【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十一幕 エピローグ 『遥かなるグラナ帝国』

 

 ダンジョンから帰還して、私達を捜索しようとやって来た父様たちにざっくりと経緯を説明したあと……もう夜も遅いし、流石に疲れていたので詳しい説明をするのは翌日ということにしてもらった。

 

 

 

 

 

 そして翌日、王城の一室に関係者が集まった。

 父様と父さん、母様、閣下にリュシアンさんだ。

 ダンジョン攻略パーティーからは私とテオ、ルシェーラ、ケイトリン、そして……

 

 

 皆の視線が私の頭上に向く。

 そこにはミロンがいるはずだ。

 

 ダンジョンの話をするのに当事者の一人として必要と思って連れてきたのだけど、いつもの定位置であるミーティアが居ないからこうなってる。

 この娘、大きさの割に殆ど重さを感じないので、全く苦にならないんだけど……絵面が気になる。

 せめて肩にしてくれないかな?

 

 そんな私を見て、他の皆は何とも言えない表情だが、母様だけは羨ましそうな顔をしてる。

 ……良かったら代わりましょうか?

 

 

 

 

 

「先ずは改めて……昨日は心配をおかけして申し訳ありませんでした」

 

「いや、どうにもならない状況だったようだし仕方あるまい」

 

「まぁ心配はしたと言えば、したんだけどな……お前のことだから、また何かおかしな事に巻き込まれたんだろ、とは思ったな」

 

 父様と父さんがそれぞれ言う。

 と言うか、父さんの言葉に皆して、うんうん…と頷いてるのが解せない。

 まぁ、実際その通りだったのだから何も言い返せない……

 

 

「ダードの言う通りではあるんだがよ。ルシェーラも一緒だってぇんだから、俺ぁ気が気でなかったぞ」

 

 閣下は放任主義に見えて、割と心配性だからね……

 

「ごめんなさいお父様。でも、良い経験ができました」

 

 そんな事を言うルシェーラは父親よりも豪胆だと思う。

 ……閣下は複雑な表情だ。

 

 

「確かに……随分と強くなったのは雰囲気で感じられますね。これはもう私と互角か、それ以上なのでは?」

 

「本当ですか!?では、後で手合わせを……!」

 

 ブレないねぇ……

 

 

 

「コホン!……ともかくだ。昨日は夜遅かったし、疲れもあっただろうから、詳しい話は聞けなかったが……」

 

「はい、最初から順を追ってお話しますね……」

 

 

 そうして私は、ダンジョン攻略開始からの詳しい話を始めたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言う事で……結論としてはダンジョンはこの世界にとって非常に重要なモノなのです」

 

 一通りの話を終えて、私はそう締めくくる。

 

 ずっと黙って話を聞いていた父様たちは、思いもよらない話に、直ぐには理解が追いつかず言葉が出てこない様子。

 

 

「……何とも壮大な話よな。これはまた、学者たちが騒ぎ始めるだろうな」

 

「今回はリーゼ先生も一緒でしたからね。それはもうあっと言う間に学術界隈には話が広がるでしょう。まぁ、一先ず父様に報告して、情報開示の範囲を相談してからとは伝えてますけど」

 

 ルシェーラもそうだったけど、今回のダンジョン探索でリーゼさんはかなりホクホクしていたよ。

 肝が座ってると言うか……この世界の女性は本当にたくましいよ。

 

 

 

「それにしても、賢者リュートの予言の話は以前にも聞いたが……やはりグラナに繋がるのだな」

 

「はい。ここ最近、動きが活発な黒神教……その成り立ちを推測するに、そう考えるのが自然だと思います」

 

 邪神封印の地がグラナにあると言う事と、黒神教の活動には、密接な関わりがあるはずだ。

 そして、グラナ帝国も……

 

 

「ふむ……情報収集は積極的に行いたいところだが、いかんせんあの国は平時ですら自由に移動することすらままならぬと聞く。ましてやキナ臭い昨今の状況では尚更だろうな……」

 

 そうなんだよねぇ……

 

 グラナ帝国はカルヴァード大陸北西部で陸続きの国ではあるのだけど、本来は東大陸の国だ。

 陸続きと言えども国境は急峻な山脈によって分断され、国交も無いからまともな街道も整備されていないので、グラナ国内に足を踏み入れることすら容易ではない。

 更に、数少ない情報によれば、父様が言った通り民衆に対する締め付けも厳しく、国内の往来も自由に行えないらしい。

 

 そんな国だから、情報収集は困難を極めることが予想されるのだ。

 

 

 とは言っても、手をこまねいているわけにもいかない。

 なんと言っても世界の命運がかかっているのだから。

 

 

「各国に共有、協力を打診するにしても、グラナの情報収集に関してはどこも似たりよったりでしょうね。曲がりなりにも国境を接するレーヴェラントやウィラーなどが多少は……くらいで」

 

「むしろ東大陸の他の国に協力を仰ぐべきでは?我が国はそれほどではありませんが、カカロニアなら海洋貿易で東方との繋がりもそれなりにあったかと」

 

「そうだな、その方向でも検討せねばな……」

 

 

 そんなふうに様々な意見が交わされるが、今後の対応方針に関しては早急に正式な会議体で議論することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 賢者の書に導かれ、ダンジョン攻略を果たした私達。

 少しずつ明らかになる世界の秘密。

 賢者が懸念した『邪神』、その正体も見え始めてきた。

 

 そして、自分自身の謎についても……未だ分からない事の方が多いが、着実に真相に迫りつつある。

 そんな気がする。

 

 

 だが、どんな真実が待ち受けていようとも……私は私だ。

 確固たる自分を持っていれば、どんな困難があろうとも乗り越えていける。

 

 そう、思うのだった。

 

 

 

 

ーー 第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲 閉幕 ーー

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