【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十一幕 38 『常夏の島』

 王樹のうろの中にあった虹色の光の渦に飛び込んだ私達。

 その瞬間、上下左右がグチャグチャになるような感覚が襲い、酷い目眩のような状態に陥る。

 

 だが、それも一瞬の事で、次に目を開いたときには景色が一変していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが……第77層?」

 

「……森の次は海ですか」

 

「ホント、どうなってるんスかねぇ……」

 

「わ〜!!凄い広いの!!」

 

 

 そう、今目の前に広がるのは一面の大海原だ。

 そして私達が立っているのは、そこにポツンと浮かぶ小島の砂浜である。

 

 上を見上げれば、青空はどこまでも澄んで雲一つない。

 燦々と太陽の光が降り注ぎ、まさしく常夏の世界といった様相。

 日差しは強いが、爽やかな海風が駆け抜けて思ったよりは暑く感じない。

 

 

 

 ……って、あの太陽は一体どうなってるの?

 

 

 まあ、今更常識が通じるような場所ではないのは分かってるんだけど。

 

 

 

「う〜ん、奇麗な海だなぁ……ここがダンジョンじゃなかったら泳ぎたいところだよ」

 

「本当ですわね……」

 

 透き通った海は遠浅らしく、かなり沖合の方までエメラルドグリーンが続いている。

 前世であれば人気のリゾート地になること間違いなしだ。

 

 

 

 

 

「さて……ここで遊んでいくわけにも行かないけど……これまたどうしたものか」

 

 先の樹海でも目的地がどこなのかがさっぱり分からなかったけど、今回もどうすれば良いのやら?

 今私たちのいる島はこぢんまりとしていて、探索も直ぐに出来てしまいそう。

 

 

「ミロン?どうすれば良いのかは、やっぱり教えてくれないの?」

 

 ダメ元で一応聞いておく。

 樹海の時みたいにヒントは教えてくれるかもだし。

 

 

「そうですね。しかし、アドバイスは致しましょうか。見ての通り、この階層は海がメインステージとなります」

 

「うんうん」

 

「以上です」

 

「ふぁっ!?」

 

 それだけ!?

 海がメインステージなのは見れば分かるよ!

 

 

 ……いや、待てよ?

 

「……もしかして、海の中に行けってこと?」

 

「申し訳ありませんが、これ以上は言えないのです」

 

 

 いや、ヒントが『メインステージは海』って言うのなら、そうとしか考えられないんだけど……

 

 いや、しかし……

 

 

 

「う〜ん……どうしようか?」

 

「他に何か無いか……先ずはこの島を確認したほうが良いんじゃないか?」

 

「それよりも、先の戦いの疲れもありますし、少し休んだ方が良いんじゃないですか?取り敢えずは魔物の気配もしませんし……折角の景色なんだから、少しくらい堪能してもバチは当たりませんよ」

 

 

 確かに。

 

 樹海での戦いで負った怪我は治療してるけど、ずっと不気味な森を彷徨っていたから、思った以上に疲労が蓄積されている。

 

 警戒は必要だけど、ケイトリンの言う通り当面の脅威がないなら少し休んでおいた方が良いだろう。

 

 

 ……ちょっとリゾート気分も味わいたいしね。

 

 

「じゃあ、休憩しましょうか……と言うか、本当だったらもう夜のはずだよねぇ?しっかり休んだ方が良いかな?」

 

 今日は午後から探索を開始して、第1層〜5層まではサクサク進んだけど……その後のヒュドラー戦、それが終わったらそのまま第76層まで飛ばされて、結構な時間がかかっていた。

 

 異界は時間の進みが違うとのことだが、本来なら就寝時間になってるかも知れない。

 

 

「あ、そう言えばルシェーラ。今回は時計は持ってないの?」

 

「申し訳ありませんが、今回はお父様の目を盗め……借りられませんでしたわ」

 

 そですか。

 普通に借りるという選択肢はなかったのかな……

 

 

「まぁ、感覚的にはまだ深夜というほどでは無いッスけど……まだ先も長そうだし、休めるときにしっかり休んだ方がいいッスね」

 

「だね。じゃあ、暫くここで野営……日は高いけど、交代で見張りをしながら休みましょうか」

 

 

「やった〜!季節外れのバカンスだ!」

 

「いやいや、警戒はしておいてよ」

 

「分かってますって!でも、折角なんだから楽しまないと!」

 

 まぁね〜、こんなに奇麗な海だからねぇ……気持ちは分かるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、私達は束の間の休息を得ることになるのだった。

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