【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十三幕 30 『空を征く』

 

「ロコちゃんたち、凄いね〜。こんなに沢山の人を乗せて……」

 

 

 

 現在、飛竜のロコちゃんを含めた四体の飛竜が、私たちを乗せた人員輸送用の飛竜籠を持って力強く大空を飛んでいる。

 

 籠には、私、テオ、メリエルちゃん、ステラ、ジークリンデ王女、イスファハン王子の6人が乗っている。

 籠と言っても大きな箱のようなもので、中は普通の部屋になってる。

 6人だと少々手狭に感じるけど、移動手段としては中々に快適な方だろう。

 

 

 

 

 

 あのあと……私達が神殿から王城に戻ると、直ぐに緊急会議が開かれた。

 その時にはもう、ウィラーで何かが起こったと言う情報は共有されており、早急な対応策が話し合われた。

 

 その結果……こうして私達がウィラーに先行して向かうことになったのだ。

 なぜこの人選かと言えば……

 

 私とメリエルちゃんはリナ姉さんから名指しでお願いされたから。

 ようは神託なので、誰であれ異論を挟む余地は無い。

 そしてテオは、私一人で危険な場所に向かわせるなんて選択肢は持ち得ない。

 

 

 ジークリンデ王女は……側近の人たちには反対されていたが、強硬に主張して同行を決めた。

 ウィラーとデルフィアは唇歯輔車の間柄というのもあるし、そうでなくとも親しい友人を放っておく事など出来ない…と。

 

 

 そしてイスファハン王子だが……

 

「神の思し召しということであれば、(シギル)持ちの王族としては行かなければな」

 

 と言い、更にステラも……

 

「ならば私もですね」

 

 と言って同行を表明したのだった。

 

 

 

 

 ……そう、今回のパーティーは全員が(シギル)持ちなのだ。

 エメリール、ディザール、リヴェティアラ、エメリナ、パティエット、エメリリア、オキュパロス……6人で7つの(シギル)

 こんな事は歴史上でもそうそう無かったんじゃないかな?

 

 

 当然ながら、王族ばかりでウィラーに向かうことについては反対の声が挙がり、私達が行くにしても軍を編成してから……と尤もな意見が出た。

 だが、こうしている間にもウィラーの状況は悪化するかもしれない事と、『神の思し召し』ということで押し切った。

 ……リナ姉さんが指名したのは私だけなんだけど、それは言わないでおいた。

 

 もちろん先行する私達以外にも早急に部隊編成して、支援軍を派遣することになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかしテオ殿、こんな時に不謹慎かもしれんが……美しい女性たちに囲まれて空の旅というのは、中々良いものだと思わないか?」

 

「……俺にはカティアがいるので」

 

「ははは!まぁ、婚約者の手前そう言うしかないか」

 

 ……コホン。

 

 まぁ、今から気を張っても仕方がない。

 私達の緊張を和らげる意図もあるのだろう。

 ……殆ど素のような気もしないでもないけど。

 

 

「ふむ……『美しい女性』には私も入ってるのかな?」

 

「もちろん。ジークリンデ様はお美しい女性ですよ」

 

 ん〜……この二人って似たとこあるよね。

 女性へのアプローチが積極的なところが……

 

 

「ね〜ね〜、私は?」

 

「ん?メリエルちゃんか?そうだな〜、あと数年後なら……」

 

「……イスファハン王子、メリエルちゃんは私と同い年です。成人してますよ」

 

 なんか勘違いしてそうなのでフォローしておく。

 

 

「え゛?……てっきり10〜12歳くらいかと……」

 

「なにお〜っ!?」

 

 やっぱりなぁ……

 

 まぁ成人と言っても年齢的にはまだ成長の余地はあるからね。

 もちろん私もだよ!

 

 

 

 こうしてウィラーに向かっていても、メリエルちゃんは普段と変わらない様子だ。

 内心で心配は尽きないのだろうけど、表向きは悲壮感は感じられない。

 今はやるべきことがあるから、それが支えになっているはず。

 

 

 イスファハン王子が話題を振ったのも、変に気を遣うよりは良いとの判断だろう。

 ……殆ど素のような気もしないでもないけど(二回目)。

 

 

 

「ステラ様は誰か良い人はいるのかな?確か婚約者はいらっしゃらなかったと思いましたが」

 

 おっと、今度はジークリンデ王女がステラに質問してる。

 ……まさか口説く気なんだろうか?

 

 

「わ、私ですか?いえ、特には……」

 

「あれ?ステラはフリード君が好きなんでしょ?」

 

「ちょっ!?メリエルっ!?」

 

 メリエルちゃん、あっさり暴露。

 慌てるステラの様子に心底不思議そうにしているあたり、あれは無自覚だね。

 

 

「ほう、やはり好いた男性がいるのですね。ステラ様のように淑やかで美しい女性に懸想されるなど、羨ましいな」

 

 ……やはり口説く気だったっぽい。

 イスファハン王子と言い、節操がないねぇ……

 

 

「い、いえ、あの、その……」

 

 あわあわ……と慌てふためくステラさん、カワユス。

 

 

「はぁ〜、ステラ王女も先約済みなのかぁ〜」

 

「イスファハン王子は、エフィメラ皇女と随分熱心に話をしていたじゃないか?」

 

 嘆くフリをするイスファハン王子にテオが突っ込む。

 私も見たけど、エフィたちには中々声を掛けづらい雰囲気の中で、彼が率先して話しかけてくれたから感謝してるんだよね。

 

 

「あぁ、エフィメラ様も中々魅力的な人だったな。グラナの問題が片付くなら……真剣に考えたいところだ」

 

 色々と思惑はあるのだろうけど……基本的にこの人は真面目で、言動ほどには不誠実な訳でもない。

 

 そういう未来に思いを馳せるのも、悪い気はしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなふうに各国の王族の交流を深めながら、空の旅はなおも続くのだった。

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