【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う! 作:O.T.I
「こっちよ!!もうすぐそこだわ!」
「確かに、もう私でも戦闘の気配が感じられますわ」
「これは…かなりの規模の戦闘みたいね」
レイラを先頭にダンジョンを駆け抜ける。
急ぎながらも、しっかりとトラップの有無を確認しながら進むのは流石と言える。
戦闘区域が近いことを察して全員走りながら戦闘態勢を取る。
…もちろん、ステラとメリエルはしっかり手を繋いだままであるが。
そして、彼女たちが駆けつけた先には…
「
突如として現れた広大な空間に犇めく膨大な魔物の群れ。
ゴブリン、オーク、スケルトン、ゾンビ、スライム、etc…
それは正しくダンジョンのトラップの一つと思われた。
「こんな低層階で…?」
「考えてる暇はありませんわよ!」
「あ!?あそこで戦ってるのは…ガエル君達だよ!!」
と、メリエルが指さす先には、ガエル、フリード、ユーグの学園組と、見知らぬ少年少女たち…どうやら負傷しているようだ。
魔物に四方を囲まれて、ガエルとフリードが前衛で、ユーグが魔法を駆使してどうにか食い止めている様子。
幸いにも魔物の脅威度自体は階層に見合ったもので強力な個体はいないが…何せ数が多すぎる。
このままでは突破されるのは時間の問題のようにも思えた。
「助けましょう!!」
同級生たちを救援すべく、彼女たちは魔物の群れの中に突っ込んでいく!!
とにかく群れを蹴散らすため、ルシェーラは
鎧袖一触、触れるもの全てを薙ぎ払って道を作り出す。
その後にシフィル達も続いてガエル達と合流する。
「皆さん!大丈夫ですの!?」
「お前たち!!助かったぜ!!」
「ありがたい」
「まだですよ!陣形維持してください!!」
少し安堵したようなフリード、ガエルが助力に感謝の言葉を掛けるが、ユーグの警戒を促す声に気を引き締め直す。
「とにかく!蹴散らしますわよ!!」
「雑魚は纏めて…[嵐風刃]!!」
シフィルが放った風系統の中級攻撃魔法は、小型の魔物を纏めて巻き込んで瞬く間に切り刻んで行く!!
「ルシェーラとシフィルはそのまま時間を稼いで!!ガエル君達も!!メリエルちゃんとユーグ君は大きい魔法の準備を!!レイラさんはその人たちの護りと支援を!!私は
ステラが矢継ぎ早に指示を出し、それに従って各々が動く。
即席の合同パーティーだが、急速に連携を取り始める。
「[雷龍]!!」
「[火炎流]!!」
メリエルとユーグの魔法が、ほぼ同時に発動する!!
術者の制御を離れて自律行動する雷の龍が縦横無尽に駆け巡り、火炎の旋風が広範囲を焼き尽くす。
そして…
「プラタ!!お願い!!」
アォーーンッ!!
ステラが
彼女の影から銀の体毛の巨狼が姿を表して魔物に襲いかかる。
そして、ステラ自身も白銀の大弓を携え、光の雨の如き矢を放つ。
雷と炎、銀狼と光の雨が魔物の群れを蹂躙する。
そして、それを好機と見たルシェーラ、シフィル、ガエル、フリードも一気呵成とばかりに飛び出して、残った魔物たちを屠っていく!
低ランクの魔物とは言え物量差を物ともせずに蹴散らしていく様は、彼らの実力の高さを如実に表していた。
「ふぇ〜…とんでもないね、これは。私の出る幕は無いわね……怪我は大丈夫?あなたたち」
学園生の実力の高さを目の当たりにして、半ば呆れるように呟いてから、レイラは怪我をした少年少女に尋ねる。
年若い四人組…おそらくは同じパーティーなのだろう。
年代的にはもしかしたら彼らも学生なのかもしれない。
「は、はい…!ありがとうございます。戦闘は難しいですけど…命に別状はありません」
代表してリーダーらしき剣士の少年が答える。
その答えにレイラは、彼らを安心させようと笑顔を向けて言う。
「そう、良かったわ。ま、あの調子ならもうすぐカタが付くと思う……おっと!!」
ザシュッ!!
前線の暴虐から辛うじて逃れてきたゴブリンが向かってきたので、短剣で危なげなく迎撃する。
専門は斥候と言えどレイラも高ランク冒険者。
この程度の魔物に遅れを取ることはなかった。
そして、程なく全ての魔物を撃破。
ダンジョンの魔物は死体が残らないので、戦闘のあとの広大な部屋の中には幾つかの
「ふぅ……何とか撃退できましたわね」
「お嬢さん方、助かったぜ」
「うむ。助力、感謝する」
「はぁ…生きた心地がしませんでしたよ。本当にありがとうございました」
フリード、ガエル、ユーグは改めて助力してくれた彼女たちに礼を言った。
「いや…アンタ達も彼らを助けに来たって事なんでしょ?」
チラッと、メリエルから魔法による治療を受けている同年代らしい少年少女を見ながら、シフィルはフリード達に状況を聞く。
「まあな。と言っても…あいつらが先にここに来てなければ、俺たちが引っかかってたかもしれないけどな」
「まさかこんな低層階で
「…確かに。私もここには何度か潜ってるし、情報もそれなりに集めてるけど…聞いたことないわ。念の為ギルドには報告しておいた方が良さそうね」
レイラも腑に落ちない様子で同意し、これが通常では起こり得ない事象であると考えてるようだ。
「まぁ、低層階ではあるから、魔物がそれほど強くなかったのが救いだったわね」
シフィルはそう言うが……彼女たちの実力があったからこそ切り抜けられたとも言える。
実際、彼女たちが駆けつけなければ少年たちどころか、フリード達もただでは済まなかったかも知れないのだ。
「治療終わったよ〜」
「「「ありがとうございます!」」」
メリエルに治療魔法を施された少年たちは、すっかり怪我も治ったらしく、元気よく礼を言った。
「よし。じゃあ怪我も問題なければ脱出……の前に、
相当な数の魔物を倒したので、戦利品もかなりの数に上る。
それを回収するだけでもかなりの労力だが…
元々は肩慣らしで低層階を探索するだけのつもりだったので、想定外の収穫があったことに彼女たちは思わず顔をほころばせるのであった。