【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う! 作:O.T.I
「さて……とにかく今は、ウィラーに入り込んだネズミを追い出さないとね」
メリアさんはまるで何でもないような口調でそう言う。
そこには人間を超越した者の余裕が感じられた。
だけど、そうは言っても……そう簡単に事は運ばないだろう。
グラナの戦力がどれくらい入り込んでいるのか?
魔族は来ているのか?
どの辺りまで侵攻しているのか?
そのあたりの情報が欲しいところだ。
私はそう思って、現状について質問することにした。
「メリアさん、今どう言う状況か分かります?」
「そうね……ざっくりとした状況なら分かるわ。敵と思しき勢力は迷いの森に囚われて暫くは身動が取れなかったみたいだけど……今は真っ直ぐに森都に向かっているわね」
「!?……一体どうやって?」
「……レヴィの
レヴィ……彼女の相棒だったルナ・ウルフの名だ。
その眷族とは……つまり、この森の番人である神狼の一族のことだろう。
メリアさんの言葉には怒りの色が滲む。
「森都では襲撃に備えてるみたいだけど……ちょっと手薄なのよね。だからこそ大森林結界を発動したのだろうけど」
ウィラー王国の戦力の多くは、グラナとの国境付近に配置されている。
そもそも、ウィラー大森林が天然要塞みたいなものだから……もともと森都にはそれほど戦力が集中していないというのもある。
だが……
最近のイスパルやレーヴェラントで起きた事件を踏まえて防衛強化は検討されつつあったみたいだけど、十分な体制強化が行われる前に今回の事件が起きてしまった。
「このまま行けば……どんなに急いだとしても、カティアさんたちよりも先に奴らが森都に到達するわね」
「そんな……」
私達は人数こそ少ないものの、全員が
大規模戦闘であっても強力な戦力になれると言う自負がある。
私は[絶唱]のスキルで貢献できるだろうし……
何とか私達が到着するまで持ちこたえて欲しいところだが……
「私も黙って見ている訳ではないわ。タイミングは微妙だけど……援軍を森都に向かわせているところよ」
「援軍……?」
「ええ。私の……森の仲間たちがね」
メリアさんの森の仲間たち……凄く頼もしそうだ。
「カティアちゃん、私も力を貸すわ」
「え!?リナ姉さんも?」
「うん。私は戦う力はそれ程ではないのだけど……生命神としての私の力が必要な時、宝玉を掲げて私を呼んでね」
宝玉って、リナ姉さんに貰ったアレか。
さっきも光を放ってリナ姉さんがここに現れたんだっけ。
目印みたいなもの…って言ってたけど、何か召喚アイテムみたい。
「リナちゃん……良いの?あなたたち神は、もう地上には……」
「神々の間でも話し合った事よ。いまこの時代で起きている様々な事件は、神々も無関係ではない。だから、今回の件に限らず必要があれば介入する……ってね」
「そうなの……それは頼もしいわね」
「分かったよ。リナ姉さんの力が必要だと思ったら、助けてもらうね」
「うん、任せて!」
出来ることならリナ姉さんの力が必要となる事態にならなければ良いのだけど……
とにかく、皆が持てる力を合わせて、この危機を乗り越えなければならない。
「さて、そろそろ一旦お別れかしらね……他に何か聞きたいことはある?」
ここに来てからかなり話し込んで結構時間が経った気はするけど……現実世界では一瞬のことなんだよね。
でも、今はあまり長居してもしょうがない。
問題が片付いたらリュートの件でまた会う事になるのだし。
でも、大事な事を聞いておかなくては。
「あと一つだけ……メリエナ王女が無事か、分かりませんか?」
「メリエナね……おそらく、命を落としたりはしていないとは思う。結界を発動させるのに
「発動するのに私の
「そう。賢者リュートから色々とダンジョンに関する知識を教えてもらってね……国防に応用できると思って研究の末に編み出したのよ。仮のダンジョン・コアに命を与えると発動するのよ」
なるほど……リナ姉さんは生命を司る神だ。
だから
だけど、無から命を生み出すなんて……それこそ神の御業。
そんな力を使えば、
「
まだメリエナさんの安否は完全に大丈夫だとは断定出来ないけど……十分望みがあると分かっただけでも良かったかな?