【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第二幕 9 『古代遺跡 第3階層』

 第3階層にやって来た。

 【俺】の記憶が正しければ、ここは第2階層と似たような構造のはずだ。

 

「さて、第2階層と似たような感じだな。同じように見て回れば良いか」

 

 まあ、虱潰しに確認してくしかないからね。

 

 

 

 

 そうして第2階層と同じように部屋を一つ一つ確認していくが…そのうちの一つでそれを見つけた。

 

「きゃっ!?あ、あれは…骸骨?」

 

「スケルトン…では無いか?」

 

「ええ、アンデッドのオーラは感じませんね」

 

 第2階層の部屋には骸骨のような人の痕跡は無かったが、この人はなぜここで死んだのだろうか?

 

 骨は床に散らばっているが、椅子の上にも見られるので元々は座ったまま亡くなったように見える。

 

「机の上に何か手紙のようなものがあるな」

 

 確かに、未だ原型を留めている机の上に、今にも風化しそうであるが辛うじてその形を保っている紙片が置いてある。

 

「これ、触らないほうが良いですよね。触ったら崩れそうだし…」

 

「そうですわね、調査隊の皆さんにお任せしましょう。でも、触らなくも文面は読み取れそうですわね。神代語のようですわ。……友……神々……旅……所々単語は拾えますが、私の知識程度では読めませんわね」

 

「…ちょっと見せていただけますか?…『友人より手紙が来た。ついに神々は地上を離れ旅立つことになったらしい。最後まで悩んでらしたエメリール様も決断をなされたようだ。それも致し方ないことだろう。我々は余りにも神々の力に頼りすぎたのだ。これから我々人間たちは自分の力で歩んでいかなくてはならない。神の威光を失ってしまったこの街もお終いだろう。既に殆どの住民は近隣のミュルグレイヒに移転してしまった。この街は魔境にほど近いからそれが賢明だろう。だが、私は病に侵されどうせ長くない命だ。せめて神代の終わりを、神の依代が眠るこの地で迎えようと思う』…だそうです。遺言みたいな感じですね」

 

「「「……」」」

 

 し〜ん?

 

「カ、カティアさん、神代語が読めるんですの?そんなにスラスラと…」

 

「ああ…そう言えばオキュパロス様に知識を刷り込まれたって言ってたか…」

 

「…カティアさんがオキュパロス様にお会いしたことは私もお父様から聞いてはおりましたが…そんな知識まで与えられるとは…」

 

 そう。

 エメリール様の子守歌を教えてもらうときに一緒に神代語の知識も刷り込まれました。

 なので神代語で読み書き会話が出来ます。

 

「そ、それよりも…何かすごい話じゃないですか!神代の終わりに生きた人の手記なんて、大発見ですよ!」

 

「そうですわね。それに、ミュルグレイヒというのはブレゼンタムの遥か昔の呼び名ですわ。街の来歴を伝える重要な証拠にもなりえます」

 

「神の依代、とは一体何でしょうか?『この地』がこの遺跡のことなら、ここに眠っているって事なんでしょうかね?」

 

 そう。

 それが気になった。

 ゲームの時にはそのようなものは無かったはずだ。

 もしかしたら、後々に何らかのイベントが起きたのかもしれないが…

 

「このまま探索を進めれば何か見つかるかもしれんな。だが、それは調査隊の仕事だ。興味は尽きないが、俺達は俺達の仕事を完遂させよう」

 

「そうですね。でも気になるので調査結果が分かりましたら教えて下さいね、お嬢様」

 

「ええ、良いですよ。それにしても、この遺跡は思ったよりもかなり学術的価値が高そうですわね。調査隊の皆さんもやる気が出ると思いますわ」

 

「ああ…私も調査に加わりたい…」

 

 リーゼさんがそう呟く。

 

「もし、本気で調査隊に加わりたいのであれば、口添えいたしますわよ?」

 

