【本編完結】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!   作:O.T.I

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終幕
終幕 ある日、ある一座のある一幕 〜歌姫よ、永遠に


 

 眩い光が舞台を照らし出す。

 

 きらびやかな衣装を纏う男女が大仰な身振りで立ち回り、朗々とした声で台詞を口にする。

 

 

 本日の演目は……

 

 イスパルの英雄、星光の歌姫(ディーヴァ・アストライア)ことカティア姫と邪神の決戦の物語だ!

 

 ……マジ勘弁してください。

 恥ずかしすぎる!

 なんて思ったりもしたけど……

 

 

 しかし、しかしである!

 

 何と……今回は私も女優として舞台に立つのだ!

 しかも主役!

 ……主人公カティアを、カティア()本人が演じるとか意味がわからないけど。

 

 

 演技力ミジンコのお前が何で?とお思いであろうが……今回の演目は、エーデルワイス歌劇団初の試みであるミュージカルなのだ!

 もう勝利しか見えない!

 

 そんな訳で、いま私は舞台の上に立ち、煌めく照明に照らされながら、セリフを旋律に乗せて演技しているのだ。

 

 ウチの男どもも、私の指導のもと鬼のボイトレで完璧に仕込んでおいた。

 テオ……カイトも中々のバリトンボイスを披露する。

 

 そして、アネッサ姉さんやロゼッタおば……お姉様、ハンナちゃんにリィナ、そしてミーティアが、華やかなソプラノが美しいハーモニーを奏でる。

 

 観客たちは一風変わった劇に最初は戸惑いを見せたが、今はすっかり魅了されているように見えた。

 

 

 

 そしてミュージカルは閉幕を迎え、観客たちの万雷の拍手が劇場に響き渡った。

 

 

 

 

 

 さあ、次も私の出番だ。

 

 今回アリシアさんは休演なので、彼女のファンは残念かもしれないけど……その分私とミーティアが頑張るからね!

 

 

 

 

 観客席が落ち着いた頃合に司会から次の演目がアナウンスされると、再び拍手の音が鳴り響く。

 

 私とミーティアは、拍手に迎えられながら舞台袖からゆっくりと歩き出す。

 反対の袖からはもう一人、リュートを携えたカイトが歩いてくる。

 

 視線が合うと微かに微笑んでくれた。

 私も彼に微笑みを返す。

 それだけで想いが通じ合う気がした。

 今日もいい舞台になりそうだ。

 

 舞台の中央に立つ私とミーティア。

 その少し後ろにリュートを携えたカイト。

 

 ひと呼吸おくと、彼は指でトントントン、とリュートを軽く叩いてリズムをとってから伴奏を始める。

 そしてタイミングを合わせて、私たちは歌声を紡ぎ始めた。

 

 最初は囁くように静かに、徐々に感情を込めながら大きくなっていくその歌声は会場中に響き渡り、観客たちの心を掴んでいく。

 

 

 そして、夢のような一時は過ぎ去っていく。

 

 

 全ての歌を歌い終わると、私は歓声と拍手に包まれながら、笑顔で皆に手を振る。

 

 カイトと視線を交わし、再び微笑み合う。

 

 

 

 あの日、イスパルの王女として誓いをたてたこの劇場で、あの日と変わらない声援を皆は送ってくれる。

 

 私はこの声援に応えるため、これからも舞台に立ち続け、皆に歌声と笑顔を届けたいと思う。

 

 

 そして、未来に繋げていこう。

 

 

 私達のこの思いが、永遠に続いていくように……

 

 

 

ーーーー 転生歌姫の舞台裏 閉幕 ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜 アンコール 『予感』 〜〜

 

 

ーーーー アクサレナ 某所 ーーーー

 

 

「ほら、お姉ちゃん!!早く!!終わっちゃうよ!!」

 

「ちょ、ちょっと待って!!私、そんなに速く走れないわよ……!」

 

「ふむ……相変わらず運動神経が鈍いのだな……」

 

 

 アクサレナの街に賑やかな女性たちの声が響く。

 

 何事かと通行人たちが驚いて振り向くが、三姉妹らしき女性たちは急いでいてそれどころではないようだ。

 

 

「もう〜!お姉ちゃんったら!!もう間に合わないよ!!」

 

「はぁ……はぁ……だって…………と言うか、あなたがあちこち色んなお店に顔を出すからでしょ……」

 

「全くだ。落ち着きがないのは相変わらずだな」

 

「うっ……しょ、しょうがないじゃない……だって楽しかったんだもの」

 

 今は少し言い争っているが、仲の良い姉妹なのだろう。

 しっかり者の長女に、おっとりした次女、元気一杯の三女……と言ったところか。

 

 

「まあ、間に合わなければそれもしょうがないだろう。また見に来ればいいさ」

 

「う〜……でも、エーデルワイス歌劇団は人気が凄くて中々チケット取れないんだよ?」

 

「いいじゃないか。人生長いんだ。ゆっくりいこうじゃないか」

 

「姉さんは相変わらず達観してるわね……でも、そうよね。私達の人生は、まだまだ長いんだから」

 

「もう……お姉ちゃんたちは……ま、いっか。じゃあ、どうする?何か美味しいものでも食べてく?」

 

「さっき昼ごはんを食べたばかりだろう。相変わらずお前は食いしん坊だな」

 

 そんなふうに、賑やかに、楽しそうにお喋りをしながら彼女たちは街の雑踏に紛れていった。

 

 

 

 

 

「また、いつでも会えるわよ……」

 

 

 

 

 季節は春。

 

 新たな出会いの予感が、すぐそこまで来ているのかもしれない……

 

 

 




本編はこれにて完結です。
最後まで読んでいただきありがとうございます!

このあと、設定集&後日談も投稿しております。

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