【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十二幕 38 『電撃作戦』

 

 今日は対抗戦四日目なのだが……

 

 私は学園には向かわずに、テオやケイトリンたちと一緒に騎士団詰所の作戦会議室へと向かっていた。

 

 

 

「……学園は良かったのか?大事なイベントなんだろう?」

 

「ん〜……まぁ、私の出場する競技は終わっちゃったし……応援はしたいけど、早くこっちの問題もスッキリさせておきたいからね。後顧の憂いなく学園生活を送りたいよ。一応、学園には伝言を頼んだし、レティとルシェーラにも通話魔道具(でんわ)しといたし」

 

「騎士団に任せておけば良かったんじゃないですか?」

 

「いやぁ、当事者の一人だし。……それに、拠点にはもしかしたら魔族がいるかもしれない。もしそうだったら、私がいた方が良いでしょ」

 

「それはそうかも知れんが……」

 

 どうも、テオは私には学園の生活を優先してもらいたいみたいだね。

 ケイトリンやオズマもそうみたいだ。

 みんな優しいね。

 

 

「ま、電撃作戦で早く片付けられれば、最終日には戻れるでしょ」

 

「……そうだな。全力で叩き潰すことにしよう」

 

 ……目がマジである。

 

 そうだよね……彼こそ昔から狙われてたのだから、私なんかより腹に据えかねるものがあるだろう。

 是非とも、これまでの鬱憤を晴らしてもらいたいものだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆の者、大儀である。さて、本日は急ぎ招集に応じてもらった訳だが……」

 

 会議室に集まった騎士や兵たちに対して、父様が労いの言葉をかけてから、今回の招集の目的を說明する。

 

 

「……と言う事で、我らの安寧を脅かす不逞の輩を速やかに誅するべく、皆の力を結集して事に当たってもらいたい。詳しい作戦は副団長のリュシアンより說明する。……では頼む」

 

 作戦詳細については昨日、父様と話をしたあとに騎士団の主だった幹部を緊急招集して協議している。

 私とテオもその場には参加しているので、内容は既に把握している。

 今回集まった者たちも既に内容の伝達は行われている筈だ。

 だから、この場は最終的な意識合わせのための要点説明(ブリーフィング)ということになる。

 

 

 

 

 今回の作戦の要点はこうだ。

 

 事前にアグレアス侯爵に聞いた情報では、黒爪が拠点として用いている地下施設への入口は2つのルートが存在する。

 

 一つは、かつてのミーティア誘拐事件の時に発見した地下神殿。

 そこに未だ発見されていない隠し通路があり、そこからアクセスするというもの。

 

 もう一つは……表向きは、とある商会名義の倉庫。

 実質的にはアグレアス家所有のそこに、地下への隠し通路が存在するのだ。

 

 そのどちらとも、隠し通路の見つけ方、開き方は聞いている。

 地下神殿の方は前回の事件の時に国で押さえてるので出入りするのには問題ないが、もう一つの倉庫の方はヤツらが出入りしてるはずだ。

 そのため、慎重に包囲網を敷く必要があるだろう。

 

 

 作戦としては、先ずは倉庫を制圧。

 そして、地下への通路を確保してから、神殿側に展開した部隊とタイミングを合わせて突入する。

 ようするに挟み撃ちという事だ。

 

 これも事前に聞いた情報だが、現在の黒爪の規模は100人前後と予想されている。

 対するのは選りすぐりの騎士・兵士が総勢500名。

 普通に考えれば十分すぎる戦力ではあるが……実際には、全員が地下に入って戦闘できる訳ではないだろうから、決して余裕があるわけでは無いだろう。

 

 

 

「……以上が作戦の大筋となりますが、何か質問がある者は?」

 

 リュシアンさんが一通り作戦の要点を説明し、質問がないか問いかける。

 すると、幾つかの手が挙がる。

 

 

 先ず質問したのは、私も面識があるベテラン騎士……確かリュシアンさん直下の大隊長ラザロさん。

 かつての大戦では、父様とともにグラナ戦線を戦い抜いた猛者である。

 

「あ〜、その……ユリウス様。そのような出で立ちをされてると言う事は……御自ら出陣なさるおつもりで?」

 

「無論だ。何だ、ラザロ?余が出るのはおかしいか?(カティア)に手を出したヤツらは、この手で叩き潰さんと気がすまんわ」

 

「はぁ……陛下に参戦いただけるのであれば、皆心強いでしょうし士気も上がりましょう。ただ……」

 

「あきらめなさい、ラザロ。陛下がこうと言い出したら、誰にも抑えられませんよ」

 

「……何か余が我儘言ってるみたいではないか」

 

「……分かりました。まぁ、カティア様やテオフィルス様もなんですけどね……」

 

 あ、私も?

 確かに、国王や王女が前線に出張るのは、王族を護る立場にある騎士たちにとっては複雑な心境だろうけど……

 

「父様も私もテオも、今回は護るべき対象ではなく純粋な戦力と思ってください。敵の中に魔族が潜んでる可能性があるのですから……私達もいた方が良いでしょう」

 

「……はっ!出過ぎた真似をして申し訳ございません」

 

「いえ。あなたの懸念も当然のことと思いますよ。もちろんあなた達の力も頼りにしてますが、今回は迅速確実に遂行しなければならないので、使える戦力は使わなければ。……何ならエーデルワイスの父さん達も要請したいところだけど」

 

 

 流石にそれは……と、思っていたらリュシアンさんが言う。

 

「それならば、既に協力をお願いしております。というか、カティア様を狙っていた相手の情報を伝えないと、あとが怖そうだったので……。皆さん気合が入って()る気満々でしたよ」

 

 

 あ〜……

 まぁ、皆も来てくれるなら頼もしいと思うよ。

 

 でも、何だかみんな複雑そうな表情になってる。

 騎士のプライドとか、そういうのではなくて……慎重に爆発物を取り扱わなければ、みたいな。

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