主人公はC4-621固定である。
おかしな夢を見た。
自由にならない体でアーマードコアと言う鋼鉄の巨体を操る自分と同じようにアーマードコアに乗る見知った者達。そして、焼けていく星。
本当におかしな夢だ。自分達はそんなものになんて乗った事も何も無いただの学生だ。いや、強いて言うなら自分が孤児であると言う事くらいか。
「起きてくださいレイヴン」
随分と近くから聞こえる声に目を開けると、何物にも染まらない白布を思わせる髪に肌と吸い込まれるような赤色の瞳をした少女の顔が互いの息が届くような距離にあった。
それはそうだ。自分のベッドは1人用のシングルサイズで複数人で眠るような物じゃないんだからな。いや、そうじゃないな。
「なんでいつもお前は人のベッドに入って来るんだ?」
「何か不都合でも?」
「不都合って言うか狭いだろ。それに俺もお前も良い歳なんだから」
彼女の名前はエア。俺にとっては幼馴染と言うものになるんだろうか?物心が付く頃には一緒だった少女で、自分も別に嫌いではない。
コンコンと部屋の扉がノックされる音と共に開かれて部屋に1人の男性が入って来る。彼の名前はウォルター。自分を引き取ってくれた養父で他にも人並みの生活を与えてくれた大恩のある人物だ。
「お前の人生だ。私からあれこれと指示を出したりはしないが、その歳で子供はやめておけ621」
ウォルターは独特の価値観を持っているのか引き取った孤児をこの様に番号付けで呼ぶ。自分にとっては兄や姉であり、ウォルターの下から巣立って行った人達もまた617などと呼ばれていた。
普通に考えたらおかしな話だが、ウォルターを良く知る人物が言うにはわざとそうしているらしい。理由は教えては貰えなかったが、そう悪い事ではないだろう。
と、それはさておいて。
「ウォルター。わかってて言ってるよな?」
「さてな。とにかく身支度を済ませて降りて来い。学校に遅刻したく無いのなら早くする事だ」
「わかってる。だからエアはベッドって言うか部屋から出てくれ」
「私は気にしませんが」
「俺が気にするんだよ。さっさと出て行ってくれ」
自分だって羞恥心と言うものはあるのだ。いくら身近で親しい相手とは言えどもエアだって女性には変わり無いのだから。
2人が部屋を出て行くのを確認してからパジャマを脱いで手早く制服に着替える。俺やエアが通っている学校は男子は詰襟のいわゆる学ランに女子はセーラー服が指定の物になっていて、今時古臭いだとかブレザーでオシャレな物に変えろって言う不満の声もあるが、どうせ学校でしか着ない服に何を求めているんだろうか?
着替えを済ませて歯磨きなどの身支度を済ませてリビングに向かう。そこではウォルターとエアが律儀に自分を待っていた。先に食べていれば良いだろうに。
ちなみにウォルターの家は結構大きい。ウォルター自身の私室に俺達のような彼に迎えられた養子達が使う部屋が6つもある。1つは自分が使っているがそれでも5つも部屋があって、他にも度々訪れる客人用の客間もある。その都合上、ちょっとしたホールくらいリビングが広い。
以前は617ことシャミィや619カニスに620ダンが居たから良かったが基本的には自分とウォルターしか居ないので寂しい食事になる事も多い。
「口元にケチャップが付いてますよ」
「ん、ありがとうエア」
口周りに付いたケチャップを拭いてくれたエアに礼を言いながら朝食を食べ進める。どことなく剣呑な雰囲気を纏うウォルターだが、料理上手で味付けも優しいものが多い。だから、外で食べる食事は個人的には苦手だ。ウォルターには慣れておけとよく言われるが、やはり苦手は苦手だ。料理を覚えるべきかと思うがそれはエアに止められていてウォルターが所用で居ない時は彼女に作って貰っている。
「エア、あまり621を甘やかすな」
「貴方はもう少しレイヴンに優しくすべきです」
エアとウォルターは仲が悪いと言う訳では無いが、こうしてたまにぶつかり合う事がある。それも決まって自分の事なので、自分は2人にそれだけ心配されていると言う事だ。だからこそ、2人にそんな心配されたりしないように頑張らなければ。
朝食を終えて学校に向かう。自分達の通う学校は生徒数も多いから必然的に同じ制服姿の集団が出来上がる。その流れの中に自分達も加わると女子生徒の壁をかき分けて1人の男子生徒が近寄って来た。
「おはよう。相変わらず仲の睦まじい事だな、ご両人」
「おはようございますラスティ」
「そっちも相変わらずモテモテだな、ラスティ」
このハニカミスマイル?とか言うのが似合うイケメンはラスティと言い妙に気が合ったので良く連むようになった友人達の中でも親友と呼べる相手で、通称ヴェスパーと呼ばれている野球部の期待のホープらしいが割と自由奔放で今みたいに朝練に出ないなんて言うのもザラだ。
とりあえず、自分とラスティが話をしていると周囲の女子生徒達から敵を見るような目を向けられるか、こう背筋がむず痒いと言うか粘つくような目の両極端になるのはなんでなんだ?
