【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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幕間
幕間22 『ステラ』


 

 今日は順延となっていた対抗戦最終日が行われる。

 

 

 あの王都争乱の日、女子武術対抗戦は決勝リーグが行われ……私達のクラスの代表であるルシェーラと、3年1組の昨年優勝者であるリーン先輩が、それぞれ一勝を上げたところで中断。

 今日の試合で勝ったほうが優勝となる。

 

 一方の男子も中断していたけど……3年1組、やはり昨年優勝者であるブレイデン先輩が、フリード君とガエル君を下して二勝、既に優勝を決めていた。

 だから今日は二位決定戦という事になる。

 

 

 魔導対抗戦はレティが決勝リーグに進出を決めていた。

 初戦から圧倒的な飽和攻撃に抗える者はなく……来年は出場禁止になるのでは?と囁かれているのよね……

 そして1年2組の代表であるメリエルも決勝リーグ進出を果たしている。

 マギ・ボール初戦敗退の悔しさもあってか、かなり気合が入っていたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 そうして対抗戦最終日が始まって……

 

 

 女子武術対抗戦は、ルシェーラがリーン先輩を下して全勝優勝を果たした。

 

 リーン先輩は初戦で戦ったドロテア先輩よりも強く、かなりの激戦となったんだけど……ついに本気を出したルシェーラには一歩及ばず。

 だけど今大会屈指の好カードは、一番の盛り上がりを見せたんじゃないかしら?

 

 

 

 

 魔導対抗戦はレティとメリエルがそれぞれ一勝しての優勝決定戦となった。

 

 これまで一歩も動かずに勝利を収めてきたレティだったけど、流石に同レベルの実力を持つメリエル相手では同じ手は通用しなかった。

 

 レティの初撃飽和攻撃を対抗魔法で凌いだメリエルは即座に反撃を開始。

 そこから息をもつかせぬ魔法戦が繰り広げられる。

 威力と手数で力押しするレティと、的確な防御と正確な狙いの反撃主体で戦うメリエル。

 およそ1年生同士とは思えないハイレベルな戦いに会場は大いに盛り上がりを見せた。

 

 しかし決着はあっさりしたものだった。

 メリエルの反撃を躱そうとしたレティが足を取られて転倒、そこに追撃が決まって結界を破壊して終了。

 

 レティ曰く、戦闘はもともと得意ではないと言っていたけど……確かに立ち回りを見るとその通りだったみたいね。

 メリエルは私達と一緒にダンジョンに潜って実戦経験も積んでいたし……

 

 ということで、魔導対抗戦はメリエルが優勝。

 そしてレティが2位と言う結果に終った。

 

 

 

 

 

 

 

 そして男子武術対抗戦の最後の試合。

 もう優勝者は決まって、二位決定戦になるのだけど……

 今年の対抗戦の最後の試合であり、全校生徒が観戦する中で行われるという事もあって、大きな盛り上がりを見せる。

 

 

 

 

 

 

「よぉ、ガエル。お前とは結構手合わせしてるけどよ……今、何勝何敗だったっけ?」

 

「……確か、5勝5敗1分だ」

 

「うしっ!!白黒つけるにはお誂え向きな舞台じゃねーか」

 

「うむ」

 

 

 武舞台の上に上がった二人はそんな会話をしている。

 二人はタイプがまるで違うように見えるのだけど、ユーグ君も含めてよく3人一緒にいるのを見かけるので、かなり気の合う友人なんでしょうね。

 

 

 

 

 私は祈るような気持ちでフリード君を見る。

 そして、心のなかで「頑張って」と呟く。

 

 

 試合開始直前で、先程までの気楽な様子から一変して真剣な表情となる。

 それを見た私の心臓は、ドキッ…と早鐘を打つ。

 

 

 あぁ……やっぱり、私は彼を好きになったんだ。

 

 

 少しずつ惹かれていたのは自覚があった。

 普段のおちゃらけた姿と、真剣な表情のギャップに惹き込まれていた。

 

 

 そして……それが決定的なものとなったのは、つい先日の戦いのとき。

 

 

 調律師に狙われた私は、彼女の異能の力で身動きすることもできず……迫りくる攻撃魔法に死を覚悟して目を閉じてしまった。

 

 だけど次の瞬間、気が付けばフリード君に抱きかかえられていて……その後も、彼は私を抱きしめながら自分を盾にしてまで護ろうとしてくれた。

 

 ドキドキが止まらなかった。

 

 生まれて初めて恋を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合が始まった。

 

 全てを飲み込むような攻撃を繰り出すガエル君に、スピードとテクニックで対抗する彼。

 実力伯仲の二人の戦いに会場は大きな盛り上がりを見せる。

 

 

 

 私は、やはり祈るような気持ちで……

 

「ほら、ステラ!!大きな声で応援しよう!!」

 

「そうですわよ!私達のクラス優勝は彼にかかってますわ!!」

 

 カティアとルシェーラが、そう言ってきた。

 

 ……多分、彼女たちは私の気持ちに気が付いてるわね。

 だからきっと、後押しをしてくれようとしているのかも知れない。

 

 

 ……そうね。

 声を届けなければ、気持ちは伝わらないものね。

 

 私は両手を口に添えて、大きく息を吸い込んで……

 

 

「頑張ってーーーっっ!!フリード君っっ!!」

 

 

 こんなに大きな声を出したのは、生まれて初めて……というくらいの大きな声援を彼に送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この国に来て良かった。

 

 かつて我がアダレット王家は、取り返しのつかない過ちを犯した。

 私は半ば人質のような身として、この国にやってきた。

 

 だけど、ユリウス陛下もカーシャ様も優しくしてくださって……

 そして、カティアとの出会いで私の人生は一変した。

 

 多くのかけがえのない出会いがあり、初めての恋を知り……私の人生は今、最も輝いていると思う。

 

 

 だけど。

 そんなかけがえのないものを踏みにじろうとする者たちがいる。

 平和な世の中を乱そうとする者たちがいる。

 かつて、アダレットも蝕んだ毒牙が再び私達に向けられようとしている。

 

 

 そうした者たちとカティアは戦っている。

 

 ならば、私も……大切なものを守るために、微力ながらでも力を尽くしたい。

 

 改めて、そう思うのだった。

 

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