「むむ…それも魅力的…悩みますね…」

 

「ああ、そう言うのは後で悩んでくれ…そろそろ行くぞ」

 

 

 大発見はあったが、その調査は専門家にお任せという事で、私達は再び魔物駆除のための探索を再開するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大体半分くらい見て回ったところで、これまで出現した魔物は第2階層と大きく変わらない陣容だった。

 

 しかし、代わり映えしない相手ばかりで少しばかり気が緩んでいた頃に、そいつに遭遇した。

 

「しっ!…そこの右の角を曲がったところに何かいるッス。ちょっと気配がこれまでと違うッスね」

 

 ロウエンさんが警告を発するが、私もすでに察知している。

 

 この気配の強さから察するに、これまでの相手とは一線を画す相手のようだ。

 

 やや緩んでいた気持ちが一気に引き締まる。

 

 そして、角からぬっ、と現れたのは…

 

「ジャイアント!?」

 

 それは身の丈3メートルはあろうかという巨人だった。

 

 この遺跡の天井はかなり高いはずなのだが、巨人の頭はその天井にもう少しで届いてしまうくらいだ。

 

「え?いったい何処から…?」

 

 この遺跡の入口は最近まで瓦礫で塞がれていたはずだ。

 これほどの巨体が一体どこからどうやって遺跡内部に侵入したのか…?

 そもそも、この近辺に現れるような魔物でもない。

 

「考えるのは後だ!今はコイツを何とかするのが先決だぞ!」

 

 そうだ。

 今までの相手とは違い、コイツの脅威度はBランク相当だ。

 私達なら十分対処可能だが、他に気を取られていられるほど余裕があるわけではない。

 

「これほどの巨体だと、俺一人でターゲット取るのは厳しい!カティア、ルシェーラも前衛で頼む!」

 

「「はいっ!!」」

 

「オイラはリーゼちゃんの守りと、飛び道具で牽制するッス!」

 

 ロウエンさんはいつの間にか短剣から弓矢に持ち替えてる。

 

「デバフかけます![砕牙]!」

 

 リーゼさんが初撃で弱体化の魔法を放つ!

 [砕牙]は対象の筋力を下げて攻撃力などを落とす魔法だ。

 

「『障壁』!」

 

 カイトさんは結界の腕輪で[障壁]を展開したようだ。

 

 それじゃあ私も。

 

「『霧に惑え』!」

 

 ミラージュケープの[霞鏡]を発動させる。

 この魔法で生み出す霧は被術者以外の視界は遮らないのでパーティー戦でも使いやすい。

 

「うがぁ!?」

 

 ぶんっ!!

 

 霧に囚われた巨人は困惑の声を上げて、幻影に向かって拳を振るうが、当然それは空を切る。

 

 

「それ!ッス」

 

 ひゅんっ、とすっ!

 

「ぐぎゃあっ!!」

 

 空振りして動きが止まったところを狙って、ロウエンさんが放った矢が巨人の目に突き刺さった!

 

「はあーっ!!」

 

 すかさず、ルシェーラ様が怯んだ巨人の脚にハルバードを叩き込む!

 

 ガツッ!!

 

「があっ!?」

 

「くうっ!硬いですわ!」

 

 ロックリザードの強固な守りすら軽々と突破したハルバードの一撃でも、巨人に対しては決め手にならないようだ。

 

「ぐごぉっーー!!!」

 

 ぶんっ!ぶぉんっ!どごぉっ!!!

 

 怒り狂った巨人は幻影に惑わされながらも、腕をめちゃくちゃに振り回して攻撃してくる!

 

「おっと!こうめちゃくちゃに振り回されると狙いが定めにくいな…せいっ!!」

 

 そうは言いながらも、カイトは振り回された腕をかいくぐって脇腹に一撃を叩き込む!

 

 ガキィッ!!