「ラスティ。いつも思うのですが、貴方は少しレイヴンに近過ぎます」
「そうかな?君はどう思う?戦友」
前に野球部の助っ人に呼ばれて以来、ラスティからこうして戦友と呼ばれている。後、エアが敵意のような物を良く向けるようにもなった。なぜだ?
「言いながらそうやって肩に手を回して来る時点で答え出てるだろう。そんな物理的な結束はレッドガンの連中だけで十分だ」
レッドガンと言うのは、顧問兼監督のミシガンの下で地獄のような練習とヴェスパーと二分する戦績で名を馳せるサッカー部の番号持ちのスタメン達に与えられる通称で、自分も補欠番号の13番を貰っている。
「つれないなぁ」
言いながらラスティが自分の肩から手を離してすかさずエアが間に滑り込んで来て、何かを主張するようにぎゅっと自分の腕を抱えて来る。正直言って歩き難いんだが、ここで離れさせると不機嫌になったエアのご機嫌取りが大変なのでそのまま歩く。
で、エアがこうなると今度は周りの男子達から殺意にも似た視線をぶつけられる。自分が何をしたと言うのか。
「ケッ、また朝っぱらから乳繰りあってんのかよお前らは。ま、犬らしいってなもんか」
「相変わらず見せ付けてくれるじゃねえか。ミシガンの奴に報告しとくか?」
今日は朝からよく友人知人達と出会うものだ。このチンピラじみた口調の割にきちんと詰襟まで締めて制服を着込んだ2人は入学早々に何が気に入らなかったのかミシガンに食ってかかった結果、強制的にサッカー部に放り込まれ、意外にも才能があったのか背番号持ちのレッドガンだ。
ラスティばりの長身に鋭い目付きが特徴的な自分を犬呼ばわりして来たのがG5イグアス。そして、イグアスよりは背は低いが肩幅の広いがっしりとした体付きに学生とは思えない彫りの深い顔が特徴的なのがG4ヴォルタ。
同学年と言う事で割と縁の多い2人で、補欠として呼ばれた練習試合以降特にイグアスには目の敵にされている。
「お前達、サッカー部の練習は良いのか?またミシガンにクソッタレマラソンさせられても知らないぞ」
「そのミシガンにスポドリ買って来いって言われたんだよ」
「今年こそは全大会優勝してトロフィーをミシガンのヤツに叩き付けてやめてやるのさ」
レッドガンでは全国大会優勝を壁越えと称して目標としている。去年の大会では確か準々決勝までは行ったがそこで負けた筈だ。ちなみに自分は同行はしていない。一応補欠だから呼ばれはしたが、行くかどうかはこっちで選べたし、そもそもサッカーにそこまで興味も無いからな。
「丁度良い。ちょっと手伝えよ野良犬」
「なんでだよ」
「そう言いながらも手伝うんですねレイヴン」
イグアスが寄越してきたスポーツドリンクの入ったレジ袋を受け取るとエアにそう言われたがこれは仕方ない。
「こんなのでもレッドガンのスタメン様だからなコイツ」
運動部の例に漏れずサッカー部も縦社会だが、うちのサッカー部は特にその序列による力が強く、基本的にスタメンの言う事には一般部員や自分のような補欠は逆らえない。
「おうよ。補欠は辛いなぁ?」
ニヤニヤしながらそう言ってくるイグアスの顔面に拳を叩き込んでやりたいところだが、それをやると自分が後でミシガンに「元気が有り余っているようだなG13!」とか言われて無理矢理レッドガンのしごきに引き摺り込まれるので堪える。
「そう言えば、ラスティの奴いつの間にか消えてるな」
「あ?またヴェスパーの野郎と一緒だったのかよテメェ」
「俺は好かねぇなあの野郎。いっつも女ども侍らせやがってよ」
「とにかく急ごう。ミシガンにどやされたく無いぞ俺は」
そのまま2人に付き合ってサッカー部用練習のグラウンドに向かうとサッカー部の面々が走り込みをしている様子が見えて来た。その様子を白髪混じりのヴォルタ以上に体格の良い仁王像のような顔の男が見ている。
