【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十三幕 39 『宿場の朝』

 

 結局、宿場に着いたのが夜遅くだったのと、私達も疲れていたので、詳しい話は明朝に……と言う事になった。

 

 因みに、貴賓室を用意すると言われたのだけど、それは遠慮しておいた。

 流石に深夜に来て準備させるのも気が引けたので……時間もかかるだろうし。

 

 『王族の方々を普通の部屋にお泊めするなど、そんな畏れ多い事など出来ません!』なんて言われたけど、すぐに休みたいから……と、何とか説き伏せた。

 まぁ、それならせめて……と言って、一般向けの客室の中でも最上級の部屋を案内されたのだけど。

 二人部屋なのは変わらないので、部屋割は最初に決めた通り。

 

 この宿場には避難してきた人たちがかなり滞在してるらしいのだけど、宿のキャパとしては十分だったとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌早朝。

 宿のロビーに集まって、アランさんから話を聞くことに。

 

 

 

「事の発端は数日前……森都モリ=ノーイエの周辺部の森で魔物の目撃情報が相次いだ事に端を発します」

 

「魔物……それは珍しいことなのですか?」

 

「もちろんウィラー大森林には多くの魔物が生息してますから、それ自体は珍しい事ではありません。しかし……神狼たちがいるお陰で、魔物が人の住む領域の近くまでやってくるのは稀な事です」

 

 なるほど……普段にない事象ということであれば、それは見過ごしてはならない異常事態ということなのだろう。

 

 

「神狼たちに何かあったのか、あるいは神狼たちでも抑えきれない程の何かがあるのか……軍は早急に調査を行うべく動き始めました」

 

 うん、中々動きが早いね。

 グラナが不穏な動きを見せてるということもあって、普段から警戒してるのだろう。

 

 

「それで……魔物とともに行動する武装集団を発見したのです」

 

「それは、魔王の……?」

 

 そのあたりは聖都でも聞いた話だ。

 経緯はより詳しいが新しい情報ではない。

 

 

「それは私には断定できないのですが、軍上層部はそのように判断したのだと思います。直ちに軍議が開かれ……その結果、『大森林結界』を発動して侵攻に備える、と。私は街道を巡って警告・避難誘導の任についたので、それ以上の詳しい話は分からないのです」

 

 

 ふむ……やはりこれまでに聞いた話と、そう変わらないね。

 だけど、何点か確認したいことがあるので質問させてもらおう。

 

 

「その武装集団というのは、森都までどれくらいの距離まで迫ってたのです?規模は?」

 

「規模は正確なところは分かりませんが……目撃されたのは、この宿場の次の宿場の近辺で……目撃したのは地元の狩人とのことです。街道から遠く離れていたので進軍速度はかなりゆっくりだったようです」

 

 それなら、まだ望みはある……か?

 今もなお森の中を彷徨っているのだとしたら、森都はまだ攻撃されてない?

 しかし、軍勢の規模が分からないのは……森林地帯を侵攻するのであれば、それほど大規模な軍ではないとは思うが、魔物の存在があるので楽観視は出来ないだろう。

 

 

「『大森林結界』と言うのはどのようなものなんです?」

 

「又聞きですが……なんでも、街道を隠蔽し『迷いの森』と化す秘術であり、(シギル)を持った王族…つまりメリエナ様だけが発動できるものだとか」

 

 

「そうか、それで……」

 

「カティア、何か分かったの?」

 

「多分、その『大森林結界』を発動するために、メリエナさんは(シギル)を全開放したんじゃないかな?」

 

「じゃあ、お姉ちゃんは……」

 

「リナ姉さんの話だとリスクはあるけど……十分望みはある」

 

「うん!でも、お姉ちゃんの事もあるけど……森都に迫っていたと言う軍勢もどうにかしないと」

 

「奴らが森で迷ってるうちに追いついておきたいな」

 

「……ゲリラ戦を仕掛ける?」

 

「規模が分からないからな。無駄な戦闘は避けて大将首を狙えれば良いのだが」

 

 

 そんなふうに今後の話を始める私達に、不思議そうな顔をしてアランさんが質問してくる。

 

 

「そもそもなんですが……皆さんはどうやってこの宿場まで来られたのです?今は街道も消え……何の目印もなく、方向感覚も距離感も狂わされる迷いの森を一体どうやって……」

 

 それは不思議だろうね。

 長い時間をかけてマッピングしながら攻略すればあるいは…だけど、結界が発動してからまだほんの数日だ。

 そんな短時間でやって来れるのは普通だったら考えにくいことだろう。

 

 

「そりゃあ、アンタの国の王女様が凄え力を持ってるからな」

 

「メリエル様が……?」

 

 

 なおも不思議そうなアランさんだが、詳しい話をするのは控えておいた。

 ユニークスキルの情報なんて、おいそれと吹聴しないほうが良いだろうから。

 

 

「だがどうする?また夜まで待つのか?」

 

「夜光樹が目印になるなら、昼間でも分かるんじゃないか?」

 

 確かに、光ってなくても夜光樹と分かるなら、それを辿れば……と思ったのだけど。

 

「う〜ん……」

 

 メリエルちゃんは眉をひそめて唸っている。

 

「どうしたの?」

 

「夜光樹なんだけど……実は見た目が殆ど同じだけど光は出さない『夜想樹』というのがあってね……生息地も同じ」

 

「なるほど……ということは夜まで待つしかないのか。だが、どうにも時間が惜しいな……」

 

「テオの言う通りだね……あ、もしかしたらロビィなら分かるんじゃない?」

 

 昨日の夜も、まるで私達を道案内するかのような感じだったし。

 試しに聞いて(?)みるのもアリかも?

 

 

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