【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

531 / 664
第十三幕 56 『森都防衛戦10 決着?』

 

 さて……

 ブレイグ将軍との決着を付けるため、戦いを受けて立つ事にしたものの。

 

 もう私の(シギル)の発動限界は近い。

 あっちの[鬼神降臨]がどれくらい持続出来るのか分からないけど……何れにせよ短期決戦を狙うしかないだろう。

 

 ここまでの攻防を見る限り互角……

 いや、先程はメリエルちゃんが守ってくれなかったら私の方がダメージを負っていたはず。

 

 力に力で対抗していたのでは先程と同じだ。

 

 

 だからと言って……魔法を織り交ぜるのもイメージが湧いてこない。

 上級魔法は詠唱の暇がないし、無詠唱で放てる程度の魔法が通じるとも思えない。

 

 

 

 そこまで考えた私は……

 (シギル)の発動を止め、リヴェラを腕輪状態に戻す。

 

 

「……?」

 

 ともすれば奇妙とも言える私の行動に、ブレイグ将軍は眉をひそめる。

 少し怒っているようにも見えるけど、別に勝負を投げたわけでも相手を馬鹿にしてるわけでもない。

 

 

 これは私なりの覚悟。

 背水の陣とも言う。

 

 なまじ力や武器に頼っていては、この強敵には勝てない。

 そう、判断したのだ。

 

 かつてティダ兄や父様と戦った時のように……自分自身を追い込んで、極限まで感覚を研ぎ澄ます。

 そして、ただ無心となって最高の技を繰り出す。

 それこそが武の極み。

 

 

「……」

 

 

 ブレイグ将軍も私の覚悟を感じとったのだろう。

 たぶん、一撃で勝敗が決するであろうことも。

 

 

 無言で大剣を構え直す将軍。

 

 対する私は、余分な力を抜いて特に構えを取らずに立つ。

 一見して唯の棒立ちにしか見えないだろう。

 

 

 緊張感が高まるとともに、私の意識から周囲の雑音が消え去っていく。

 今はただ、目の前の相手に集中するのみ。

 

 

 

 そして……

 

 

 

 ブレイグ将軍の身体から、これまでで最も強烈な闘気が噴き上がる。

 

 雄叫びを上げ、石畳を割り砕きながら突進を始める。

 

 私の数メートル手前で大剣を大きく振りかぶる。

 

 渾身の力でもって大剣が振り下ろされる。

 

 

 

 それらの挙動の一つ一つが、まるで全てスローモーションのように私の目に映った。

 

 

 大剣が私の右の肩口から袈裟に斬り下ろされようする、その刹那。

 私は、ふわりと身を翻して大剣を躱す。

 本当に文字通りの紙一重。

 

 そして、ブレイグ将軍の腕を絡め取って、身体全体を使って巻き取るように……

 

 

「せぃやぁーーーーーっっっ!!!」

 

 

 将軍の突進と斬撃の勢いを利用しながら、私自身の力も加えて加速させて地面に叩きつける!!

 

 この揺るぎない大地こそが私の武器だよ!!

 

 

 ズドォーーーンッッッ!!!

 

 

「ガハァッッ!!?」

 

 

 まともに受け身もとれず全身を地面に打ち付けるブレイグ将軍。

 自身の全体重と攻撃の勢い、そこに私の力も加わったのだ。

 石畳が粉々に砕け散るほどの衝撃……いかに彼と言えどもただではすまないだろう。

 

 

 

「ぐっ……う……!!」

 

「勝負……有りですね?」

 

 地面に仰向けに倒れたまま、身動きが出来ないブレイグ将軍。

 命は取りとめたものの、流石にもう戦闘不能だろう。

 

 

「ああ……完敗だ。…………もはや、これまで。殺せ」

 

「え?イヤですよ。何で勝敗が決まったのに殺さなければならないんですか」

 

 何で私がそんなことしなければならないのさ。

 

 

「将として……戦いに敗れておめおめと生き長らえるなど恥でしかない。死んだ部下にも申し訳がたたぬ」

 

 ……それは違うんじゃないかな。

 

「生きて責任を取るのも将の役割なんじゃないですか?早々にご退場なんて、そんな楽はさせられないです」

 

 私がそう言うと、ブレイグ将軍は一瞬呆気にとられたような表情になり……そして、憑き物が落ちたように穏やかな表情となる。

 

 

「……ふ。ふはは……!これは、手厳しいな。いや、全くその通りだ。俺は生き残った兵のために、責任を取らねばならぬのだな……」

 

「ええ」

 

 

 彼や生き残ったグラナ兵の処遇はウィラーが決めることだけど……

 エフィとの約束もあるし、口添えはするつもりだ。

 元々は国際会議でも話し合われた内容でもある。

 

 

 そう考えながら、私はブレイグ将軍に手を差し出そうとするが……

 

 

 

 

 

 

 

 その時、不穏な気配を感じ、私は慌ててそちらを振り向く!

 

 

「ひょひょひょ……ブレイグ将軍、困りますなぁ?お主たちの役割は死ぬまで戦うこと。いや、死んでも戦うことじゃよ?」

 

「誰!?」

 

 突如として響いたその声を辿った先。

 そこにいたのは……

 フードを目深に被り、ローブを纏った怪しげな人物。

 

 

 

「ひょひょ……お初にお目にかかるのぉ、お嬢さん」

 

 

 この気配……魔族か!!

 

 

 

 

 

 

 

 決着がついたかのように見えた戦いだが……どうやらここからが本番なのかも知れない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。