彼こそがサッカー部の顧問兼監督でかつては選手としてレッドガンを全国大会優勝に導き、プロの選手としても名を馳せ今なお鬼とも呼ばれるミシガンだ。
「オマケの交流に余念が無いようだな?G4、G5。その程度のおつかいもこなせんか?」
「うるせぇ。物理的な限度ってもんがあんだろうが」
「ほう、吠える余裕があるかG5。ならそのまま一汗流して行け!お前達もだ!G4!G13!」
「おい、余計な事言ってんじゃねぇよイグアス!」
「あーエア。上着とか預かっておいてくれ」
「はい。頑張ってください」
詰襟の上着と学校鞄をエアに預けて、サッカー部の走り込みの隊列にイグアスとヴォルタ共々加わる。結局、しごきに引き摺り込まれるのは変わらなかった。流石にコレばっかりは恨むぞウォルター。
サッカー部と縁を持つようになったのはそもそもがミシガンと古い付き合いらしいウォルターが「俺達以外の交友関係も持て」と言って、丁度怪我でベンチに空きが出ていたサッカー部に放り込まれてミシガンになぜか気に入られたからだ。
思えばイグアスに噛み付かれるのもいきなり補欠とは言えG13の背番号を貰ったからだし。口では悪様に言うが、イグアスもヴォルタもあれでミシガンを慕っていて、しごかれた末に背番号を得ているからそれをいきなり出て来た奴が背番号貰ってるのが気に入らないんだろう。
「そこまで!朝の走り込みは終わりだ!貴様らの足りない頭でもわかっているとは思うが遅刻はするんじゃないぞ!きちんと学校に登校するまでが朝練だ!」
『はい!総長!』
ミシガンが絶対的な頂点に君臨しているのは知っているが、なぜ総長と呼ばれているのかはわからない。
「お疲れ様ですレイヴン」
「全く良い迷惑だ………今日一日これで過ごさなきゃいけないってのに汗でベタベタだ」
第2ボタンまで外したカッターシャツの胸元をパタパタとはためかせて風を取り込んでいると雑に布袋が後ろから投げつけられた。それを取って中身を確認するとアイロンがけまでされた綺麗なカッターシャツが入っていた。
「そいつに着替えてけ。汗でベタベタで登校したなんて知られたら後でまたミシガンの野郎にシメられちまうからな」
「お前は良いのか?イグアス」
「無駄に多く持って来た余りだから気にすんな」
「ここはイグアスの好意に甘えましょうレイヴン」
「だから、勘違いすんじゃねえ。俺自身のためだ」
言うだけ言ってそのままイグアスは立ち去って行った。
とりあえずこのまま呆けていても仕方ないのでサッカー部の部室を借りて押し付けられたカッターシャツに着替える。流石に背丈が違う分ダボつくが、汗でベタベタのものよりは遥かにマシだ。
着替えを済ませてエアと合流して学校に向かう。
ルビコン学園。幅広い事業を展開しているオールマインド社がパトロンに付いている学校で中高一貫制度になっている。そして自分達はここの高等部の2年生だ。
教室に向かい。クラスメイト達と適当に朝の挨拶を交わしながら席に着く。ちなみにエアが隣の席なんだが、昔から名簿順の初期順以外だと常に隣になっている。何かオカルトじみた力でも働いてるんだろうか?
なんか色んな電波を受信して書いてた駄文である。
イグアスくんが本編よりレイヴン嫌い度が低い?一周回って彼が可愛く見えた作者の筆が滑った結果だ。ラスティも似たような感じでこうなった他色々文句もあるかもしれんが………許せ。
エアちゃんの胸部装甲の厚さは各自に委ねる。てか、髪の色は割と皆寛容なのに胸部装甲に関しだけは、アーキバスとベイラムばりに相容れない不倶戴天の様相成してるの草なんだ。え?わいはどっち派か?火種を落とす必要は無いよね。
続きが有ればアーキバスの面々だろうか?レッドガンに負けず劣らずと言うか個性的過ぎるぞお前ら。アイアムカンパニーおじさんどうすっかなぁ………
とりあえず、アーマードコア6楽しいれす(コーラルグビー)