【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う! 作:O.T.I
隠し部屋へと通じる通路を私達は進む。
暗く狭い通路の中、魔法による明りで床には濃い影が落とされ、カツンカツンと複数の足音が響き渡る。
扉を潜ってからどれくらい歩いただろうか?
かなり進んだと思うのだが、まだ通路の終わりが見えない。
「……長いですわね。どこまで行くのでしょうか?」
「暗くてオバケ出そうなの……」
ミーティアがカイトに抱きつきながら不安げに呟やく。
確かに不気味な雰囲気だね……
「もう数百メートルは進んだッスねぇ……ん?」
そこでロウエンさんが何かに気付いた様子で立ち止まった。
「どうしたの?ロウエンさん」
「……ループしてるッス」
「え?」
…ループ?
確かに同じような景色がずっと続いてるけど。
ダンジョンのトラップとしても割とメジャーな方だが…
「ほら、これを見るッス」
そう言って指し示した壁には、何やら傷跡のようなものが。
「この傷跡は通路に入って少し進んでから、オイラが付けたものッス」
いつの間に。
しかし……それが今ここにあるということは、確かにループしてるって事だね。
そうすると……どうしたものか?
「リーゼちゃん、魔法トラップの起点は分からないッスかね?」
「少なくとも、これまで歩いてきた間には……それらしきものは見当たりませんでしたね」
唯の通路だったからね。
宝玉とか魔法陣とか…あからさまなモノは無かった。
「…引き返したら戻れるのかな?」
確か、一方通行でループするタイプと、完全に閉じ込められてしまうタイプがあったと思う。
以前、スオージの森で対峙したオーガもどきの異能が後者のタイプだった。
「退路の確保は重要ですね。確認しておいた方が良いかと」
ケイトリンの言う通り、一度確認しておいたほうが良いだろう。
そして、踵を返して入口の方に戻っていくと、それほど時間もかからずに……
「戻ってこれたね」
ヒュドラーと激闘を繰り広げたボス部屋に戻ってくることができた。
「う〜ん……どうしようか?」
「何か方法はあるはずだ。……カティア、例の本には他にヒントのようなものは無いのか?」
カイトはそう言うが、さっきのキーワード以外には変化は無いことは既に確認している。
ただ…未だ光を放ち続けているのが気になると言えば気になる。
「通路の中にも隠し扉がまだあるのかも……?」
「そうッスね。また本の反応を見ながら進めば何か分かるかもッス」
ということで、今度は鞄から本を出したまま、何か変化が起きないか確認しながら進むことに。
しかし……
「ループしたッス」
「…特に本に変化は無かったね」
光が強くなるとか、殊更変化は見られなかった。
「ん〜……いよいよもって分からないなぁ…」
ちょっと厳重過ぎやしないか?
ヒントも他に無いし……
そうは思いながらも、最初のページからめくって行き、何か見落としているものがないか確認する。
すると、こちらをじっと見て何か考え込んでいた様子だったリーゼさんが、躊躇いがちに呟いた。
「……もしかして、その本自体が起点になってませんか?」
「…へ?」
これが?
……そう言われて見てみれば。
確かに微弱な魔力の流れが感じられるような?
光を放っているのも何らかの魔法術式によるものなんだろうけど、それとは異るものを感じる……ような気がする。
「もしこれが、この無限回廊の起点なら……」
そしてリーゼさんは詠唱を開始する。
無限回廊は魔法トラップだ。
つまり、一種の結界魔法が発動していると言う事になる。
それを解除するためには…
「[解呪]!」
リーゼさんの魔法が発動し、掌より放たれた光の波動が私が手にした本に吸い込まれた。
すると……
パリンッ!
と、ガラスが割れるような音がして、辺りの雰囲気も一変する。
「特に通路に変化は無いですけど……」
「先に進んでみよう」
もし無限回廊の結界が解除出来たのなら、先に進めるようになってるはず。
そして暫く進んでいくと、通路の先の方に光が見えてきた。
「どうやらゴールのようですわ!」
「トラップは抜けたんだね」
今度はループすること無く先に進むことが出来たようだ。
「流石はリーゼちゃんッス!」
「本当に…助かりました」
「いえ、たまたまですよ」
そうリーゼさんは謙遜するけど、彼女の観察眼と洞察力が無ければ突破出来なかっただろう。
やっぱり私達の先生は頼りになるね!