【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十一幕 32 『ディープ・フォレスト』

 王都ダンジョン深層部…第76階層は一見してダンジョンの内部とは思えない森林地帯だ。

 背の高い木々が密集し昼なお暗い様は、かつてのスオージ大森林を彷彿とさせる。

 

 だが、あの時はオーガモドキのせいで感じられなかった生き物の気配がする。

 まぁ、生き物と言っても全部魔物だろうけど。

 

 

 しかし、探索を進めるにしても……どこに向かえば?

 こう言う時こそ『案内役』の出番なのではないだろうか?

 

 

「ねぇ、ミロン。次の階層に向かうルートは分かる?」

 

「分かりません」

 

「……案内役なんじゃないの?」

 

 ノータイムできっぱり言い切ったよ……

 

 

「正確には、教えることが出来ないのです」

 

「ん?何で?」

 

「これは謂わば皆様方に対する試練…とでも言いましょうか。つまり、賢者の足跡を辿り世界の秘密に迫り……救世の英雄たる器に相応しき者かどうか、という事です」

 

「救世の英雄って……何だか大事だね…」

 

「ですが、それこそがリュート様の願いでしたので」

 

 

 賢者リュートは、後世に起こるかもしれない未曾有の危機を憂いていた。

 彼はそれを何とかしようとしていたのだから、彼の足跡を辿ると言うのは確かにそう言う事になるのかも知れない。

 

 つまりは、魔王や邪神と言った存在に抗し得る力を示せということなのだろう。

 

 

「まぁ、分かったよ。救世の英雄云々は何とも言えないけど。取り敢えずは、ここを脱出するためにも頑張るしかないって事だね」

 

「カティアさんなら、何れそう呼ばれる事になるような気がしますわ」

 

「そうッスねぇ……もう今でも充分に英雄視されてるッスけど」

 

「イスパルに加えて、レーヴェラントでも大活躍だったしな」

 

「ママはえらいの!」

 

 

「ん!と、とにかく、探索を進めましょう!」

 

「カティア様、照れてますね」

 

「ふふ……でも、実際のところ、どちらに向かえば良いのでしょうか?」

 

 そうだよねぇ……闇雲に探っても迷うだけだろうし、何か指針が欲しいとこだよ。

 転移してきたところは、周り中どこを見ても木、木、木ばかり。

 向かうべき方角さえ分からないのでは、如何ともし難い。

 

 

 どうしたものか、と悩んでいると……

 

『だったら、魔素の流れを辿ったらどうだ?』

 

「うにゅ?」

 

「ゼアルさん?」

 

 突然声がしたかと思ったら、スッ…と現れる。

 そう言えばこの人も居たんだったね。

 

 因みに、ここにいるメンバーとは一応面識はある。

 

 

「魔素の流れを辿る……ですか?」

 

『ああ。ここは異界を顕現させるためなのか、膨大な量の魔素が集まっている。そしてそれはある一定の流れを持っているみてぇだ』

 

 確かに、通常よりもかなり魔素は濃いと思う。

 しかし、ゼアルさんの言う流れというのは良く分からないね……

 その辺は地脈の守護者たる所以なのかも。

 

『かなりゆったりした流れだから、お前らには分からねぇかもしれねぇな。しょうがねぇ……我が案内してやらぁ』

 

「ありがとうございます。その流れ着く先に、次の階層への道が…?」

 

『そりゃあ何とも言えねぇが……指針が分からねぇなら試してみても良いんじゃねぇか?』

 

「…そうですね。お願いします」

 

『おう。任せとけ』

 

「ゼアルおじちゃん、お願いしますなの!」

 

『いい加減、おじちゃんは止めてくれや……』

 

 まぁ、年齢的には「お爺ちゃん」でもおかしくないから、まだマシなんじゃない…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、ゼアルさんの案内のもと私達は森の中を進んでいく。

 

 緑の匂いが濃くジメジメした薄暗い森。

 時々魔物のものらしき鳴き声が聞こえてきてとても不気味である。

 

 それに、何だか……

 

 

「ねぇ、ロウエンさん。何か…おかしくない?」

 

 ちょっと曖昧な聞き方だけど、多分ロウエンさんも分かってると思う。

 

「そうッスね……どうも、うっすらと何らかの気配らしきモノを感じるんスけど……距離感が掴めないッス」

 

「私も同じですね…すぐ近くに居るような、そうでも無いような……」

 

 

 熟練の斥候でも判然としないのか……

 これは慎重に行かないとだね。

 

 

 

 

 そうして、私達は深い森の中を進んでいくのであった。

 

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