【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十一幕 14 『賢者の書、再び』

 

「こちらがお預かりしていた…(くだん)の本です」

 

 ギルド職員が持ってきてくれたのは、革に縁が金属で補強された、古めかしくも豪華な装丁の本だった。

 雰囲気的には賢者の塔で見つけたものと似ている気がする。

 

「…では、見せていただきます」

 

 一言断ってから本を手にする。

 レティ以外はドロップした時に既に確認しているので、私が確認する様子を黙ってみている。

 レティだけが興味深そうに私の後ろから覗き込む。

 

 

 タイトルは……

 

 

 『よく分かる!迷宮探索!ドキドキワクワク初めての探索編〜これであなたも今日から迷宮探索者(ダンジョン・エクスプローラー)だっ!  桧原琉斗 著』

 

 

 ……危うくズッコケそうになった。

 

 お、【俺】ぇ〜〜っっ!!?

 

 

 

(……何なの?このふざけたタイトルは?)

 

 覗き込んで一緒に見ていたレティが、そう囁いた。

 

(完全に同意なんだけど…何だかスミマセンとしか言えない)

 

(?…何でカティアが謝るの?)

 

(いやぁ…この『桧原琉斗』って、前世の【俺】だったり……)

 

(はぁっ!?…ど、どうゆうこと?)

 

 

「どうされました?カティアさん?何か分かりましたか?」

 

(おっと、皆に怪しまれるから…その話は後で)

 

(分かったよ。でも、ちゃんと教えてね!)

 

 まあ、レティに話すのは良いだろう。

 それよりも今は…

 

「あぁゴメン、ルシェーラ。ちょっと予想外のタイトルだったので驚いちゃって…」

 

 予想の斜め上のはっちゃけ具合だよ。

 

 

「と言う事は……やっぱりこの本、読めるんですの!?」

 

 話の流れ的にある程度は予想してはいたのだろうけど…それでも目を見開いて驚愕の声を上げるルシェーラ。

 他のみんなも概ね似たような反応だ。

 

 

「う、うん、まぁ……アスティカントの賢者の塔で見つけた本と同じ文字なんだよ。…って言うか、どっちも賢者本人が書いたものみたいなんだだけど」

 

「賢者様の……」

 

 驚きで絶句する面々。

 まあ自然な反応だろう。

 

 

「ねえ、みんな……この本、私に貸してくれない?」

 

 本は結構厚みがある。

 なので、この場で全部読むには時間がかかりそうだから、そう聞いてみた。

 

「そうですわね、賢者様の書ということであれば、その価値は計り知れませんし私達では扱いかねますわ。国に寄贈した方が…」

 

「良いのかな?正直なところ、ギルドでも価値を計れないし値を付けることも出来ない。しかし、珍しい本を蒐集する好事家なら金に糸目は付けないと思うが…」

 

 ギルド長がそう念押しをする。

 そうだよねぇ…ドロップアイテムはあくまでも取得した者に所有権がある。

 普通だったら換金して山分けだろう。

 

「私は構いませんわ。……多分、カティアさんにとって重要なものなのでしょう?」

 

 何かを察したかのように、ルシェーラはそう言ってくれる。

 

「う、うん」

 

「でしたら、きっとこの世界にとっても重要なものなのでしょう……あ、私だけで決めてはいけませんわね。皆さんはどうです?」

 

「んー、もともと腕試し目的だし、私も別に良いわよ」

 

「私も」

 

「おなじく!」

 

「私なんて暇つぶしで混ぜてもらっただけだからねぇ…カティアちゃんの力になりたいし、もちろん構わないわ」

 

「俺っちたちは、助太刀が無かったら危なかったしなぁ…その上アレで大分稼げたしな。別に構わねぇぜ。なぁ、お前ら」

 

「うむ」

 

「ええ、もちろんです。でも、本の内容は気になるので、後で教えていただきたいとは思いますけど」

 

 全員が了承の意を表明してくれた。

 もう、みんなお人好しなんだから…

 

 

「ありがとう!みんな!もちろん内容が分かったら皆にも教えるよ!あ、でも…父様にも相談して、国で買い取れないか確認してみるよ」

 

 国内のダンジョンで発見された貴重な書物なら、歴史的な価値も計り知れないし…確認するだけしてみよう。

 

 

 

 

 

 こうして、私は賢者リュートの書に再び出会ったわけなのだが…

 

「ところで、その本のタイトルは何だったんですの?」

 

「え!?い、いや…ダンジョンに関する研究書…みたいなものかな?」

 

 そう誤魔化しておいた。

 

 

 

 まったく…一体どういう精神状態で書いたんだ?コレ…?

 ほんとに【俺】と同一人物なのか…?

 ちょっとその推測に自信が無くなってきたよ…

 

 

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