【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十二幕 40 『隠し階段』

 

 合図の笛の音が鳴り響き、私達は潜伏場所から倉庫の入り口へ向かう。

 他の部隊も建物全体を取り囲むように展開して逃走経路を塞ぐ。

 

 倉庫の入口は幾つかあるようだが、一番大きな入り口の周囲に多くの騎士・兵士が集結。

 

「では、これより突入します。皆、準備は良いですね?中に入ったら速やかに状況確認、内部の人間は戦闘員・非戦闘員に関わらず複数人で当たって確保すること」

 

 指揮官のリュシアンさんが最終確認をとる。

 各隊員が頷くのを確認すると、彼は小さく、だが鋭く一声発する。

 

「作戦開始。総員突入せよ」

 

 

 その瞬間、各隊は一斉に動き出した。

 先ずは倉庫入り口の扉を、バーンッ!と勢い良く開いて、内部の様子をすぐさま確認する。

 それもほんの一瞬の事で、相手の待ち伏せがないことを確認した隊員たちが内部になだれ込む。

 

 私とテオ、リュシアンさんも騎士たちに続いて倉庫の中に入ると……中は特に荷物などはなく、広々とした空間が広がっていた。

 

 

「……誰も居ませんね」

 

「そうですね……隠れるような場所も無さそうですし」

 

「事前に作戦が漏れた可能性は?」

 

「無いとは言い切れませんが、低いと思いますね」

 

「まぁ、上屋はあくまでもダミーだろうから……」

 

 とは言え、誰かしら人がいると予想してたので、少々拍子抜けではあった。

 

 

「罠である可能性は?」

 

 ケイトリンがそう聞いてくる。

 彼女としては、アグレアス侯爵が味方というのは、半信半疑だろうから、当然湧き上がる疑問だろう。

 

 

「ん〜……私自身はアグレアス侯爵は疑ってないけど……もしかしたら、監視されてるのを承知でここを使ってるかもしれないからね。罠が張られていても不思議ではないかも」

 

 それ自体は可能性として作戦会議で言及されていたが……

 

「……もし、罠があるとしたら?」

 

「真正面から食い破るっ!!」

 

 ということだ。

 父様も同じ意見だよ!

 

「……本当に、父娘ですよね」

 

 リュシアンさんが苦笑しながらしみじみと呟く。

 ……何だか苦労をかけてるみたいでスミマセン。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、こうしていても仕方がない。先ずは隠し通路とやらを探し出そうか」

 

「そだね。アグレアス侯爵から聞いた話では……床の模様が一箇所だけ違う場所があるって」

 

 

 倉庫の床は20cm四方の正方形の石材が敷き詰められている。

 そこには、倉庫の床と言うには似つかわしくない複雑な文様が刻まれていた。

 滑り止めとかの意味合いなのかな?

 随分コストがかかってるね……

 

 

「いや〜、中々ホネですね……事前情報が無かったら発見できませんね、これは」

 

 だね。

 それと知らなければ自力での発見は、まず不可能だと思うよ。

 

 

 隊員たちと一緒に捜索を行う。

 すると、それほど時間もかからずに一人の騎士が報告を上げてきた。

 

「カティア様、あちらの方に……」

 

「発見した?」

 

「おそらくは」

 

 

 そうして案内されたのは、入り口から最も奥まった場所の一つだ。

 まぁ、何かを隠すならそうなるのは自然だね。

 

 騎士が指差す床を見ると……

 注意してみなければ殆ど周りの石材の文様と同じに見えるが、僅かな差異が確かに確認できた。

 

「うん。他の床とは違うみたいだね。どれどれ……」

 

 

 私はその石材の端の方を、グッと強く押してみる。

 すると、押した方とは反対側の端が浮き上がるので、そこに手を掛けて持ち上げる。

 すると、その下には深さ20cmほどの空間があり、クランク型のハンドルが現れた。

 

「これを回せば良いんだよね……」

 

 私はハンドルを掴んでクルクルと回す。

 

 すると、近くの床……幅は約2m、長さ約5m程に亘って、ハンドルの回転に合わせてゆっくりと沈み込んでいくではないか。

 

「おお〜……中々凝ってますね〜……」

 

 

 そして、床の石材の境目に合わせて段々状に沈んで……最終的にそれは階段となった。

 

 階段の先はかなり深くまで続いていて、暗く見通すことはできない。

 突然敵と鉢合わせになる可能性もある。

 慎重に進まなければならないだろう。

 

 

 ここから先は全員で突入する訳ではなく、半分程度はバックアップ要員として地上待機してもらうことになる。

 もちろん私やテオは突入組だ。

 

 

「……さて、いよいよだね。皆準備は良い?」

 

 私が確認すると、突入組のメンバーたちは神妙な面持ちで頷いた。

 

 

「よし。それじゃあ、行こうか!」

 

 

 

 こうして、私達は『黒爪』の拠点とされる地下施設へと潜って行くのであった。

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