【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十三幕 40 『森都へ』

 

「さて、ロビィはどこにいるのかな……?」

 

 ロビィを探すべく宿の外に出る。

 

 昨夜別れ際に『外で待ってる』と言ってたから、近くにいるはず。

 ……いや、メリエルちゃんの通訳によれば、なんだけど。

 

 

『ウォンッ!』

 

「あ、ロビィいたよ!」

 

 どうやら先に私達を見つけたらしいロビィが、一声吠えて居場所を知らせてくれた。

 

 

「ロビィ、お待たせ〜」

 

『ウォウッ!』

 

 尻尾を振って嬉しそうにメリエルちゃんにすり寄って来る。

 うむ、眼福。

 

 

「ねぇロビィ、あなた森都……人がたくさん住んでる場所って分からない?」

 

『ワウ?ウ〜……ウォンッ!』

 

「あ、分かるんだね!案内してもらっても良いかな?」

 

『ウォンッ!!』

 

 ぴんっ、と尻尾を立てて応えるロビィ。

 任せろ!って言ったんだね、きっと。

 

 ロビィに案内してもらえるなら夜を待たずに出発する事が出来る。

 順調に行けば今日中に森都に辿り着ける……か?

 

 

「では、善は急げだな」

 

「そうですね。早速出発の準備をしましょう」

 

 

 ということで、一旦宿に戻って出発の準備をすることに。

 

 そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありません、メリエル様。我々はこの宿場で民間人の保護にあたるように言われているので……」

 

 出発の見送りに出てくれたアランさんと、彼と同じく任務に当たっていた兵士達が申し訳無さそうに言う。

 私達に同行出来ない事を気にしてるのだろう。

 まぁ、彼らが任務外の行動を取るわけには行かないだろうし、判断を下せるような上位の士官もいないみたいだから仕方ない。

 もともと同行をお願いするつもりも無かったし。

 

「ううん、あなた達はしっかり自分の任務を全うして。森都の事は私達に任せて!」

 

 

 メリエルちゃんが安心させるように力強く宣言する。

 ここ数日で彼女は本当に強くなったと思う。

 

 以前は『王女らしくない』なんて自分で言ってたけど、今のメリエルちゃんは王族としての威厳が滲み出ているように見えるよ。

 

「メリエル……変わったわね」

 

 ステラもそれを感じ取ったのか、眩しそうに見つめていた。

 

 

 

「よし、行こうぜ」

 

「ロビィ、お願いね!!」

 

『ウォンッ!!』

 

 

 こうして私達は再び森林へと足を踏み出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー ウィラー大森林 某所 ーーーー

 

 

「『薬師』殿よ、本当に道が分かっているのか?」

 

「ひょひょ……なんじゃ、疑っておるのか?なぁに心配は無用じゃよ」

 

 ブレイグ将軍の問に、薬師は相変わらず飄々として答える。

 

 彼らは『大森林結界』の発動によって自分たちの現在地や目標としていた森都の方角を見失い、行軍を一時中断せざるを得なかったのだが……

 薬師の『ある秘策』によって再び進軍を開始していた。

 

 

「それよりも……どうするのじゃ?本来ならば隠密行動による奇襲攻撃を前提とした電撃作戦だったはずじゃろう?」

 

「……確かに、この森の異変がウィラーが行った何らかの策なのであれば、既に我らの存在は気取られていると言う事だろう」

 

「じゃな。それで?」

 

「やることは変わらんよ。こちらも隠密行動ゆえ手勢はそれほど多くないが……ウィラーも戦力の多くを国境付近に割いてるはず。森都の守りはそれほどではないだろう。これはおそらく援軍が来るまでの時間稼ぎ。だったらそれよりも早く森都を陥とす」

 

「ふむ……」

 

「厳しい戦いになるのは避けられないだろうが、こちらには切り札もある。そうだろう?」

 

 そう言うブレイグの表情は、何故か忌々しげだ。

 その『切り札』を快く思っていないのだろう。

 そして、ブレイグの言葉を受けた薬師は、彼とは正反対のご機嫌な様子で答える。

 

「ひょひょ……そうじゃのう、そうじゃのう。ならば、早く森都に辿り着くよう、しっかり道案内してもらわねば。のう、森の番人よ?」

 

『…………』

 

 薬師に声をかけられた存在は無言を貫く。

 ……いや、その瞳には意志の光が見えず、答えようがなかったと言うべきか。

 

 

 

 ブレイグは未だ疑心暗鬼であったが……彼の軍勢はゆっくりと、しかし着実に森都へと近づいているのであった。

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