 

「くっ!やはり硬いな!」

 

 ルシェーラ様の攻撃と同様、やはり決定的なダメージを与えるには至らない。

 

「…[灼天]!」

 

 カイトさんが離れた直後にリーゼさんの火炎系上級攻撃魔法が放たれる!

 ぶわっ、と巻き起こる灼熱の炎が渦巻いて巨人に炸裂する!

 

「があああっーー!!」

 

 顔面を直撃した炎はすぐに消え去ることなく、巨人は熱と呼吸困難によってもがき苦しんでいる。

 

 そして、巨人の頭が下がった。

 よし!今だっ!

 

「せやぁーーっ!!」

 

 私は、巨人の頭が下がったところでその首をめがけて強烈な突きを放った!

 

 ズシュッ!!

 

 私の放った突きにより、剣は頚椎をも貫いて首の後まで貫通した。

 

 そして、突き刺した剣を抜きながら、巨人の胸板を蹴って後方に離脱する。

 

 ブシューーッ!

 

 巨人は首から大量の血飛沫を上げながら、ゆっくりと後に倒れて行く。

 

 ズズンッ!

 

 重たい音を立てて、ついに巨人は地面に倒れ伏した。

 

 

 

 

 

「ふう…何とか倒しましたね」

 

「流石はBランクと言ったところだな。なかなか骨だったぞ」

 

「本当ですわ。私のハルバードであの程度しかダメージが与えられないとは…カティアさんの突きは見事でしたわね」

 

「お二人の攻撃を見て、斬撃よりは効果的と思いまして。それに、直前にリーゼさんの攻撃魔法で頭が下がったので狙うことができました」

 

「お役に立てて良かったです。それにしても…こんな魔物が出るなんて解せませんね」

 

「そうッス。この遺跡の入口は塞がれてたはずッスからね。これまで遭遇したやつらは、隙間から入り込んだり、この中で成長したり繁殖したりと考えられるんスけど…ジャイアントはおかしいッス」

 

「うん。それにこの地域に出るような魔物じゃないはずだよ。そうすると考えられるのは…あ、ほら!」

 

 私達が話をしていると、倒れていた巨人の死体が徐々に薄れていって…ついには消え去ってしまった。

 

「…ダンジョン化か」

 

「…そうみたいです。こうなると虱潰しに駆除していっても意味がないですね…」

 

 ダンジョンとは、こうした遺跡や洞窟などの構造体そのものが魔物化したものである。

 

 それはまさしくゲームのダンジョンそのもので、魔物は際限なく出現(ポップ)し、倒した魔物の死体は消えてしまう。

 これもゲームよろしく、アイテムを落とす(ドロップする)事もある。

 更には構造自体が変化して成長することもあったりする、らしい。

 

 発生する仕組みは明らかになっていないが、ダンジョン化は『魔物化』なので、どこかに魔核が存在するはず。

 そして、それを破壊すれば元に戻るはずだ。

 

「今まで倒してきた魔物は普通のやつだったよな?」

 

「そうですね…私達が探索してる間にダンジョン化したのかも知れません」

 

「何と言う奇跡なんだか…」

 

「どうします、お嬢様?今回の依頼を達成するには何処かにある魔核を探し出して破壊する必要がありますが…ダンジョンって資源でもありますし…」

 

「そうですわね…ただ、何れにせよ魔核の所在は突き止めておきたいです」

 

「何れにせよ、今日は時間も頃合いだし、一旦地上に引き上げてジョーンズさんにも状況報告した方が良いだろうな」

 

「あ、だったらさっき見つけた手記みたいなやつは持ち帰ったほうが良いのでは?調査隊が入れるようになるのか分かりませんし…」

 

「…そうですわね。収納倉庫(ストレージ)を使えば手を触れずとも回収できますし、そうしましょうか」

 

 

 

 

 そうして、私達は一旦地上に引き上げることとなった。

 

 まさか、ダンジョン攻略することになろうとは…

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