【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十二幕 転生歌姫と謎のプリンセス
第十二幕 プロローグ 『式典』


 

 思いがけないダンジョン攻略を果たしてから……学園に、公演にと、忙しくも平穏な日常が続いている。

 

 グラナ帝国の情報収集の重要性は各国に共有されているものの、直ぐに有用な情報が入手できるはずもなく、今はただ待つことしか出来ない状況であった。

 

 魔王や邪神の復活までに、どれほどの猶予があるのか……それすらも分かっていないが、昨今の黒神教の精力的な活動を思えば、あまり時間をかけていられないとも思うのだが……

 単身グラナに乗り込むわけにもいかないし、今は焦らず待つしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、年明けから暫く経ち、少しずつ寒さも和らぎ始めた頃……私は王女として、ある式典に参加することになった。

 

 予てからレティから話は聞いていたが、王都〜イスパルナ間の鉄道建設の起工式が行われるのだ。

 起工式……と言っても、あくまでも形式的・儀式的な意味合いが強く、既に難所と思われる場所などでは先行して着工してるらしいのだが。

 そう言えば、私が王都にやって来る際に通ったアレシア大河でも既に架橋工事は始まっていた。

 

 

 

 

 ということで、本日は父様母様と共に式典に参加するために、王都側のターミナルとなる予定地……西大門から少し離れたところにある広大な空き地へとやって来た。

 テオとミーティアも一緒である。

 

 今日は王女としての正式な行事参加なので、移動はもちろん王家の馬車で、護衛の近衛騎士もわんさと引き連れている。

 

 

 やってきたのは随分広大な空き地だが……もともとこの辺りも民家が密集していたらしく、駅や関連施設の建設を行うために土地を買収し整地を行ったとのこと。

 まぁ、他の街ならいざしらず、王都近郊ともなればどこもそんな感じだろうから……そうしなければ纏まった土地は確保できなかったと思う。

 

 

「ここに駅ができるのかぁ……」

 

「今から楽しみだな」

 

「また『れっしゃ』に乗れるようになる?」

 

 今はまだ何もない空き地に、未来の駅舎を思い描く。

 きっと将来は多くの人で賑わう事になるのだろう。

 

 

 駅の建設予定地には既に資材が運ばれているようで、まさに建築現場といった様子。

 そんな中、ポツンと一棟だけ建物があった。

 レンガ造りの中々に立派な建物なのだが、現在は工事関係者が使う事務所として使っているらしい。

 そして将来的には駅舎の一部になるとも聞いている。

 

 私達を乗せた馬車はその建物に向い、入口の前に横付けして停車した。

 

 馬車の到着を見計らったかのように、建物から数人の男女が出てくる。

 

 

「陛下、王妃様、ようこそお越し下さいました!カティアたちも、来てくれてありがと〜」

 

 出迎えてくれた人物の一人……レティが挨拶をする。

 レティに合わせて他の者たちも一斉に頭を下げた。

 ……あ、リディーさんもいるね。

 

 

「うむ。今回はよろしく頼むぞ」

 

「レティ、いよいよあなたの夢が実現するときが来ましたね。そして、我が国……いえ、世界にとって新たな未来を切り拓くものでもあります」

 

「ありがとございます!こうしてここまで来れたのも、皆様にご尽力頂いたからこそだと思ってます」

 

 確かに国の認可や法整備無くして建設することなどできないと思うが……そこに至るまでのレティの弛まぬ努力と行動があったからこそ、こうして結実したのだろう。

 

 

「レティ、招待してくれてありがとうね。私もあなたの夢の実現に向けて、少しでも力になりたいと思うよ」

 

「うん、ありがとう!」

 

 

 

 

 

 

 式典の開始までもう少し時間があるので、私達は事務所の中に案内される。

 

 工事事務所という事だが、身分の高い者が視察に訪れることも考慮してか、かなり広い応接室が設けられている。

 私達はそこに通されたのだが、既に先客がいた。

 

 モーリス公爵ご夫妻とリュシアンさん、閣下とルシェーラだ。

 それぞれ挨拶を交わすが、更にもう一人……

 

 

「奥様!!お久し振りです!!」

 

 そう、閣下の奥様、ルシェーラのお母様であるリファーナ様と久しぶりに再会したのだ。

 

 心なしか閣下も嬉しそう。

 もちろんルシェーラもそうなんだけど、閣下は特に奥さんラブらしいから。

 

 

「お久し振りね、カティアちゃん……っと、こんな喋り方はダメだったかしら」

 

「いいえ!以前のようにお話していただいた方が嬉しいです!」

 

「ふふ……変わって無いみたいで嬉しいわ。それに……テオフィルス様、お久し振りです。そして、ご婚約おめでとうございます」

 

「奥様、私も以前のように接してもらえれば……」

 

「そお?まぁ、今更だものね」

 

 テオもブレーゼン家には大分お世話になっただろうし、閣下達はもともと彼の素性は認識していたのだから、確かに今更ではあるね。

 

 そんなふうにして、それぞれ旧交を温める。

 

 

「奥様はいつこちらに?」

 

「一週間ほど前ね。本当は農閑期に入って少ししてから来るつもりだったんだけど……領内の防衛強化とか、引き継ぎ事項が結構多くて、思いの外時間がかかってしまったわ」

 

「本当だったら俺がやるべき仕事も殆ど任せちまったからなぁ……すまねぇな」

 

「いいのよ。あなたの方が大変だったでしょう?」

 

 お互いがお互いを労り合う。

 結構長い間離れていても、夫婦仲は良好のようで何よりです。

 ルシェーラも嬉しそうだ。

 

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