【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十四幕 25 『神姫の戦装束』

 

 神界から戻ってきた私達。

 いつもの通り現実世界では殆ど時間は経過していないはずだ。

 

 今回初めて神界に招かれた三人は、何が起きたのか一瞬では理解できないようで、キョロキョロと周囲を見回している。

 

 

「夢だった……わけではないですわよね?」

 

「夢じゃないよ。この現実世界では一瞬の出来事だったけど」

 

「まさかこんな体験が出来るとはね。カティアと一緒だと退屈しなくて良いわね」 

 

「シフィル……あなた本当に楽しそうよね」

 

 確かに、彼女らしいと思った。

 

 そして……私の前世の話を聞いても、みんな私に対する態度が変わらないことに安心する。

 もちろん、そうだと信じてはいたのだけど、やはり不安な気持ちもあったから……

 

 

 

 

 

 

 

「さて、じゃあそろそろ行こうか……」

 

「あ、ちょっと待ってカティアちゃん」

 

 リル姉さんへの報告も終わったし、神殿から引き上げようとしたのだが、リナ姉さんから待ったがかかる。

 はて?何だろうか……?

 

 

「実はね、昨日話をつけてるんだけど……あ、丁度こっちに来るね」

 

 リナ姉さんが何か言いかけた時、誰かが私達に近づいてくる気配がした。

 

 現れたのは神殿関係者らしき人物。

 たっぷりとした髭をたくわえた老齢の男性。

 威厳あふれる佇まいと立派な法衣から察するに、相当高位の人であると思われる。

 

 

「あ、大司教さま……?」

 

「うん?その声は……もしかしてメリエル嬢ちゃんか。変装しておるのだな」

 

「はい。ええと……もしかしてエメリナ様にご用でしょうか?」

 

「うむ。……昨日に引き続き、ようこそおいでくださいました、エメリナ様」

 

 

 そう言って大司教猊下はリナ姉さんに向き直って挨拶する。

 周りの人に聞こえないように、声を抑えて。

 

 リナ姉さんも変装しているけど、昨日と同じ容姿なので神殿関係者ならすぐ分かるのだろう。

 

 

「こんにちは、昨日頼んでおいた件は……」

 

「ええ。ご用意させていただいております。ここではなんですから……応接室へ案内いたします。皆様、こちらへどうぞ」

 

 

 そして私達は大司教猊下に案内され、礼拝堂から別室へと通されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて……エメリナ様からご依頼いただきましたモノはこちらでございます」

 

 

 応接室に通された私達。

 大司教猊下が差し出してきたのは……別の神官が持ってきた大きな桐箱。

 何というか、衣類の収納ケースみたいな感じだ。

 

 

「リナ姉さん……これは?」

 

「えへへ〜……あなたのその腕輪とか、カイト君の剣と同じモノよ」

 

 私やテオの……って!

 

 

「まさか……リナ姉さんの神器!?」

 

「いえす!元々はメリアに渡したモノなんだけど……あの娘に所在を聞いたら、神殿に奉納したって聞いたから。昨日、大司教さんに頼んでおいたんだ」

 

 なんと……

 じゃあ、リナ姉さんが神殿に用事があると言ってたのは、コレのことだったのか。

 

「十二神に認められた神子であるカティア様が使われるのであれば……我々も代々護り受け継いできた甲斐があると言うものですな」

 

「え……?私に?だって……それはウィラーの宝物なのでは?私よりも、メリエルちゃんが使うべきでは……」

 

 何か既に私が使う事になってるけど、リナ姉さんの神器で、ウィラー初代女王であるメリアさんが使っていたものなら……神殿に所蔵されていたとは言え、ウィラー王家縁の品だろう。

 

 

「まぁ、誰が使うかはあなた達で決めてもらって良いけどさ。そうね……このメンバーなら、カティアちゃんかルシェーラちゃん、シフィルちゃんかしらね。まぁ、ともかく開けて見てみなさいな」

 

 

 そう促されて、箱の蓋に手をかける。

 

 私かルシェーラ、シフィルが使い手として相応しいもの……

 何だろう?

 

 そして蓋を開けると……

 

 

「これは……ドレス?……いや、鎧?」

 

 綺麗に畳まれていたそれを取り出してみると……これは、アレだ。

 いわゆるドレスアーマーと言うヤツだ。

 

 気品あふれる白いドレスと、光の加減で虹色に煌めく金属製の軽鎧を組み合わせたもの。

 輝くばかりの神々しさに、思わず息を呑む。

 

 

「どお?これは『神姫の戦装束』と言うの。物理・魔法防御の高さは言うまでもなく、自動治癒や身体能力向上の術式が組み込まれてるわ。もちろん、自動修復、防汚防臭、自動サイズ調整も完備よ!」

 

 ひえ〜……正に神器と呼ぶのに相応しいものだよ。

 

 

「こ、これ……誰が使おうか……?」

 

「カティアさんしかいないでしょう。ねぇ、シフィルさん?」

 

「だねぇ……。ちょっと国宝級の服なんて……王女様を差し置いて着れないわよ」

 

「め、メリエルちゃんは?」

 

「私は後衛職だから……」

 

 

 ほ、本当に私がもらっていいのかな……

 

 

「はい、決まりね!じゃあ早速着替えようか!」

 

「ええ!?ここで着替えてくの!?」

 

「だって、見てみたいもん。ねえ、皆?」

 

「「「は〜い!」」」

 

 ノリが良いな!?

 

 

「というわけで、大司教さんとカイト君は外で待っててね〜」

 

 と、リナ姉さんは男性二人を部屋から追い出す。

 

 そして私は半ば無理やり皆に着替えさせられるのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお……!素晴らしいよ、カティアちゃん!想像以上だったわ!」

 

「本当に……伝説の姫騎士と言った感じですわね」

 

「そ、そお?……派手すぎない?」

 

 比較的シンプルなデザインだし、ゴテゴテした飾りも無いのだけど……

 神器というだけあって物凄いオーラが出てる気がする。

 

「すごくカッコイイよ!カティア!」

 

「気品と凛々しさと可愛らしさが同居する絶妙なデザイン……魔導具としての性能も超一級……素晴らしいわ……」

 

「……シフィル帰ってきなさい。でも、本当に素敵よ、カティア」

 

 

 皆手放しに褒めてくれる。

 そして……

 

 

「ど、どうかな……テオ?」

 

「あ、ああ……凄く、良いな。見惚れてしまった」

 

 ……えへ。

 

 

「うんうん、カイト君もご満悦だし、良かったわね!」

 

 

 そう、リナ姉さんが締めくくる。

 

 

 

 

 思いがけず強力な武具を手に入れたけど……

 いよいよ最終決戦が近いのだと、浮かれた気持ちを切り替える。

 

 

 

 

 さあ、イスパルに帰ろう。

 

 そして、次に目指すのはアスティカント。

 そして……『黒き神の神殿』へ!

 

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