衝撃で私に対する追求は無さそうだね。

 いや、後であるかもしれないけど。

 そうなったらさっきみたいに誤魔化すつもりだ。

 前世の記憶とかゲームと同じとか、想像の埒外だろうから真実にたどり着くことも無いだろう。

 

 それよりも…

 

 

「あの〜、本来なら調査は皆さんが行うものだと思うのですけど……私も中を見せてもらってもよろしいですか?」

 

「むぅ……本来であれば、如何に各国の王族の方と言えど、調査が終わっていない箇所への立ち入りはご遠慮頂くのじゃが…」

 

「何よ〜学長のけち〜。可愛い教え子もいるのよ〜」

 

「ええいっ!最後まで話を聞かんか!…まったく、誰が『可愛い教え子』じゃ。……まぁ、今回は儂の権限で特別に許可いたしましょうぞ」

 

「偉そう〜」

 

「お、お母さん!」

 

「だぁ〜!!お前は黙っとれ!!」

 

 面白い師弟だなぁ……

 姉さんがいつにもましてはしゃいでるよ。

 リィナの前なんだから程々にね…

 もはや既に反面教師にしてるフシがあるよ?

 

 前にリーゼさんが暴走した時は止める側だったのになぁ…

 

 

 

「…コホン。カティア様は、どうも特別な星の下に生まれたお方のようじゃからな。今回のことも、賢者様のお導きのように思えるのじゃよ」

 

 うん。

 皆からはトラブルメーカーと思われてる気がするよ。

 

 

「そんなことどうでもいいから〜早く中に入りましょうよ〜」

 

「…まったく、お前というやつは」

 

「…お母さんがスミマセン」

 

「アネッサお姉ちゃん、凄く楽しそうなの」

 

「はぁ…もう、ああなると止められないわね」

 

 皆、姉さんのはしゃぎっぷりにやや引き気味であるが、建物の謎には皆興味はあるのでそれ以上は突っ込まずに中に入っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……何もない?」

 

 中に入ると、円形の部屋。

 私達全員が入ると、やや手狭な感じだ。

 

 

「ここにボタンみたいな物がありますよ」

 

 部屋に入って入口を振り返ると脇に何らかのボタンがあった。

 これも記憶の通りだ。

 

 

「あ、ホントだわ〜。……はい、ポチっとな〜」

 

「あ!?こら!勝手に!」

 

 暴走気味の姉さんが断りもなくボタンを押してしまう。

 

 すると、入口の扉が閉まり…ガクンっ!という軽い衝撃の後、部屋全体が上昇する感じがした。

 

 

「部屋が!?」

 

「うごいてるの!」

 

 フィーーン……と言う音とともにゆっくりと上昇する部屋。

 要するに、これはエレベーターだ。

 

 

 

 

 

 

 

 そうして暫く上昇したあと、ガコン…と言う音で動きが止まり、再び入口の扉が開いた。

 

 

 私達は誰も言葉を発することもなく、緊張の面持ちでエレベーターの外に出ていく。

 

 

 

 

「これ…は…」

 

「書斎とか、執務室のような雰囲気ね…」

 

「賢者様の隠し部屋よ〜!」

 

 母様の言う通り、執務机と…壁際には多くの本棚が並ぶ書斎のような部屋。

 これも記憶の通りだ。

 

 

「ふぅむ…見たことのない部屋。どうなっておるのじゃろうのぉ…?」

 

「塔の外観的には〜、既知の内部構造を考えると〜、これ程の部屋が存在する余地は無かったわよね〜?」

 

「その通りじゃな。おそらくは、何らかの認識阻害…あるいは空間干渉か…」

 

 そうなんだ…

 階段では登ってこれない部屋なのは知ってたけど。

 ゲームでは外観との矛盾なんて分からないからなぁ…

 

 

 部屋の中にはパッと見誰もいない。

 ゲームではここで件の賢者様からダンジョン深部へと潜るためのキーアイテムも貰えるのだが。

 現実には何百年も前の人物だし…

 

 

 そう、思っていた。

 

 

 

 

「あら〜、これは〜?」

 

「これっ、また勝手に…」

 

 どうやら姉さんが何かを見つけたようだ。

 机に置いてある水晶玉のようなもの。

 

 何気なくそれに触れると…

 

 

 パアッ!

 

 突如として水晶玉が眩い光を放つ!

 

「きゃっ!?何〜!?」

 

「眩しい!」

 

 

 だが、目を焼くような眩い光は一瞬のうちに収まる。

 

「一体何が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…私の秘密の部屋を訪れた者よ。君は…あるいは君たちは何者だろうか?』

 

 水晶の光が収まったあと…視界が回復すると、いつの間にか部屋の中には一人の男性が立っていた。

 

 私達の誰もが突然の展開に驚く。

 

 だけど…

 きっと、私の受けた衝撃はそれ以上だったに違いない。

 

 

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