【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う! 作:O.T.I
最後までよろしくお願いします。
第十五幕 プロローグ 『大戦』
ーー ウィラー王国アルマ地方 対グラナ戦線 ーー
カティア達が『黒き神の神殿』へ旅立った頃。
グラナ帝国と国境を接するカルヴァード大陸各地において、大きな戦いが勃発しようとしていた。
その一つ。
ウィラー王国のアルマ地方は、300年前……そして15年前の大戦時において、グラナ軍の主要な侵攻ルートとなった場所である。
今回の戦いにおいても、敵軍の主力が押し寄せてくる事が予想され、既に先遣部隊の小競り合いは何度も起きている状況。
大軍同士の戦端が開かれるのは、時間の問題と思われる。
そして、防衛にあたるウィラー王国軍の主力部隊が国境付近に展開し、侵攻に備え緊張感を高めていた。
部隊を展開するのはウィラー王国軍だけではない。
リュシアン率いるイスパル王国の派遣軍、更に……
「……まさか、こうして祖国を相手に戦うことになろうとは」
「ブレイグ将軍、私達は祖国に弓引く訳ではありません。相手はあくまでも『黒神教』です。もちろん、兵の殆どはグラナの臣民でしょうが……戦端が開かれたら、私は前線に出て彼らを説得します」
エフィメラを主と仰ぐ、ブレイグ将軍の部隊である。
森都で捕虜となっていた彼らの身柄をエフィメラが預かり、防衛戦に参加することを表明したのだ。
当然ながら、ウィラー王国側は難色を示す者も多かったが、カティアとメリエルが尽力して調整した結果である。
そして、カティア達の旅立ちを見届けたエフィメラは、急ぎ飛竜籠に乗って前線へ赴き、ブレイグ将軍と合流したのだった。
「エフィメラ様、長らくお会いできませんでしたが……立派になられましたな」
自ら前線に立ち、グラナ兵を説得すると言う決意を見せる主に、感慨深げに言うブレイグ。
彼が知るのは、まだ幼い頃の彼女だ。
死んだと聞かされ、納得は出来なかったものの、もう二度と会うことは敵わないと思っていた主家の姫。
だが、こうして再び……立派に成長した姿で自分達を導いてくれる事が、この上なく嬉しいと彼は思うのだった。
そして、戦いを前にして決意を内に秘める者は、イスパル派遣軍にも。
「リュシアン様、いよいよですね……」
「ええ。世界の命運をかけた戦い……負けるわけにはいきません。……ケイトリン、オズマ、大丈夫ですか?」
「…?何がです?」
「……カティア様に選ばれなかった事なら、致し方ない事です」
リュシアンの部隊に合流した、ケイトリンとオズマである。
彼女たちはエフィメラの飛竜籠に同乗してやって来た。
カティア達と共に戦えない以上、今自分達に出来ることをやろう……と。
「リュシアン様こそ……気が気じゃないんじゃないですか?」
「ルシェーラの事かい?まぁ、当然心配してはいるけど……信頼もしてるからね」
その言葉の通り、彼の表情は揺るぎない。
そこには確かな信頼が見て取れた。
「ふふふ……私とともに戦うか、カティア様に付いていくか……かなり悩んだらしいですよ?あの娘らしいですね」
「で、リュシアン様はフラれた……と。私達もカティア様にフラれちゃいましたから、お仲間ですね〜」
「まぁ、可愛い部下たちと共に戦うのも良いものです。……さぁ、ゆるい話はここまでです。二人とも、気合を入れなさい!!」
「「はっ!!」」
こうして、各地で緊張感が高まっていく。
散発していた小競り合いも、今は鳴りを潜め……嵐の前の不気味な静けさが漂う。
そして……!
ついに、グラナ帝国の大群がカルヴァード大陸へ侵攻を始める!!
ここに、後世に永く語り継がれるであろう大戦が幕を上げたのであった。