【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十四幕 36 『大転移魔法』

 

 エレベーターで昇った先の隠し部屋。

 かつて、賢者リュートと初めて邂逅した場所。

 ここから彼の足跡を……私自身の転生の謎を辿る旅が始まった。

 

 そして今、ここに戻ってきた私の前に新たな道が開けるはず。

 

 

「どう、ミロン?何か、変わったところは無い?」

 

 私達を導いてくれるはずの彼女は、部屋の中を飛び回りながら何かを探している様子。

 

「……リュート様の映像記録、と言うのはどれですか?」

 

「あぁ、それなら……その机の上にある水晶玉みたいなのに触れると起動するよ」

 

「これですね。どれ……」

 

 机の上に降りたミロンが、彼女の背丈の半分ほどもある水晶玉に触れる。

 

 すると、いつかの時よりも幾分か柔らかな光が溢れ出して……

 

 

 ゴゴゴ………

 

 

 

 重い音を立てて、壁際の本棚の一部が引き戸のように開いていくではないか!

 

 

 

「ひらいたの!」

 

「隠し扉……まだこのような仕掛けが隠されていたとはのぅ……。我々も隅々まで調査はしたんじゃが」

 

「たぶん、ミロンが水晶玉に触れたときだけ開くようになってたのだと思います」

 

「よし……中を覗いてみよう」

 

 開いた先の空間は薄暗い。

 テオが中を確認すると……

 

 

「……下り階段があるな。降りてみよう」

 

 そのままテオを先頭にして皆で階段を下っていく。

 隠し扉の先は薄暗かったけど、目が慣れれば足元が覚束ないと言うほどでもなかった。

 

 それでも慎重に、みんなで息を潜めて進む。

 

 階段は螺旋状で、おそらくエレベーターシャフトの周囲をぐるりと巡るような感じだろうか?

 かなり降りてきたけど中々終わりが見えない。

 感覚的には地上を通り越して、すでに地下に潜っている気がする。

 

 

 

「ふぅ……老骨には堪えるのぉ……」

 

「大丈夫ですか?グレイル様?」

 

「あぁ、すまんの。大丈夫じゃ。せっかくの新たな発見、この目で然と見届けねば」

 

 高齢のグレイル様には、長い下り階段はキツそうだけど……まぁ、本人が言う通り、ここまで来て上で待ってるなんて選択肢は無いか。

 

 

 

 そして、永遠に続くようにも思えた長い階段も、ようやく終わりが見えた。

 

 行きつく先には大きな両開きの扉が。

 もしこれが、魔物が蔓延るダンジョンなら、ボス部屋のような雰囲気だ。

 

 ……いや、ミロンが言うにはここもダンジョンには違いないか。

 

 

「……念のため、戦闘の可能性は考えておこう」

 

 テオも私と同じように思ったのか、皆に注意を促す。

 そして、扉に手をかけて、ゆっくりと押し開いていくと、その先には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……こんな広大な空間が地下にあるなんて」

 

「ここが[天道律]を使うための場所?」

 

 そこには、地下とは思えない広大な空間が広がっていた。

 

 全景としては円筒状。

 円の直径は目算でおそよ100メートルほどか。

 見上げるほどに高い天井も、数十メートルはあるかもしれない。

 

 そして床から壁、天井に至るまで、ビッシリと複雑な模様が刻まれている。

 

 

「……これは、大規模魔法陣ですね」

 

「シェラさん、分かります?」

 

「これだけ大きいものなので、細かいところまでは流石に分かりません。ですが……あの天井は、星空を表してるように見えます」

 

「星空……[天道律]は特定の星の巡りが必要と聞きました」

 

「そうすると、ここが魔法を使うための場所で間違いなさそうですね。あそこの円の中で発動するのだと思います」

 

 シェラさんが指差す先、部屋の中心部分の床に、直径5メートル程の円が刻まれていた。

 

 なるほど……あの大きさの円の中で発動するのであれば、大人数では転移できないのも頷ける。

 

 

「ルシェーラ、あれを……」

 

「はい。こちらに」

 

 ルシェーラが収納倉庫(ストレージ)より取り出したのは……かつて、ブレゼンタム東部遺跡にて入手したダンジョンコアだ。

 それをミーティアに手渡す。

 

 

「……よし。ミーティア、ミロン」

 

「は〜い!へんし〜ん!!」

 

 掛け声と共にポーズを取ったミーティアが光に包まれ、少女モードに変身する。

 

 ……ミロンも一緒に同じポーズを取ってるのは、もはやお約束だ。

 

 

「どう?[天道律]、使えそう?」

 

「うん。やってみるよ、お母さん。ミーちゃん、サポートお願いね!」

 

「はい、ミー姉さま!」

 

 

 ミロンを頭に乗せたミーティアが、魔法円の中心に立つ。

 彼女の周りを、『黒き神の神殿』に向うメンバーが囲む。

 

 

「グレイル様たちは少し離れていた方が良いかもしれません」

 

 私が注意を促すと、彼らは魔法円から少し離れたところに立つ。

 

「うむ。ここで見届けさせてもらうとしよう」

 

 

 そして、準備が整ったのを見計らって、ミーティアが詠唱を始めた。

 

 

 

 両手を組んで目を瞑り、普段の快活さは鳴りを潜め、厳かな雰囲気となって……

 

 

『天に在りし数多の星々よ。その巡りは因果となり、其を(もっ)て律を成せ。大地に流れる命脈を集い力と成し、其を捧げ我は希う。今ここに天の道を拓き、我らを彼方へと(いざな)え給え』

 

 

 ミーティアが詠唱を始めたその時から、私達が立つ魔法円を中心にして、床や壁に刻まれた文様に光が広がり……詠唱が終わったときには部屋中の全ての文様が光を放つ。

 

 莫大な魔力がこの部屋に集まっているのが分かる。

 

 

 そして、ミーティアが最後のトリガを引く……!

 

 

「行くよ![天道律]っ!!」

 

 

 

 その瞬間。

 

 魔法円の中、足元から真っ白な光の柱が立ち昇り……神界に引き上げられる時のような浮遊感がやってくる。

 

 

 そして私は、大転移魔法が発動したのを確信した。

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