【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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第十五幕 4 『勝利の力』

 

ーー デルフィア王国 対グラナ戦線 ーー

 

 

『さあ!勇敢なる者たちよ!!共に勝利を掴むのだ!!』

 

 エメリリアが最前線に立ち、自らの神剣を高々と掲げて兵たちを鼓舞する。

 

 神剣から眩い光が放たれ、それを受けた者は……

 

 

「これは……私の(シギル)と同じ……いや、それよりも……」

 

 三神の降臨を確認したジークリンデは、ここが勝負どころと判断し、自らも前線に立っていた。

 そこでエメリリアの光の波動を受け、その力を身をもって感じるのだった。

 

 彼女が受け継いだエメリリアの(シギル)の力は、人の精神の根底にある無意識領域の繋がりを介し、感覚知覚を共有すると言うもの。

 つまり、自分以外の他人の知覚が共有されることで、死角を無くしたり敵の隙を突きやすくなる、連携がスムーズに行えるなど、集団戦闘に絶大な効果が期待できる。

 

 ともすれば情報過多になりそうなものだが、それらを処理する能力も向上するようで、これまで(シギル)の力で混乱が生じたことはない。

 

 

 そして、エメリリアが放った光は、ジークリンデの(シギル)の力に加えて……

 

 

「戦場を俯瞰して見れる……?」 

 

 

 そう。

 戦場を上空から見下ろした光景が彼女の脳裏に浮かんでいるのだ。

 

 

『その情報は君にだけ共有している。更に、君の意思を全軍に伝達する力も』

 

「エメリリア様!?」

 

 ジークリンデの頭の中に、突然エメリリアの声が届き、彼女は驚きの声を上げる。

 だが即座に冷静さを取り戻し、先の言葉の意味をエメリリアに問いかけた。

 

 

「私にだけ共有……ですか?」

 

『ああ。この軍の将は君だろう?存分にその手腕を発揮するといい。私も君の駒の一つとして動こうではないか』

 

 それを聞いたジークリンデは、『なんと恐れ多い……』と返そうとしたが、それを寸前で飲み込む。

 エメリリアの意図を察したからだ。

 

(私は……どこかで甘えていたな。神々が降臨されたからには、もう大丈夫だと。だが、縋るだけでは駄目だ。だからこそ、エメリリア様は『共に勝利を掴む』と仰られたのだ)

 

 かつて神々が地上を去った理由を思い出し、ジークリンデは自らの脆弱な意思を戒める。

 

 そして。

 

 

「エメリリア様、お力を使わせていただきます!!」

 

『……うむ。それでこそ我が眷属、ロザリンデの裔だ。これより私はお前の剣となる。指揮は任せたぞ!!』

 

「はっ!!」

 

 

 ジークリンデはこの時初めてエメリリアと言葉を交わした。

 しかし、エメリリアの厳しくも愛情がこもった言葉に、確かな絆を感じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さすがリリアね。それに、彼女の眷族も将としての能力は非凡なものがあるわ。軍が一つの意志を持つ生き物のように機能し始めたわね」

 

「ふむ……ワシらの出番が無くなりそうじゃな?」

 

 エメリリアの力と、その力の恩恵を受けたジークリンデの指揮により、グラナ軍を押し返し始めた様子を少し離れた場所で見ていたパティエットとオーディマ。

 

 オーディマはその様子を見て、これなら自分の力が無くとも対処可能かもしれない……と思ったのだが。

 

 

「いえ。あれをご覧なさい」

 

 そう言ってパティエットが指し示したのは……グラナ軍の後方。

 そこには明らかに他の魔物と異なる、幾つもの巨大な黒い影が。

 

 

「む?あれは確か……『黒魔巨兵』じゃったか?」

 

「ええ。あれの相手は、通常兵には少々手に余るかもしれません」

 

「じゃな。では、あれはワシらで何とかするかのぉ」

 

 

 二柱の神は空に舞い上がり、激しい戦いが繰り広げられる最前線を飛び越えて黒魔巨兵の一軍に向かった。

 

 

 そして人々は……更なる神の力を目の当たりにする事になるのだった。

 

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